ドアー

たまに閉まりきらない不完全なドア。
どこかにぽつんと置かれて、向こう側の景色をつなぐ。

数年と挫折したままの本を読み直している。
例えとして広辞苑並みの厚さ、毎日ちょっとずつ進める。
それこそ、“遠くにいる人”を思い浮かべつつ。
そしていつか出会うことがあるかもな、と。

わりかし意識しないくらいに年齢を重ねていくと、それぞれに枝分かれした生き方とやらが刻まれる。さすがに学生、学校での数年間を今起きたことのように話したりはないし、かと言って半端に残る程度の社会経験も、時々の雑談の種としか扱えないでいる。

ばらばらにまとまりがない振り返り。中核には、初対面への自己紹介であまり話さない(きっと話せなくはないけれど)、「閉じないドア」を置いて、このnote始めたての頃が思い出されたり。
先を急いだ綱渡りのようでもあったし。
一時期だけど絵葉書の大きさに色鉛筆でイラストを書いていたっけと。
仕事熱心だった記憶ともう見返さなくなったLINEメッセージのやりとり。
「学びたい。勉強がしたい」が口癖だったかもな。
はたと顔を合わせては、手を振る合図と近況を話して。すれ違った居場所を確かめる。その続きなんてものはない。

最近、同じ本を毎日ちょっとずつ読んでみる。
向こう側をつなぐ不完全なドア。枝分かれを繰り返す。
後戻りを決めることなく。年齢が追いつくまでは、もう少しの猶予がある。

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