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確かに「子育ては期間限定」かもしれないけれど、、

昨日6月26日の朝日新聞夕刊「いま聞く」欄に薄井シンシアさんのインタビューが載っていた。
記事によると、出産を機に30歳で専業主婦になり、外交官の夫の勤務地に帯同、娘の大学進学を機に駐在先のタイで「学食のおばちゃん」から社会復帰したという。

薄井さんと自分の経歴など比べようもないが、自分も出産のため30前に仕事をやめ、専業主婦となった。
けれど、お金は足りなかったし、社会ともつながりたかった。
長女が生まれてすぐから、元いた出版社の書籍編集(委託)、東大受験生の国語の添削(内職)や高校国語教材吟味(委託)などを家でやった。
ちょっとだけ外の空気を吸いたくて、末っ子が3歳になる年に、派遣で高校英語教材の編集もしたが半年で終わりにした。
本格的に外で働くようになったのは、末っ子が中学受験を終えた2学期からだ。
その辺のことは前に 👇 で

書いたが、薄井さんのように専業主婦ではなかったけれど、子どもたちの「話をいくらでも聞いてあげられた」し、何より同じ時間を過ごすことができた。
月並みな言葉ながら、やはり子どもはかけがえのないものだ。

薄井さんは「仕事と育児を同じ時期に必ず両立しなければいけないという時代は、もう終わりつつあるのではないですか」と問う。「子育ては期間限定。終えてから働いてもいい」「仕事と育児の両立を女性に強いるなんて、過酷すぎる」とも。

確かにそう考えれば、肩の力を抜いて、子どもと向き合えるし、家の中でも笑顔でいられることが増えるだろう。
私の場合は、外で働くようになって仕事での人間関係のストレスから、家族にやさしくできなかったことが間違いなくあった。
薄井さんのおっしゃる通りだと思う。

けれども、実際問題として、職場で確かな地位を得つつある女性が出産と子育てに直面することは少なくない。そうした女性が家庭に入るのは勇気がいるのではないか。
薄井さんの「ゼロから始める気持ちでいれば、必ず社会復帰できる」というのは真実だと思うが、「ゼロから始める」ことに踏み切れない事情もあるだろう。
また、専業主婦になろうにも経済的に難しいという可能性もある。特別なぜいたくをしなくても子育てにお金は必要だ。

何人かの女子大学生と話す機会があるが、彼女たちも「子育ても仕事も両立したい」「両立するにはどうしたらいいのだろう」と考えている。
そんなとき、私が言うのは「一人で抱え込まないで」ということだ。
「助けてくれる人は必ずどこかにいるはず」ということだ。
それは、配偶者だったり、実家だったり、あるいは第三者だったり。
私自身も、「第三者」として誰かの手伝いをしたいと考えている。

薄井さんの記事の最後で記者が薄井さんに「今、幸せですか」と尋ねる。
薄井さんは「学校から帰ってきた娘と、おやつを食べながらおしゃべりする。私の幸せは、あの頃にある。今の私にあるのは、満足です」と答える。

私も同じだ。私の幸せは、確かに、子どもたちと過ごしたあの平穏な時間にある。けれど、一方で「子育てじゃなかったほうの自分」を思うこともある。それは「今の私にある」「満足」で覆いつくせるかといえば、そうともいえない。

私の後の世代の人が「子育てじゃなかったほうの自分」に未練を残さないようなそういう社会になってほしいと思う。

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