当り棒

ポツポツと雨が降り出す昼前。
それでも外へ出掛けたのは「最近この傘を使ってないな」と思ったから。
結果としては用事を済ませた帰り道で、横切る車から水しぶきが掛かりそうな、スコールめいた土砂降りへと。

帰宅後。カレーの入った鍋を温めて、テレビ見ながら食事をする。
その間に買い物帰りの両親やら、夕方出勤に合わせた兄やらが昼を一緒に食べに来た。

「ただいま。アイスがあるよ」
母親の両手からレジ袋を受け取って、ガリガリ君を一本選ぶ。

食べ終えたと同時に、「一本当り」と丸く囲まれた戦利品は、ひとまずスマートフォンで写真を取っておく。
いや、それ以上にSNSにも上げてみたり。
その急ぐあまりに頭と胃の中を響く冷たさがキュッと痛い。

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