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ベルギー人の心も長野県民の心もわしづかみ お互いさまの街ふくしま ペイ・フォワード記事Vol.37

ベルギー人の心に響いたお互いさまの街ふくしまの取り組み

ペイ・フォワード記事Vol.35とVol.36では、ベルギー人のシブさん(表紙の写真左手の男性)とルースさん(左から二番目の女性)がお互いさまの街ふくしまでおもてなしを受けて、市民との交流やお互いさまスポット巡りを楽しんだ様子をお伝えしました。


このお互いさまスポット巡りにご協力いただいたのが、チームふくしまの山田雅彦さん(表紙の写真右から二番目)、沙也加さん(写真右)親子です。お二人は長野県のご出身で、2020年に福島市に移住しました。雅彦さんは「なんでも屋サンタ」として、沙也加さんはチームふくしまの職員さんとして活動をされています。ベルギー人のお二人に「コミュニティフリッジひまわり」などのお互いさまスポットを紹介していただいている最中、私は電話越しに英語で通訳していたのですが、なぜお二人が福島市に移住することになったのか、そして今後はどのような展望を思い描いているのかも聞いてみました。

↓コミュニティフリッジひまわり(愛称ハッピールーム)


コミュニティフリッジではマンスリーサポーターも募集しているそうです。

お互いさまの街ふくしまを黄色の花で彩るプロジェクト

夏になると、福島県田村市には、3万本を超えるひまわりの花が咲き誇ります。2011年に起こった東日本大震災の後、NPO法人チームふくしまさんは「福島ひまわり里親プロジェクト」をスタート。これは、復興のシンボル「ひまわり」を福島の大地に咲かせる取り組みです。

https://www.sunflower-fukushima.com/index.html

風評被害や健康被害、仕事の減少で苦しんでいる福島の人たちの顔に、またひまわりのように明るい笑顔を咲かせようと始まったこの取り組みは、日本全国に広がっています。ひまわりの種を全国各地で「里親」として植え育て大輪のひまわりを楽しんだら、また種を収穫して福島県に送ります。そうすると、その種が福島県において「福祉作業所の仕事」「バスの燃料」「観光」「防災」「絆」などたくさんの形に変わっていきます。

ひまわりの種を通じて、失われた故郷を活気づけようとする様子は『ぼくのひまわりおじさん』という絵本となり、シリアの子どもたちにもアラビア語に翻訳した本をプレゼントするなど大きな動きになっています。現在は世界各国の言葉に翻訳されて動画絵本にもなっています。以下に、日本語版とアラビア語版を載せますね。



長野県民の心にまかれたひまわりの種が福島県で咲き誇る


長野県でこのプロジェクトを促進していた山田雅彦さん。この取り組みが全国の多くの学校などで取り組まれ急速に広まっていることを実感し、「ひまわりの種を集めること以上の深みがあるプロジェクトだ」と確信したそうです。そこで、ご家族を説得し福島県に移住。続いて、娘の沙也加さんも福島市に移住しました。そのときの心境を「これまで長野県で福島ひまわり里親プロジェクトを支援してきたけれども、実際に福島県で何が起きているのか自分の目で確かめようと思った。」と語られました。そしてボランティアとして福島ひまわり里親プロジェクトに深く関わろうと決意したそうです。

山田雅彦さんは移住後、ボランティアとして「コミュニティフリッジひまわり」をご担当されていました。以前の記事を執筆するためにコミュニティフリッジを訪問させていたいた際にもご丁寧に説明してくださいました。

また、福島に移住して3年たち、よりご自身らしく福島の方々のサポートをしたいということで「なんでも屋サンタ」という便利屋さんを開業されました。あれ、もしかして、「山田」を「サンタ」と読ませている?ユーモアたっぷりのサンタさんがトナカイに乗ってあなたの前に現れます!?


2023年10月14日 福島民報


あえて一人で「なんでも」はしない なんでも屋さん

「なんでも屋サンタ」のお仕事の内容を聞いてると、雪かき、エアコンのお掃除、内装、スキーを教える、など多岐にわたります。「山田さんはなんでもできるんですねぇ」と感心していると「なんでもはできません。でも、わたしにできないことは他の人に頼むことで、自分のできることで他の人のお役に立つという繋がりができていくと思います。私はそういうコミュニティを作りたいんです。」とおっしゃっていました。ややもすれば、「ひとりでなんでもできることがよいことだ」とか「なんでも自分でしなくては」などと感じてしまうこともあるかもしれません。でも「わたしはひとりじゃない!」と感じられるお互いさまのコミュニティが育っていくと、人それぞれの出番があっていいですね。

「おかげさまで」が口癖になるお互いさまの街ふくしま

お父様に続いて福島市に移住された山田沙也加さん。彼女とお話ししていると「おかげさまで」という言葉をよく耳にします。チームふくしまの事務仕事をされている沙也加さんは、お互いさまの街ふくしまを広めるために活動する中で様々な人との繋がりを感じていらっしゃるからでしょう。「おかげさまで」という言葉が素直に出てくるほどお互いさまの精神を感じている沙也加さん。先日は「お互いさまの街ふくしま」で行われている「お互いさまチケット」の取り組みが様々な賞を受賞し、そのプレゼンテーションに臨まれていました。


お互いさまの街ふくしまを広げるための今後の展望は?

お互いさまの街ふくしまを広めるために今後どのようなことに取り組みたいですか、と聞くと、沙也加さんは「日本人の中に元々あったお互い様の精神やペイ•フォワード教育を若い世代に伝えていきたい」と答えていました。その理由を尋ねると、「小さい頃からお互いさまの精神を持っていると、また次の世代にお互いさまの精神を伝えようとするはずなので、お互いさまの精神がこの先もずっと継承されていくと思うからです。そうすると、福島から、日本、世界へとお互いさまの街が広がっていくと思います。」とはっきりとおっしゃいました。何世代も先のことをイメージできているということに、私はとても感激しました。私が沙也加さんの言葉に心動かされたということもベルギー人たちに伝えると、ルースさんから「どのような教育をしていくつもりですか?」との質問が。沙也加さんは「まだ具体的ではありませんが、今お付き合いのある大学生ボランティアさんや子どもたちと積極的に交流をしていきたいです。」と語らました。日頃からお互いさまの街ふくしまで生活し、お互いさまの精神を多くの方に伝えられている沙也加さんが、「次世代への恩送り人」その人ですね!

名物親子に会いに行きたくなる お互いさまの街ふくしま

お互いさまの精神を広げている山田さん親子は、2023年に新聞にも取り上げられています。お二人のひまわりのような明るい笑顔が福島中に届きました。
お互いさまの街ふくしまの、お互いさまスポット巡りをしたことがある方は、「山田親子にまた会いたい!」という氣持ちで福島に戻ってくるのではないでしょうか。まだお互いさまの街ふくしまにいらしたことのない方も、山田親子と一緒にお互いさまスポットを巡りませんか?

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