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ホオジロザメの兄妹の話

ホオジロザメは子宮で受精し子宮で赤ちゃんを育てます。でも魚だからヘソの緒はありません。では何を与えて赤ちゃんを育てるのかというと、実はお母さんは自分の卵子を与えます。お兄さん、お姉さんは自分の弟や妹を食べて育つのです。

ここはホオジロザメの子宮です。

ある日一粒の妹卵子が赤ちゃんザメの兄にこう言いました。「南の海の神様は何でも願いを聞いてくれるとお母さまから聞きました。だから今度生まれて来るときはきれいな真珠にしてほしいと、いつか南の海へ行ったとき、どうか私の代わりに願ってほしいの」

お安い御用だと兄は答えて、妹をムシャムシャ食べました。

兄は生まれると怖いもの知らずの人喰鮫となりました。当たるを幸い食いまくる暴れん坊となりましたが、南の海までやって来ると大きなシャチに襲われて、あっという間にその餌食となりました。

でもその時シャチに食べられながら、兄はふとあの妹のこと思い出したのでした。そして涙をひとしずく流すと、それはきれいな真珠となって海の底へ沈んでゆきました。

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