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チャッポン!第2話

阿蘇「別府く〜ん。これ、やりっ放し〜。ちゃんとしなよ。」
別府「あ~!ごめんなさい!」

数時間後

阿蘇「別府!コラ!やりっ放し!」
別府「ヒィーごめんなさい!!」


阿蘇さんは丸みを帯びたフォルムに、光沢のある頭をしている。一見、人畜無害そうな優しさを感じるが、後片付けをしていなくて怒られまくっているので、あまり声をかけられたくない。

とはいえ、怒られている内容はごもっともで、最近は何か作業を行った後、振り返るようになった。だからといって、やりっ放しが治ってないので怒られているわけだが…。

阿蘇「ところでさ、別府くんは休日何してるの?」
別府「特にこれといったことはしてないですねぇ。あんまり言いたくないですが、YouTube見てたら休日終わってます。」
阿蘇「あ、そう。人の趣味をそんな風に言わないでほしいものね。実は僕もYouTube見てるんだ。休日はもちろん終わるさ。」
別府「罪悪感とか、無駄にした感ないですか?」
阿蘇「何で?したいことしてるから無いよ。YouTubeを時間が許す限り風呂でダラダラ見るんだ。最高だろ?」
別府「おおお~!やります!それ!」


普段は沸かさないお風呂を沸かす。
見ていると増えない水面。目を離すと溢れそうになっているのは何でだろ?などと考えていたら、ちょうどよく沸いていた。

さて、さて、お待ちかね。
お風呂で過ごすために他の家事はもう終わらせたんだ。そういえば、友達から貰った入浴剤、折角だから今日使お〜。

チャッポン!

お湯がゆっくり色づく。入浴剤の重みやお湯の温度差で重力のような無重力のような不思議な広がり方をする。お風呂場には檜の匂いが立ち籠める。

ぬるま湯に浸かってアニメを一気見。ぬるま湯に浸かって何が悪い。暑いお湯ではアニメを見続けられない。仕事も長く続けるならぬるま湯くらいがいいじゃないか。

一人合点し満足そうな青年がそこにはいた。誰よりも平和な時間を過ごしていた。

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