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そしてまたスタートを切る。/七草にちか:プロローグ

七草にちかWINGと「きよしこの夜」、「明るい部屋」、「World×Code」のネタバレを含むシャニマス考察記事です。
なぜ、七草にちかという存在が描かれたのか、そして七草にちかのこれからについて考察します。
不慣れなため読みにくいと思いますが最後まで読んでいただけると嬉しいです




■「四年目の」追加アイドル

シャニマスの各ユニットにはテーマカラーがある。それらを合わせるとシャニマスにとってのキーワードである「虹」になるのだが今まで緑が足りていなかったので次のユニット(もしくは最後のユニット)は緑ユニットであると予想されていた。Shhisの色が緑であったのは予定調和だったのだが、この「緑を最後に残す」というのに作為的なものを感じる。私はシャニマス信者なので「Shhisが最後に実装された」という順番にも重要な意味があるのではないか、と考えた。なぜ初期からいないのか、なぜストレイが先だったのか、なぜノクチルが先だったのか。

■「最後」じゃなきゃダメだった


シャニマスの、2ndライブで登場が予告された「七草にちか」。「はづきの妹」、「社長の旧友の娘」、「アイドル経験者との緑ユニット」、「謎のライバル」、彼女には初登場の時点で私達の関心を捉えて離さなかった。「きよしこの夜」、「明るい部屋」と二年間のクリスマスイベントで掘り下げられてきた天井努、七草家、そして283プロ全体が抱える因縁についに決定的な切り込みが入ると期待された。中には、
「え~~......アイドルはアイドルでちゃんとやろうよ......なんで社長のためにユニット一つ用意すんの?」
と、いうような不満の声も聞こえてきた。
そしてエイプリルフールイベントの「World×Code」では「P天」と捉えるしか無いような天井努の掘り下げがされ、にちかに対する「期待」はさらに高まった。この期待の積み重ねにシャニマスは3年間を費やしてきた。

さて、4/5、ウキウキと七草にちかのWING編に向かったP達を待っていたのは「地獄」だった(この表現は好きではないが)。

■地獄の入り口で裏切られたプレイヤー

「平凡」、「なぜこの子をプロデュースしようと思ったかわからない」。


え?


「今まで」プロデューサーは私達プレイヤーよりもずっとアイドルの近くにいた。彼女たちの輝きを信じて疑わず、時には拒絶されても「ダイヤの原石だと思った」などとクサイ口説き文句で熱心にスカウトをしていた。なのに、どうしてにちかにそんなに冷たいんだ?プロデュース開始後数分で私達はいいようの知れない不安感に襲われた。もちろん、プロデューサーだってにちかの憧れや懸命さを評価していた。しかし、私達は「プロデューサーの裏切り」に心を乱されてしまった。

■違和感

プロデュースを進めていくとにちかの「平凡」ゆえの焦り、苦しみを共に体験することになる。(恐らく)そのために用意されたであろう社長からの課題、「sR縛りAランク」。ヒナ達ととともに戦っていく中で、何か違和感を覚えなかっただろうか。

「あれ?WINGってこんなに難しかったっけ?」

「いつもなら」勝てる流行、オーディションで勝てない。少し目押しをミスしたらWINGに予選で敗退。私は、シーズン2で敗退したのは初めてだった。

■「今まで」、「いつもなら」

それは何と比べている?いや、「誰と」比べている?

「三年間」、幾度となくWINGに挑んできたプレイヤーにとって、そして「23人のアイドルたちにとって」もはやWINGなんてただのルーティンになっていた。

ゲームシステムを利用した、七草にちかの「平凡さ」の演出。こんなことは1年目の、WING優勝すらやっとだったころにはできなかった。

そして、「プロデューサの冷たさ」。私達はこの三年間でアイドルを必死に追いかけるプロデューサー像を刻み込まれていた。だから、なんで「にちかにだけ」冷たいの?と感じてしまう。本当は描かれていなかっただけでオーディションで落とされたアイドルもいたはずなのに。

プレイヤーの「感覚」が成熟するのをシャニマス運営陣は待っていたのではないか?

■靴に合わせる

「平凡さ」の克服のためににちかは「八雲なみ」の模倣を試みる。しかしここでプレイヤーは気づいてしまう。靴に合わせたアイドルの末路を思い出してしまう。履いたら死ぬまで踊り狂う赤い靴。(余談だが、社長の課題の目標は優勝ではない、つまり、「たった32シーズンで50万人のファンを集めたがWING終了と同時に姿を消す」という「八雲なみの再現」こそがゲームに与えられた「目標」であると私は考えている)

「自分自身」という「偶像」をまとったストレイライト。

「誰かになる必要なんてない」と走り出すノクチル。

同じ「普通」であっても「自分で選んだ自分だけの」チョコアイドル。

彼女たちとどうしても比較してしまう。

そしてここで私は気づいた。「きよしこの夜」、「明るい部屋」、そして「283プロの物語」。これらはすべてにちかのためにあったのだと。

■「平凡な女の子」七草にちかのための3年間

「社長のためにアイドルの話すんなよー」

違う。にちかのための、にちかが超えるための「因縁」だったのだ。また、追加キャラは情報量の少なさゆえにキャラが薄くなりがちなところを前持った布石の積み重ねと他アイドルとの対比によって新キャラにしては異常なまでの「厚み」を獲得する妙技を見せている。

「平凡な女の子」が絡まる因縁の糸を断ち、アイドル「七草にちか」として再スタートする、その物語を描くために今までの三年間があった。もちろん、シャニマスはアイドル一人ひとりのための物語である。しかし、にちかには、そしてプロデューサーには三年が必要だったのだ。今まで積み上げてきたすべてがにちかを苦しめ、しかし、今までのすべてがこれからのにちかを支えていくのだ。

元来、アイマスの主人公的ポジションは「平凡な女の子」である。「みんな特別で、みんな普通の女の子」というスタンスを守り等身大を描き続けてきたアイマスならある意味当然といえるかもしれない。

その点で、にちかには「主人公」になりうる。(繰り返すがあくまでアイマスはアイドル一人ひとりのためのものである。)L@yered wing 01のジャケット公開の際に「真乃とダブル主人公みたい」と言われていたことに納得できた。


では、「主人公」としての役割は何だろう。

■神殺し

神殺しは古今東西様々な物語のテーマになっている。過去の世界の神(クロノスやティアマトなど)を打ち破り新たな世界を築くのだ。

天井努の因縁には神がよく登場する。過去の幽霊を縛る「神社」、にちかにとっての「八雲なみ」、カミサマ「斑鳩ルカ」。この「神」を打ち破ることこそがにちかの「役割」ではないだろうか。Shhisの曲が「Oh my god」なのも示唆的だ。

WING編終盤、プロデューサーは苦しみが終わることを「祈る」のを止め、「笑うための戦い」を始める。

七草にちかのWING編は、そしてこれまでの三年間は彼女の「神殺し」のプロローグだった。

精いっぱい夢見た、精いっぱい手を伸ばした七草にちかは日の当たる場所へまたスタートを切る。神殺しを超えて、ついに7色そろったシャイーカラーズが虹を超えて舞い上がる日を楽しみにしている。


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