ラヴィット!はいつまで続くのか。他の情報バラエティ番組と比較すると?

 人間が1日にテレビ番組を見る時間には限界がある。普通に仕事をしていれば、1日に5時間も10時間も視聴することは難しい。1時間番組であればせいぜい2つか、多くても3つ。何かを選べば、何かは捨てる必要がある。

 「水曜日のダウンタウン」と「アメトーーク」。筆者の場合、この2つの番組がとりわけ視聴する番組の主な軸となっている。どれだけ忙しくてもこの2つには可能な限り目を通すようにしている。アメトーークの場合はコンスタントな視聴を続けてすでに10年以上が経過した。「ゴッドタン」、「ロンドンハーツ」、「ダウンタウンDX」、「ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!」、「全力!脱力タイムズ」、「笑点」……。これらの番組も比較的よく視聴しているが、毎回必ずというわけではない。たまに目を通しているという感じだ。筆者が視聴するバラエティ番組はここ5年くらいの間、特段大きな変化はなかった。ところが昨年くらいから新たにレパートリーとしてここに食い込んできた番組がある。1週間の内で視聴する時間だけならば、この番組が圧倒的にダントツを誇る。なぜかと言えば、週に5回も放送されているからだ。

 情報バラエティ番組「ラヴィット!」(TBS)が始まったのは2021年3月29日。毎週月曜から金曜まで平日はほぼ毎日、1日約2時間放送されるこの帯番組は今年3月で放送から丸2周年を迎えた。番組が始まって今年で3年目。現在の番組の調子をひと言でいえば、おそらく順調と言って差し支えないだろう。だが、番組の開始当初は決して滅茶苦茶評判がよかったというわけではなかった。当初はなんとなくパッとしないというか、すぐ終わってもおかしくなさそうなお安い番組に見えたというのが筆者の正直な印象である。

 開始当初は決して好調とは言えなかったラヴィットだが、転機となったのは放送開始から半年後の2021年10月。タレントのあのちゃんを仕掛け人として行われた水曜日のダウンタウンの遠隔操作ドッキリ企画だ。その内容はすでに多くの人がご存知だと思われるので割愛するが、この事件(?)以降、ラヴィットの知名度及び注目度が大幅に上昇したことは間違いない。何を隠そう、筆者は偶然ながらこの生放送をリアルタイムで目にしていたのだ。その時はいかにも生放送特有のグダグダしたモノを見せられたという感じだったが、(ネタバラシとして)後日放送された水曜日のダウンタウンを観て合点がいった。そしてなにより面白かった。筆者がラヴィットをコンスタントに視聴するようになったのはこの頃からになる。

 番組のキャッチフレーズは「日本でいちばん明るい朝番組」。いわゆる情報バラエティ番組の部類ではあるが、情報というよりは主にバラエティの部分に比重を置いた番組と言って差し支えない。「ヒルナンデス!」(日本テレビ)、「ノンストップ!」(フジテレビ)らとの違いはそこにある。これらの番組も芸人をはじめとした多くのタレントが出演する帯の情報バラエティ番組ではあるが、こちらの主な視聴者層はあくまでも主婦だ。メインターゲットは少なくとも根っからのお笑い好きではない。ラヴィットほどお笑い色が強いという感じではない。ヒルナンデスもノンストップも丸々1回キチンと観たことがないのでなんとも言えないが、生活に役立つ情報はそれなりにしっかりと提供しているという印象だ。だがその分、筆者のようなお笑い好きが最初から最後まで視聴する意欲を保つには少々難しい番組とも言い換えることができる。

 筆者の好みと合致するのは断然、ラヴィットだ。毎日生放送される番組の割には面白すぎる。今年4月からは毎週土曜日に「夜明けのラヴィット!」なる未公開シーンを含めた1週間の総集編的なものが放送されるなど、「令和版笑っていいとも!」への道を突き進んでいる感じだ。そんな「令和版いいとも」ことラヴィットだが、筆者個人の感想を言えば、子供の頃に観ていた笑っていいともより、いまのラヴィットのほうが正直上だと思う。30年以上続いた笑っていいともと比べるのは難しいが、少なくとも僕の好みはラヴィットに軍配が上がる。ラヴィットが今後あと何年続くのかは知る由もないが、たとえ4,5年で終わったとしても意見を覆す気は全くない。それほどに僕はこの番組に心を掴まれている。

 タモリさん、南原清隆さん、設楽統さんより、川島明さんのほうがお笑い的に僕の好みと数段マッチしていることは大きい。だが、僕がラヴィットを好きな理由、1年以上それなりに視聴を続けている理由は司会者だけではもちろんない。レギュラー出演者はもちろん、ゲストや企画、そして番組としてのコンセプトなど、あらゆる総合的な要素をひっくるめてこの番組が好きなのだ。

 この先も放送が続いていけば、出演者の顔ぶれや放送内容はたしかに少しずつ変わるかもしれない。だが「日本でいちばん明るい朝番組」という番組のコンセプト、その“色”だけは決して変わらないでほしい。朝からマニアック過ぎるものを紹介したり、少々馬鹿らしいゲームや企画などをやり通してほしい。もちろん時に批判されることもあるだろうが、そうした声さえ、ある意味では番組らしさと言い換えることもできる。他の番組が決してやらない、真似できないようなことをこれからもやり続けることができるか。番組存続のカギはここにあると僕は確信する。

 もうひとつ番組存続に対する懸念があるとすれば、先ほども述べたが、平日に毎日2時間放送される番組の割には面白すぎることだ。「面白いことがなぜ悪いのか」とも言い返されそうだが、週1の1時間番組ならともかく、ラヴィットは週5の2時間番組だ。少なくともいまのペースでは10年は持たない。そんな気がする。5〜6年続けばいいほうではないか。最近は少し力が入りすぎというか、貪欲というか、気づけばハイペースで飛ばしているというのがこちらの見解だ。放送から2年3ヶ月が経過したいまは大丈夫そうでも、いずれは番組として息切れする時が来る。お笑い的にネタ切れというか、マンネリ化による劣化の可能性は否めないのだ。そうした視点を傾けると、ヒルナンデスやノンストップのほうが番組の寿命という点においてはラヴィットよりも長そうに見えてくる。お笑い色をある程度抑えた番組の方が、好不調の差はそれほど大きくはならない。力を入れすぎない、ほどほどのペースで今後も番組を作り続けることができる。

 ラヴィットは今後どのくらい続くのだろうか。ヒルナンデスMCの南原さんが現在58歳で、ノンストップMCの設楽さんは50歳、さらに今年3月までスッキリ(日本テレビ)の総合司会を務めた加藤浩次さんは54歳だ。川島さんは現在44歳なので、少なくともまだ5年以上は十分やれると考えるのが常識的だ。現在の勢いはもちろん、思い切って言えば芸人としての実力はいまや上記のベテランMCをも上回ると思う。MC川島に対する心配は無用。ペース配分とよけいなスキャンダルにさえ気をつければ、そう簡単に番組は終わらないはずだ。令和を代表する、終了後も語り継がれる長寿番組になるのか。番組のひとりのファンとして、今後も目を凝らしたい。

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