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#13 第5チャクラの課題と、エネルギー代謝、物質代謝、さらに細胞のエピジェネティクスについて(後編)

前編に引き続き、後編。お題は、放射線治療後や抗がん剤投与中に「どう食べ、どう動き、どう休むのか」。実際にがん治療中のクライアントさんとの会話やセッション内容をまじえて書きます。

食べて・動いて・休む。

心身に不調を感じたとき、「何をどうすれば治る?」という方向に意識を向ける方が多いのではないでしょうか。この「治る、治らない」の思考パターンには、落とし穴もあると感じています。

「何をどうすれば治る?」という意識が過剰だと、「食べて・動いて・休む」の循環がアンバランスになりがちです。頑張りすぎたり、盲信したり。「食べて・動いて・休む」をうまく回すには、「どういう条件下でどうなるのか」にフォーカスしたほうが、その人個人の体質や気質、心のクセや反応パターンに気づきやすくなります。

玄米を食べて良くなる人もいれば、悪くなる人もいます。肉を食べて良くなる人もいれば、悪くなる人もいます。動いて良くなる人、休んで良くなる人。がんに糖質制限はいい悪い?腸活?瞑想?あれやこれや。「何がいい、悪い」の問題ではなさそうです。

外の世界に「何をどうすれば治る?」を見ているかぎり、次々と流れてくる情報に翻弄されるでしょう。何年もかけてあらゆる療法を試した挙句、悪化している人も知っています。「意識のバランスをとるだけ」のボディートークを受けて改善方向へ行きましたが、少し楽に出歩けるようになったらまたいろんな療法へ「治してもらいに」出かけ、帳消しになってしまいました。

トラウマやメンタルブロックを探すのも、それが必要な時もあるでしょうが、探して外したら治る、というものでもありません。

まず、救急の処置が必要かどうか。外部サポートが必要かどうか。
今、安全かどうか。安静が必要かどうか。
次に、ご自身で療法とケアをする段階であれば、「食べて・動いて・休む」を、どの条件下で行えば自然治癒が進むのか。
療法を探したりトラウマを解放したりするのは、その後のこと。

今、その人には何が優先ですか?

Mさんは、一年前に乳がんがわかり、抗がん剤治療を数ヶ月して手術したところ、すぐ再発して二度目の手術をされました。

初めてのセッションにいらしたのが、手術後1ヵ月ほどの年末です。
今年の1月、再度しこりが大きくなり入院。手術もできず、痛みでモルヒネを打ち続け、その間の記憶はほとんどないそうです。治療も壮絶ですね。

入院中の遠隔セッションも含め3回施術を受けてくださり、少しお元気になられて、先日また、セッションにお越しになりました。

放射線治療後の、皮膚のひどい炎症は残っているものの、髪や目の輝き、むくみはだいぶ改善し、二つあったしこりのうち、ひとつは小さくなり、もう一つは大きく残ったまま、右腋窩を圧迫している状態です。
病院では、手術でもできないしこりがなぜ一つ小さくなったのか、首を傾げていたそうです。

Mさんはもともと運動好きの体力のある方で、体はがん細胞をどんどん出したがっているものの、病院のがん治療にも耐え、家族環境も落ち着きを取り戻しています。

病院の看護師さんから、「しこりの根っこは治らない」と言われたそうで、わたしはMさんと、がんの考え方について会話をし、さらに放射線治療後にどんな食事をしたらいいかというお話をしてから、セッションに入りました。会話をしながら、その人が無意識に握りしめている思い込みや思考パターンを観察し、本来の優先が出やすいようにして行きます。

がんにまつわる食事についての情報が山ほどある中で、「今、その人には何が優先ですか?」を決め、食べて・動いて・休む時の自分の条件を知ることについて、記録を残しておきたく、承諾を得て記しています。

がんを運命だと思いますか?

わたしが最初に聞いたのは、「がんを運命だと思いますか?」という問いかけです。あらかじめ人生に起こると決まっていたもの、起こるべくして起こった必然なのか、たまたま降りかかってきた偶然なのか。

Mさんは、「起こるべくして起こった必然だと思います」と答えました。

次に、こう問いかけました。「入院中、生きるか死ぬかを決めたのは、運命だと思いますか?」

Mさんは、「あの時に死ぬ運命だったけれど、何かやり残したことがあって生き残りました。こうして今生きているのは、運命ではありません」と答えました。

わたしはちょっとだけいじわるに、こう聞きました。
「運命か否かの基準を握っているのはMさんご自身のようですが、人間の意志を超えたものを運命というのではありませんか?」

ちなみに、ボディートークのマニュアルはヴェーダ哲学を根拠としているので、「人間には自由意志はない」という信条を採用しています。偶然もありません。
「人間には自由意志はない」という言葉を聞くと、少しギョッとしますね。自由や意志という言葉の定義も、意識の在り方で変わりますから、わたしは三次元レベルでは「人間には自由意志はない」と言うこともないし、別の角度から見た人間の意識の自由を探求しています。

運命も根拠も信条も今はどうでもよく、Mさんが何を信じているのかが大切です。ご本人が信じていることがご本人の世界に現実反映するのですから。

Mさんが「治るか治らないか」も、運命に定められているのでしょうか。

「運命か否か」の問いかけに人間は立ち入ることができず、何かの基準で決めようとすると命題自体が破綻するので、証明不能です。

「生きるか死ぬか」「治るか治らないか」も、人間が決めるものではなく、より大きな生命の営みの現れの中にあります。

五感に制限された知覚の中に生きているこの世の人間が、「根っこは治らない」「これをすれば治る」「これを食べれば治る」という言い方をしたがるのは、そこに「手綱を握りしめていたい」という恐れからの支配欲が隠れています。

