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職場でとんぼを見つけたら

私の職場は地下1階にある。
廊下にあるドアを開けて地下に続く階段を降りる。
その日の朝も同じように降りていたら、踊り場の窓まわりに違和感。


右上のほうにいます

とんぼだ。
窓を開けているのは見たことないから、誰かが1階の扉を開けて入ってきたとき、とんぼも一緒に入ってきたんだろう。
かわいそうだが、手が届かないとそのままにしておいた。
その日1日その場所にいた。

次の日の朝、出勤時にはいなかった。
出られるとは思っていなかったから、死んでしまったのだろうとぼんやりと思った。

けれど、そのあと用があって一度三階まで行き、また降りてきたら、今度は手の届く場所にいた。


窓枠すぐ下

手に郵便物や雑誌を持っていたので、一度部屋に置きに行き、また踊り場に戻って躊躇する。
右側の後翅が汚い。
蜘蛛の巣のようなゴミのようなものがまとわりついている。
とんぼはとても弱っていた。
そのままにしておくと死んでしまうだろう。
「手は洗えばすむかな」
そう思ってとんぼを捕まえることにした。
左側の翅は壁に密着して掴めそうにない。
しょうがないので、右側だけを右手でそっと掴む。
とんぼは弱々しく、それでもばたばたして身を震わせた。
翅がちぎれたらどうしよう。
それだけを思って1階に行く。
そして1階の中庭にはなしてやった。
とんぼを思い切り投げたら一度低くとび、今度は少し高度をあげて。

次の日は休みだった。
シビックセンターの公園側の出口を出てふと地面を見たら、小型のカマキリが所在なげにはっている。
今回はためらいなく、それをつかみ、植栽にはなしてやった。

どっちも鱗粉がないからね。

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