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【アナ雪2を観る前に】アナ雪はしんどいことを気持ちよく歌う変な映画

『ありのままで』は一般のイメージにある爽快な歌ではない。しんどい歌だ。
原題の”Let It Go”は『ありのままで』というよりも『どうでもいい』というニュアンスだそうだ。
誤訳なのだ。

試しに
♪ ありのーままにー
を、
♪ どうでもーいいのー
と歌ってみたら、この歌の苦しさがよくわかる。

映画のクライマックスとして、壮大で爽快なエルサの魔法とともに展開される主題歌。
確かに映像は爽快だし、その映像と歌の相乗効果でこのシーンはとても気持ちが良いものになっている。

だけれども、アナは気持ちよく歌い上げているのではない。
もうどうにでもなれと悲鳴をあげているのだ。

最初は羽織ったマントをぎゅっと握りしめて、とても寒そうなエルサ。
だけれどマントを投げ捨て、魔法で氷の城を出現させ、薄いドレスに着替える。

悲鳴をあげながら変身していき、歌の最後には、
♪ すこしも寒くないわ
である。
エルサは寒さを感じる人間であることをやめて、氷の怪物になった。

これも外見を綺麗な女性、より綺麗になった女性として描いているから、観客は騙される。
外見は人間でも、中身は人間の感覚を遮断した怪物だ。
「寒くないわ」と言ったあとエルサはドアを閉めて、全ての人を自分の世界から締め出す。

これはその前のシーンで人間のアナが、
♪ 窓もドアもあいてる
と喜んでいる歌と対照的に作っているのだ。

悲しくて苦しいシーンを高らかに爽快に歌い上げて観客を騙す変な映画。
そして、翻訳家もわざと誤訳してその騙しに加担する。
だからアナ雪は面白い。

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