生きるか死ぬか、治るか治らないかという文脈は、がん罹患やがん治療についてまわります。証明不能なその命題に気を取られていると、より健全な実践に進みにくいな、とわたしは見ています。

Mさんとわたしは、「運命か否か」「生きるか死ぬか」「治るか治らないか」という、重大そうに見えて実は意味のない考えをとっとと手放し、もっと大切なことに目を向けることにしました。

放射線治療が終った今を、どう過ごすか。

Mさんには、放射線治療の後遺症で、腋下から胸部、腹部にかけて、強い痛みや引きつれをともなう皮膚の炎症が起きています。皮膚だけでなく、肺組織にも影響があり、他の細胞組織にも影響は出ているかもしれません。

エネルギー的に見ると、手術し、放射線を当て、今も強い抗がん剤を入れて治療中の右半身は、ほかの部位と比べて、圧倒的に力が弱まっています。

優先は、放射線治療の後遺症からの回復です。
これはわたしが決めるのでもMさんが決めるのでもなく、インネイトに聞きます。インネイトとは、何が起っているのか、どうすればいいのかを自ら知っている、わたしたちの深い意識に内在する天生の知恵です。
Mさんの場合、ただ皮膚炎を改善するのが目的ではありません。同じ右の腋窩に大きな肉腫があり、血液循環やリンパ循環を阻んでいます。

元をたどると、放射線治療が原因でもないし、がんが原因でもありません。今、皮膚炎が起き、肉腫があり、体を拘縮させている、その症状そのものの中に因子があります。
わたしはつねに因果を逆転させてとらえる思考法が身についているので、話をするとキョトンとされることが多いのですが、過去に原因を求めている限り、未来はその延長線上のスコープから飛び出すことはないでしょう。

がんも治癒プロセスの一つ

放射線治療の後遺症である皮膚炎を、何かの結果だと見てしまうと、マインドは時間の狭い因果関係に閉じ込められます。観察が限定され、治癒プロセスの可能性が限定されるので、量子療法から遠ざかります。

インネイトの意図は、皮膚炎の回復の焦点を当てることで、Mさんの意識をがん細胞を消したがることから、ご自身の体の組織再生へと移すことにありました。

わたしたちの意識は、頭部、胸部、腹部で、異なる働きをします。
1. 心に何かを詰め込みすぎて、頭がそのことでいっぱいになり、病的なものを溜め込む。
2. 頭に何かを詰め込みすぎて、脳と体の意識がバラバラになると、病的な可能性が発現に向かう(発病する)
3. 胃に何かを詰め込みすぎて、頭がぼんやりし、体が疲れる。弛緩しすぎて弱まる。

Mさんは、発病前、1のパターンに陥っていたように見受けられます。そして体にエネルギーを使わせることで発散していました。この発散パターンのアンバランスを取らないと、皮膚の再生に回す栄養がエネルギーに化けてなくなってしまいます。

溜め込んでいたものを、体の発散パターンで誤魔化していると、いつしか体は疲弊し、酸化ストレスを蓄積させます。こう考えていくと、がんも、何か悪いものが出たというより、Mさんに本来必要な「入れて、出す」を健全に行えるよう促してくれる、治癒プロセスの一つだと思えてきます。

皮膚は最大の排泄器官であり、腋下リンパを含む右半身の皮膚全体が放射線焼けを起こしているということは、それ自体が因子、つまり排泄の意識のバランスをとることが、Mさんの体が欲している真の意図になります。

となると、「食べて・動いて・休む」の条件も見えてきます。
食べる:皮膚再生のための生合成を促すものを食べる。
動く:エネルギーを消費しすぎない。
休む:成長ホルモンを出す、休むのサイクルを強める。

成長ホルモンは、タンパク質を同化し、脂質と糖質を異化する働きがあります。インスリンも細胞増殖を促しますが、脂質と糖質も同化させる働きがあります。同化は、栄養素を筋肉、脂肪組織、肝臓に取り込むことです。異化は、糖質や脂質を分解してエネルギーを獲得することです。

たんぱく質と、同化に必要なビタミン・ミネラルを増やし、血液循環を上げること、糖質も怖がらずに摂っていただいて、眠っている間に体にせっせと治癒してもらう。これは、Mさんの条件において、です。こうしたことを、経験値や統計ではなく、インネイトに聞きながら進めていきます。

筋肉を維持するための脳との連携も、セッションの中でやりました。運動好きなMさんはこれを面白がっていました。

こうなるともう、闘病とか、治すとかというより、ただの毎日の一コマになっていきます。もともと体力のある方ですから、感情も情報も食べ物も、摂取と排泄があるべきところに収まり、バランスされてくると、肉腫も他の組織を圧迫、圧倒する恐ろしい異物ではなく、周辺組織の健全化した意識に同調をしていくでしょう。

前編では、わたしの遺伝子に関するエピジェネティクスのセルフセッションについて書きましたが、細胞の再生と破壊の秩序をバランスするのに、エピジェネティクスは欠かせないテクニックです。最新の分子細胞学に基づき、細胞老化の再バランス、細胞増殖抑制、代謝、炎症、毒素暴露による脱メチル化や肝臓負担など、詳細にわたって観察し、変容をもたらします。

ご興味がある方は、葦江祝里のセッション、体験してみてねー。


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