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ショートショート 出会い厨


??「佐藤さん!お久しぶりです!俺、たく!覚えてる?」

私「…久しぶり、だ、ね〜。」

私は全力で記憶の中を探る。たくと言う人物と今まで接点があったか?こんな顔の人だったのか?そもそも、佐藤さんとは誰なのか?、?佐藤さんって誰?

私「すみません。勘違いしてしまったんですが、わたしの名前、佐藤じゃないですよ。人違いだと思います。」

たく「あ~!そうなんですか!すみません!私の知り合いの佐藤さんにそっくりだったので、声かけちゃったんです(笑)。その佐藤さん、かなり美人で、よく声をかけてはシカトされるので、今日は反応してくれるんだ!と思っていつもと違うなぁって、思ってたんですよね〜。休日だからかな?とか考えてました。」

私が声をかけられたのはちょうど、飲み会が終わり、信号待ちをしていたタイミングだった。飲み会は、可もなく不可もなくといった盛り上がりで、もう少しはしゃぎたかったなぁと、帰るかどうかほんの少しだけ考えていた。

私「佐藤さん、じゃなくてすみませんね(笑)。けど、いつもシカトされてるのに声かけにいくって、あなた大丈夫ですか?」

相手は目を丸くし、キョトンとしている。またやってしまった。今の物言いは少しストレート過ぎたかもしれない。私は初対面の人でも少し強めに発言してしまうので、友達から注意されたことがあった。

たく「大丈夫?って何がですか?僕はとりあえず、佐藤さんにあったら話しかけてるだけなので、佐藤さんもシカトするのが日課なんだろうなあ~って、全然大丈夫ですよ!」

彼はおかしい。私の直感がそう叫んでいる。いや、シカトするのが日課の人って何?絶対嫌われてるよ、君。私は思わず笑ってしまった。

私「なにそれー!それ、絶対嫌われてますよ!笑」


…声をかけた彼女は、ようやく笑顔になった。正直、会ったこともない人であったが、日本には佐藤さんがたくさんいる。違っても、佐藤さんと呼んでおけば、不信がられずに話すことができるのだ。(さ、今日も女をゲットした!美人だし、最高だー!)


あとがき

このショートショートを思いついたきっかけは、先日、少し大きな街へ1人出会い厨(私の場合は誰でも良かったんですが)になって、ひたすら会った人に話しかけていった結果、最初に話した3人の内、3人が佐藤さんでした。そのため、名前忘れた人呼ぶときは、とりあえず、佐藤さんって呼んでおけばいいなぁと気づいたのが、きっかけです。
ちなみに、片っ端から話す中で、可愛い女の子とも話しましたが、「君童貞でしょ!」と初対面の女の子になじられ、怒られたのは、なかなか痛快でした。もちろん彼女は笑いながら、怒っていたんですけどね。夜遊びもたまにはいいですね。

したらね〜!

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