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とあるバンドの楽曲制作(スタジオワークス)

初めまして。
僕は音楽家です。
そしてドラマーだ。
ドラマーとは、西洋で開発され発展した太鼓を沢山並べてある
『ドラムセット』
いわゆる、ビートやリズムを出す楽器の演奏者のことだ。
僕は、この楽器をもはや中学生の頃からやっていて、
結構な年月をこの楽器に費やしてきた。
そんな僕の、とある1日の日常を聞いていただきたい。

春、まだ肌寒さの残る、おそらく4月頃だったっと思う。

僕は、とある知り合いから演奏の話をもらって、都内のスタジオに足を運んだ。
「外に出ると、まだ寒いから何かを羽織って行こうかな」
そんな事を思いながら、電車に乗り込む。

おそらく、時間は昼過ぎの13時頃、ほかの乗客もお昼ご飯を食べた後なのか、
それとも、いつも夜働いている、夜のお仕事の方々なのか。
みんな、揃って眠そうである。もう昼だというのに。

そして車内90%の人たちが、イヤホン、ヘッドホンで耳を塞いでいる。
ここ何年の間に、我々人類のテクノロジーはとてつもないスピードで進化を遂げ、今はもうCD(コンパクトディスク)を持ち込んできている人は、
恐らくいないだろう。
僕が音楽に興味を持ち出した時、音楽を聞く手段はまだカセットテープがあり、
代替するようなものとしてMD(ミニディスク)と言われるものもあった。
これが革新的で僕はものすごく重宝してきた。
だが、今はMP3プレイヤーの類が世界を支配しているといっても過言ではない。

おかげで、ものすごく身近なものになったと思う。
そこの発展に至っては、とても嬉しいのだが。

そんな事を考えている間にも電車は、僕の思考を余所に目的地まで
どんどん距離を縮めていく。

いつもの事だが、初めての音合わせの時は緊張する。
自分がどこまで準備できているか、周りに比べて、
劣っていても、優れていてもあまり良いことはない。
なぜかというと、足並みを合わせる必要があるからだ。

普段、我々音楽家は依頼人から楽曲や譜面をもらい、それを演奏するのだが、
どうしても不安なところは毎回ある。
それは必ず、と言っていいほどだ。

『あの進行の後は、ソロが入って土台だけはサビと一緒だからっ……。』
こんな事をいつも移動中は考えている。
正直この時が一番辛いかもしれない。

集中力が少し切れ出したところで、いつも電車は到着する。
『あっ!もう行かないと乗り過ごしてしまう!』
はい。もうさっき考えていたことは、どこかにすっ飛んでしまった。

駅を降りてからが、我々にとっては正念場なのかもしれない。
そう思えてならない。
初めて行く所がほとんどで、なおかつ他のメンバーの人たちとも
そんなに仲良くない。
万が一にも、遅刻でもしたら目も当てられない。
正直怖い、恐い。。。
駅の出口も間違えると、命取りな場所もある。
用心するべきである。

約束の場所に向かう道中、長年の経験、むしろ悪い癖か。
街並みを覚えて歩く癖がある。
どこにコンビニがあるとか、漫画喫茶があってだとか。
いささか日本古来の忍びの習性なのかと。

時間があれば僕は、ほとんどと言っていいほどコンビニで缶コーヒーを買う。
多分気合が入ると思い込んでいるのだろう。

そして長い道のりの末、到着する。約束の場所だ。

目的地に着くと、まだ来てない人が半数、もう来てるという派閥が分かれる。
これで大体の態度がわかる。
しかし、かくゆう僕はまだ来てない方の部類に入るのだが。

我々の挨拶は、朝でも、昼でも、夜でも、
「おはようございます」
である。
夜通し作業をしていて、まだ寝れてない人もいるようだ。
それでも、「おはようございます」で、ございます。
そして、意外とここまで一切言葉を発していないのも面白い。


ミーティングスペースで一通りの今日の流れを伺った後、
スタジオに入る。
「よろしくお願いしますね〜。」『…お願いします…。』
いろんな思惑が混ざり合う中、セッションは始まる。

スタジオでの作業は大体が、曲の進行や、音程を出す楽器の場合は、
その確認作業に追われるのだが、僕の目線からみると、
『なぜ、そんな所を間違うのだろう?』
と、いつも疑問を感じる。

いつも、バンドの編成はギター、ベース、ドラム、ボーカル。
この4つが基本である。
たまに鍵盤が入って演奏するのがほとんどだ。

ドラムはいつもベースと一緒にリズムを担当する。
など、決まりみたいなものが存在している。
それこそ、ぴったりあっていればいるほどサウンドがしっかり締まる。
そんな認識があるのだが、僕はあまり共感できない。
『それはなぜか?』
ほとんどのミュージシャンの演奏は厳密にはずれているし、
一緒のタイミングで演奏すると力強い音だけしか生まない。
まろやかな音が出てこない。
この認識はどんな楽器でも広い定義で考える必要がある。

そして、いざ実践。
まさしくリハーサルが始まろうとしている。

大音量の中、ドラムは周りの音を監視して、サポートに回るべき楽器であるため
リスニングが必要不可欠であり、もはやスタジオでは、
これとの戦いと言っても過言ではない。

ベースの包み込む音、ギターの柔らかく包容力のある音色、
その音を剣(つるぎ)に変えて道を切り開いて行く。
それがボーカルというものだ。

一通り合わして、今日は解散になるのだが、意気投合する人もいれば、
すぐ帰る人もいる。
Twitterなどの情報を交換してそのまま家路に。

今日の1日をレコーダーにとって家で聞き返すのだが、やはりいつも一発目は
よくわからない事をしていることが多い。
これが、いきなりまとまったら、もっといろんなモノが見えてくるのだろうか?


こういったことがあるから音楽はやめられない。


続く。


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