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「スマホで人を見る」時代が終わった。

【エポックメイキングだったPixel6a】
一言で表現すると、時代が変わった感じがする。2022年7月28日発売のGoogleのPixel6aは、簡単に言えば、「最強の頭脳」「そこそこの低価格」「必要の無い機能を省く」「そこそこいいデザイン」「申し分ないブランド」で、ほとんど1か月で競合他社を黙らせてしまった、と言う感じが自分ではしている。

【自分だけの事情】
自分では仕事もあって、Androidを搭載したスマートフォンとiPhoneを以前から併用している。どちらも「フラッグシップ」と言えるモデルではあるが、自分の事情として、クルマを持っていないし、なんと、今どき、と驚かれるが、自分の年齡では非常に珍しくクルマの免許も持っていない。クルマに気持ちが向いたことは無くはないが、ITの仕事になってから、それ一筋、という感じで、それに必要の無いものは意識して省いてきた。半ば意識的にしてきたことだ。だからITによるコミュニケーションツールはかなり前から自分にとって重要なものではあり、かつ意識して、それにお金もかけてきた。たいした金額ではないけれども。クルマにお金をかけなくて良かった、という事情も、意識してそうしてきたものではある。なぜそうしてきたか、というと「そういう時代が来るはず」という確信があったからだ、というだけだ。

【iPhone/Appleというブランド】
iPhone/Appleという「ブランド」は現時点でかなり確立していると言って良い。「スタバでドヤる」のに、WindowsのPCとAndroidのスマホ、ではヤボ以外の何者でもない。多人数が集まる席で腕時計をしていくにも、有名腕時計メーカーの腕時計ではむしろ「その場の雰囲気が読めない変な人」になってしまう。その代わりに、とは言っても、どこのものともわからないスマートウォッチを付けていくのではおもちゃを手にしているようで格好がつかない。ところが、AppleWatchをつけていけば、なんとなく自分を良く見せてくれる、という感じがする。少なくとも「まともな人」に見せてくれた、と思えた。AppleWatchをしている、ということは、それでしか接続できないiPhoneを持っている、ということだから、iPhoneはある意味、ルイ・ヴィトンみたいな大衆向けブランド商品の一つだった、と言って良いだろう。自分の場合でも、普段使いではないにも関わらず、AppleWatch/iPhoneのほうがここはいいだろう、と判断して付けていったことは幾度もあった。

【iPhone/Appleが色褪せて見えた】
自分でも驚いたのは、数日、自分なりの試験のためにPixel6aを使ったら、iPhoneはもういいや」という気持ちになってしまったことだ。あ、これがいいや。という感じだ。

【時代が変わった】
時代も変わって「スマートフォンは贅沢品」ではなく「日用品」に変わってきた。クレジットカード、キャッシュカード、ポイントカード、デビットカードなど、あらゆる財布を膨らませてきたものをスマホひとつにまとめられる(まだまとめられないものもあるし、セキュリティ上まとめていないものもあるが)。しかも、行政から受けるサービスでもスマホ必須、などなど、スマホは一層「事務用品」「日用品」という感じがしてきている。何らかのスマホを持っていると、それが自分の気分を高揚させるステータス、という人も多いだろうが、それも薄れて来ている。それが今の世の中の流れだ。

【やがて出てくるだろうとは思っていたが】
「GAFA」とは既に米国でも言わなくなってきたが、いぜんとしてGAFA企業の存在感は大きい。その中でも近年のAppleは「ハイテクの装いをしたブランド品を作る」事に長けていた企業だ、と、私は思っている。広い認知もある。しかし、盛者必衰である。いつかはそれに終わりが来る。ふつうは突然、思いがけないタイミングでやってくる。歴史を振り返れば、そういうものだからだ、としか言いようはないけれども。そして「その時はおそらく今だ」と、私は思う。その時は、GAFAの一角を担う巨大企業、Googleが動いた今ではないか?

【「そこそこでいい」「でもちょっといいのがいい」時代】
「コロナ」「戦争」「物流停滞」「物価高騰」。世界的にも不況がはっきりと始まった。巨大通信インフラ企業のトラブルが幾度となく。空気に不安が交じる。物価高騰は円安で喘ぐ日本だけではない。上り坂の世界から下り坂の世界に変わった。かつての「豊かだった昭和」が懐かしがられ、それでも時間の流れの中を生きていく我々は先を見て生きていくしかない。贅沢はできないけど。「ブランド」で「お金持ちみたいに見せる」ことがいいことなのか?生きていくために・自分をより良く見せるために・高いものを買うのか?そうじゃないだろう。そんな時代が始まろうとしているのではないか?

【Google/Pixel6aに見る「時代」】
Googleがこのタイミング(Appleの新製品発表直前)で投入したスマートフォン「Pixel6a」はこの時代の変わり目を象徴しているプロダクトではないか?と、私は思う。「現状では最強のSoC(CPU)と必要十分以上の機能」「iPhoneのほぼ半額と思える価格」「適度に控えめで、それでいて好感の持てるデザイン」。

そろそろ、iPhoneは卒業してもいいかな?SIMカードをiPhoneから抜こう。

そう思わせるに十分なものを、この時代のこのタイミングでPixel6aは持った。そういう感じが、私はしている。

【とは言うものの、Appleは強いよ】
この「下り坂の世界」というこの時代に、Appleも答えがないわけではない。かつて「iPhone5」の時代に「iPhone5C」という、高級感よりも安価でカジュアルなものを目指した「C」を付けた製品ラインを作っている。プラスチック筐体だが、カラフルな多色の品揃えで、高級感よりはカジュアルな雰囲気がある。そして、近年は「少し安い」、「iPhoneSE」を出して、今も続いている。もっとも、ブランド企業としてのイメージがあるAppleにとっては、それらの安価な製品は「傍流」でしかなかったように、私には見える。金持ちイメージの高級ブランドがメインの同社なのだ。それを転換できるか?そこが、9月に行われる同社の発表会のメインテーマだろうな、と、個人的には思っている。「金持ちはダサい。お金は必要だけどね」という世の中に変わってきたのだから。

【IT大衆化の時代が始まる】
結局、これから始まるのは「IT大衆化の時代」だ、と、私は思っている。かつてAppleが倒産危機に陥ったときは、すばらしい機能・性能を持った「AppleのMachintosh」から、より大衆化した「Windowsの時代」に変わったときだった。いま、スマホでそれが起きているのではないか?だとしたら、次の世代のSteveが降臨しなければ、先は無いのではないか?しかも、Steve Jobsのときより、もっと大きなマインドで世界を覆うような変化を起こせる人間が必要なのだろうな、と、私は思っている。

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