世界の森林生態学者の藤森隆郎さんと語る「短伐期皆伐造林」政策の生態学的および社会的問題点と「オルタナティブ案」
2024年3月14日(木)16:00-18:00 藤森隆郎さんと池田憲昭の対話: 90分 参加者との対話: 30分
案内・申し込み:
https://fujimori-ikeda.peatix.com/view
「木材自給率上昇」「CO2吸収量の増加」「低コスト化」「最近では花粉症対策」といった様々な理由付けで過去10年余り、林野庁によって推進されている「短伐期皆伐造林」の政策に、真摯に真っ向から反論し、オルタナティブ案を提唱されている元森林総合研究所・森林環境部長の藤森隆郎さん。以下は、藤森さんが最近書かれた、未発表の原稿からの抜粋です。
「短伐期皆伐造林」には、科学的根拠も経験則も見られず、持続可能な森林管理の理念に反したものである。短伐期皆伐造林では低コストを強調しているが、コストのかかる植栽と初期保育の頻度の高い短伐期がどうして低コストなのか全く理解できない。
木材の生産設備は、生産目的樹種が主体の森林生態系である。用材生産において、せっかく充実してきた生産設備を40年ぐらいでご破算にするのは非合理である。
この政策の最大の欠点は、次世代以降への配慮、特に森林業従事者、森林の多面的機能の恩恵を望む多くの国民への目線、多様性を全く欠いていること、すなわち「持続可能な森林管理」に完全に逆行していることである。
同時に大きな問題は、学者、学界がこのような持続可能な森林管理に反する動向に対してほとんど目をつむった状態で来ていることである。
藤森さんは、国連傘下の持続可能な森林管理の基準・指標作成委員会(モントリオールプロセス)の日本代表、IPCC(気候変動に関する政府間パネル)の執筆委員などを務め、IPCCのノーベル平和賞受賞に貢献したとして、IPCC議長から表彰されています。
日本が誇る世界の森林生態学者の50年以上にわたる科学的知見と信念に基づく、重く切実な言葉です。
藤森さんの科学的・社会的な主張は、私が仲間と一緒に提案し支援してきた「気くばり森林業」の一つの大きな基盤です。私が書いた『多様性〜人と森のサスティナブルな関係』(2021年)に対して、藤森さんから頂いた個人的な1万2000字の書評はだから、とても光栄なことで、近年、私がもらった最大のプレゼントでした。
その敬愛する藤森さんと、日本の森林におけるこの大切なテーマについて、一緒にオンラインで語り合う機会を得ました。
藤森さんの広く深い知識と経験、誠実で実直な人間性を、できるだけたくさんの方々に共有したい、という思いからの、念願の企画です。
次のテーマ・トピックについて語り合います。
皆伐は生態系サービス機能をほぼリセット(ご破算)にする
持続可能な原木生産にとって、なぜ生物多様性が大切なのか?
豊かな森林土壌と水源涵養機能
枯れ木、倒木、落ち葉が持つ保水・保湿の意味
樹木によるCO2吸収と土壌による炭素貯留のバランスが大切!
短伐期皆伐から、長伐期・多間伐の構造豊かな恒続森へ!
補助政策のシフトチェンジを!
研究者は「快適ゾーン」の外へ出るべき!
司会・対話者 池田 憲昭
森林環境コンサルタント
ドイツ在住25年 日独の「架け橋」として、森林、木材、建築、エネルギー、農業などの分野にて活動
www.arch-joint-vision.com
主催:Arch Joint Vision 社 & Smart Sustainable Solutions 株式会社
共催:国民森林会議 & 株式会社このほし
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