素振り

金曜日、知り合いに連れられてバッティングセンターに入ってみた。
市内唯一30年と続くバッティングセンターは、自宅のすぐ近くにありながら、一度も利用した事が無かった。
というのも、わたしの野球経験は体育の授業だけであって、それにはソフトボールも含まれている。
知り合いの誘いには何となくで付いて行って、見様見真似で球速80キロの初心者コースと40球ほど戯れる。
結果として左肩が痛い。

有名な話なのかもしれないが、吉本興業の芸能養成所で行われた島田紳助の授業を動画で見た事がある。
『紳竜の研究』というDVDに収録されているらしい。
養成所時代のダウンタウンから振り返って、第一線の漫才師かつ創始者から見えているM-1グランプリの勝ち方、最後に若者へ希望を持たせる総括となっている。

バッティングセンターで200円を投じる直前に、素振りをしながら動画中のエピソードを思い出す。
実のところ球速80キロなんて、考えても考えなくても当てられるとは思うけれど、振り抜いたバットが体を持っていくほど重たくなるとは気付かなかった。

振り遅れていないか、タイミングが取れているか、力んでいないか、バットをコントロールできているか、真っ直ぐに振れていないか、山なりの軌道が見えているか、いちいち情報を修正する間も無く、20球。
外野まで飛ぶような当たりが、2ゲーム40球内に数回あったかどうかの程度ではあるけれど、楽しかったと知り合いに伝えた。
気分は相応に高まっていたので受付の方にも楽しかったと伝えていた。

何も考えずに素振りの回数を重ねたならば、それはバットを振るための筋トレにしかならない。
島田紳助は生徒に向けて熱を入れる。
とあるプロ野球選手は語った、プロは素振りの回数を競うわけでは無いのだと語った。
誰が、どのコースに、どんな試合状況で、コンディションで、バッテリー間でサインが交わされて、何のボールが投じられるか、一球一球を一回一回の素振りに置き換えて、バットをどのタイミングで、どこに向けて、振り抜いて、どんな体勢からどうやって一塁へと走り出せるか、そこまでを、それ以上を考えてバットを振り抜く、一球一球を、一回の素振りへと。

奇しくも、今日は100日目のnote投稿になる。
何も考えず続ける事を続けた結果が今である。
お察しの通り、左肩が痛い。

101日目がすぐにでも始まる。

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