見出し画像

理想とずれるスラローム

オートバイの免許を教習所で取る時に、3大楽しい項目の一つに、スラロームがある。ひらひらと車体を振ってパイロンの間をぬけていくやつだ。
まあ、普通の道路でやったらだめだし、やる必要もない。もし、そんな間隔で並ぶパイロンが急に現れたら、それは「スラロームしていいですよ」じゃなくて緊急事態っぽいので、「とまれ」か、「お前は間違った場所を走っている」だと思う。

まあ、そんな感じで、普段道を走っていて直面するわけではないけれど教習所では教わる機動。それがスラローム。あれは、アクセルの開閉とオートバイを傾ける感覚をつかむために、教習に組み込まれているんだろうなあ。

教習はじまってしばらくしたら先生に「後に乗ってー」と言われて「こんな感じ!」ってやってもらったときの楽しさよ。

オートバイは、ざっくりといえば、前後左右に傾く。その傾きっぷりは、車よりも飛行機に近い。ハンドルやら体を使って自分で傾けるもよし、アクセルとブレーキを使ってもっと派手に挙動させるもよし。
「させるもよし」と書くといかにも自由自在っぽいけれど、まあ、いうほど自由ではない。そのあたりに、外的要因(道路の状況からその日の気分まで)が関わってくる。

教習所で教わるスラロームは、割とその前後と左右の移動具合を、わりとごまかしが効かない状態で再現することになる。

先生の後ろに乗って「おお、楽しいな」と思うのもつかの間、その教習時間で50%くらいうまくいったスラロームは、日を追うごとに確率が下がっていく。「あー、なんかちがうんだよなー」と思いながら、どんどん忘れていって、覚えているのはもう、「なんかもっとスムーズだったよな?」という思い出だけ。

教習所も別段、スラロームのスペシャリストを養成したいわけではないので、満足するまで繰り返しやらせてくれるわけでもなく、ほどほどの運転ができれば卒業できてしまう。
なので、もし、これからスラロームを迎えるとか、もひとつうまくいかんな、という人がいたら。ぜひ、その時間を楽しんでほしいな、と思うしだいです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?