二十五

15年も前のことだ。
そう毎年のように過去を振り返る。
思えば、20代前半だったわたしは、それなりのペースで自分の中へと足跡を残していったらしい。

昨日、やはり20代前半の若者が躍動する瞬間に居合わせた。
わたしが00年代を振り返るみたいに、あの彼が今を昔のこととして話すだろうか。
どうにも、そんな遠いイメージにはあちこち欠けが見える。
結局は他人事として到底及ばなかった。
若者は若者であり続け、わたしはわたしで15年前と15年後を行き来する。
今、ではなかった。

酔った勢い。
帰り道を1時間ほど掛けて歩く。
普段とは別の道、結構な音量でこの島の踊り歌でも歌いながら。
やはりあの時から15年以上が過ぎている。

あれは、もう、いつだ。
西暦を引き算で確かめる。

生と愛に包まれた彼の歌は、今を隔てた人らにも届いたろうか。
思い出だけでは薄れゆく。
思い出だけが消えずにいる。
多分、この先も。
いつまでも。

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