【書評】山口周「読書を仕事につなげる技術」「知的戦闘力を高める独学の技法」

読み始めたきっかけ

私はもともと本を読むのが好きなのですが、仕事でもっと良いやり方がないかとビジネス書に手を伸ばすことが結構あります。ただ、そうやって読んでいて、なんとなく成長した気になって、結局仕事にも活かせるわけでもなく、単に暇つぶしになっているのではないか、との疑念を抱いていました。そこで、よりインプットの質を高めたいと探して出会ったのがこの2冊です

本書のポイント

今回2冊まとめて紹介していますが、書かれている内容はかなり重複しており、正直どちらか1冊読めばもう1冊を読む必要はないのではないかと思います。例えば、読んだ内容をそのままにしておくのではなく、「抽象化」することの重要性や、「感性を保存」するためのマーキングの方法は共通しています。しかし、両方の本に重複して書かれていない、著者おすすめの本のリストこそが、この本で一番のセールスポイントではないかと思います。「読書を仕事につながる技術」では経営・会計・組織論といった分野の本がビジネス書マンダラという体裁で紹介されており、正直これだけでも値段以上の価値があると思います。また、「独学の技法」では、経営学、経済学などは一部重複していますが、歴史や宗教、自然科学といった分野でのおすすめ本が紹介されています。両書の著者は、もともと大学・大学院では哲学や美術を専攻し、その後、経営コンサルタントに転身された方で、知識のバックグラウンドの広さ、博覧強記ぶりが尋常ではなく、現在は「ナレッジキュレーター」(知識の編集者)なる肩書で活躍されている方です。そんな方が良書を厳選しておすすめしています。私も両著書で勧められている本の3分の1程度を2年がかりで読んでいますが、つまらない、役に立たないハズレはほとんどない印象です。

おすすめの方と思わぬ副作用

仕事で危機感を感じていて、「このままじゃいけないと思うんだけど、どうしたらよいか分からない」という方は、とりあえず紹介されている本の中で、気になったのを何冊か読んでみるのがよいと思います。(もちろん、本書に書かれているノウハウを活かせばよりよいですが、読むだけでも十分効果があると思います)ただ、私の経験談として、「独学の技法」で紹介されている歴史や宗教の本を読んでいるうちに、そっちの方が面白くなってしまうという思わぬ副作用がありましたが、結果として人生のQOLは高まったのではないかと自己正当化をしております。




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