さようならと言った。

今までありがとう。そう言えずにここまで過ぎた日を思う。あの強い日差しが降り注ぐ地中海の街の夜。向かいの建物の窓に照らされた美しい満月を見た。どこかの街で、一人部屋に残された君がこの月を見て、同じ感情だったのか。激しく抱かれていたのかは私は知らない。どうでも良かった。ただ私は悪戯にあなたのことはそれほど笑う君を愛していた。どんな街の明るさに照らされようと、どんな街の暗闇に悲しみを共鳴しようと、僕の感情はそのネオン一色に染まった。それだけは確かなことだけだった。その悲しみと寄り添いここまできた。夜が明ける。

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