ミシマ、シブサワ、タルガキホタルさん【エッセイ】
高校時代の同級生に、三日と空けずに街で誰かとケンカをして、他校の不良少年達に付け狙われている暴れん坊がいた。その彼が、あの自衛隊市ヶ谷駐屯地での事件が報道された翌日、私の下宿にやって来るなり、「三島由紀夫はなんで死んだんや」と訊いてきた。
私がそんなことを知っているわけがない。
だが、少し前に『仮面の告白』を読んでいた。彼はそれを他の同級生から聞いたのだろう。「死に憧れているようなところがあった」と、そんな答えを返した記憶がある。当たらずとも遠からず、と言いたいところだ