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ギフトエコノミー体験会withオーサムポートプロジェクト ペイ・フォワード記事Vol.49


オーサムポートプロジェクトとなって聞こえてくるオーサムカフェの息づかい

前回の記事で紹介した安齋由さんが取り組んだ『ギフトエコノミー』のコミュニティ作りを実際にやってみたくて、いつも和やかでほっとする居場所を提供してくれているAwesome-port project(オーサムポート プロジェクト) さんに相談しました。(私も企画に関わらせていただいています。)

このオーサムポートプロジェクトは、福島市にあるBLTカフェのペイ・フォワードの取り組みを学んで仙台に持ってきたAwesome Cafe(オーサムカフェ。残念ながら2023年に閉店)における地域密着型の活動が元になっています。オーサムカフェでのペイ•フォワードの取り組みについては以前こちらで紹介しました。

https://note.com/noriko_c_o/n/n4d17910ce921

オーサムポートプロジェクトでは、毎週火曜日に、中高生の居場所ハッピー中等部(ハピちゅー)や、地元の人たちの交流の場作りを仙台市荒井のオーサムカフェがあった建物にて行っています。

大人と子どもが本気で遊べるコミュニティ

オーサムポートプロジェクトでは、若者が地域の方とのつながりをもてる機会や場を提供し、多世代交流や地域課題の解決のきっかけになるようにしています。

オーサムカフェは当時コミュニティカフェとして地域の方たちの居場所となっていました。カフェで出会った人たちの間で面白い発想が生まれ実現化していったあの感覚が、今もオーサムポートプロジェクトに受け継がれています。そこで、きっとこの「ギフトエコノミー」にも興味を持ってくれるかと思い相談してみました。そうしたら、面白そうだから是非やってみよう!ということになったのです。

ギフトエコノミーの世界観

この企画をするにあたって参考にしたのは、私がマレーシア人と立ち上げた市民団体ともだち・カワン・コミュニティのメンバーでもある安齋由さんが福島市で行った取り組みです。そして彼女が参考にしたのが『ギフトエコノミー~買わない暮らしのつくりかた~』です。この本は天然生活Webでも紹介されています。

私もこの本を借りて何度も読みました。この本の著者の一人リーズルが語るエピソードの中で特に好きなものを紹介しますね。彼女が、登山家の夫と家族と、ネパールに行ったときの話です。

今シーズンもまた発掘作業に協力してもらうことへのお礼として、村の人々にあたたかい服をプレゼントするのです。(中略)そこへ村のリーダーである40代の女性が寄ってきて、じっと覗き込み、丁寧にこう言ったのです。「村には17の家族があるので、服は17の山に均等に分けてください。すべての山に大人の服と子どもの服を同じ量入れます。」(中略)「ええ、そうですね。でも68歳の女性ひとりの家もありますよね。」私は手を伸ばして,68歳の女性の山からベビー服を取り除き、代わりに大人の服を足そうとしました。(中略)何も分かっていない私に少し笑いを堪えつつ、彼女は優雅にこう説明しました。「お年寄りにも子どもの服を渡せば、お年寄りはそれをゆずることができます。全ての家族が同じものを受け取ることで、みんなが『ゆずる側』と『もらう側』に立つことができる。それによって村は健全に保たれます。」

『ギフトエコノミー~買わない暮らしのつくりかた~』「リーズルの話」より

このエピソードを読んで思いを馳せたことがあります。それは、「お互いさまチケット」を実施していると、「贈る側」(ここでいう「ゆずる側」)に立つ人は多くても、「受け取る側」(ここでいう『もらう側』)に立つことは遠慮してしまうことがよくある、ということです。誰にだって、あげたい、でももらうのは気が引ける、ということはあるかもしれません。
一方この村では誰もが『ゆずる側』と『もらう側』に立つことが自然のことだと捉えているように感じられます。このエピソードのように、「ゆずる」ことも「もらう」こともあるように外的な環境を整えることもあるでしょうし、そもそも心理的に「誰かにゆずることも、もらうこともあるはずだ」と村人が信じているのではないかと思います。この感覚が村人に浸透し、文化となるまでに、どのような歴史があったのかもっと知りたくなりました。

宮城県でギフトエコノミーを初企画!

さて、この本にインスピレーションを得て行うことにしたギフトエコノミー体験会。よく子ども服のおさがりをもらったりゆずったりはしますが、対象を絞らずに、純粋に自分が譲りたい物を会場に持っていくという場を作るのは初めてです。どんな出逢いがあるのか前日からワクワクしていました。

この日は学校も夏休みなので久しぶりに見る子どもたちの顔も。大きいお姉さんたちに遊んでもらって大満足な小さな子どもたち。ギターの練習をする若者たち。その横で、家から持ってこられた次の持ち主を待つものたちがテーブルに並べられました。

長テーブル二つ分にずらりと並んだギフトたち

夏休みの読書にぴったりの本を持ち帰ってくれた小学生
息子のために探していたイメージ通りの浮き輪をいただきました


この取り組みをして興味深かったのは、『もらってもらうと嬉しい』という感想がたくさんあったことです。参加者の感想の一つを紹介します。

みんなそれぞれ喜んでもらいもらわれ、おうちにあった手持ち無沙汰なモノたちも喜んでいるようでした。加えて、受け渡しし合う私たちも笑顔で、ほんとうにありがとうございました。

ギフトエコノミー体験会参加者の言葉

それに『(いつもこの居場所で顔を合わせている)このメンバーだと、安心してやり取りできる』という声もありました。やはり、自分が大切にしていたものを他の人にまた役に立ててもらえるということが喜びだし、そのやりとりができるのは安心できるコミュニティならではなのではないでしょうか。この安心できる心の交流は、金銭を介しては得られないもののように感じられました。

また、当日会場に来られなかった人のためにも、新しい持ち主がまだ決まっていないものたちの写真を撮り、SNSグループでシェアしました。そうしたら、友人が自転車を探していたのでその人に繋いではどうか?というメッセージがありました。周りの人たちに想いを馳せて行動するお互いさまの精神に溢れた人たちだなと感じ、心温まりました。反響がとても大きかったので定期的に開催したいです。

今後も楽しみながら笑顔溢れるギフトエコノミーのコミュニティ=「お互いさまの街」を拡げていきますね!今度は遊びに来てください♪

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