シューズ

パリオリンピック。
今大会個人種目で5連覇の快挙を男子レスリングの選手が達成したとか。
と同時に競技引退を決めるため、マットの中央に自身が使用したレスリングシューズを置いて、その意思を示す。伝統的なセレモニーなんだとか。
リアルタイムを追ったわけではなくてニュースによるハイライトを見た。
それでもじわりと来るものがある。

何故だか思い出されるのは、『うっちゃれ五所瓦』という高校相撲の漫画(最近になって続編となる大相撲編が連載中であるらしい)。
相撲部部員一人だけの状況から、高校三年生最後の大会で団体戦に出場するため他の部から部員を引き抜く序盤。応援団やら柔道部主将。レスリング部に囲碁部だったり。その一人一人の個性が際立つ。
その中の一つに、相撲部に所属することとなった面々が、相撲道場内で名札を掛ける場面がある。
柔道部主将はそのまま自分の部の物を使ったり、硬派を目指す応援団の名札はマジックペンの手書きであったり。そう、レスリング部だ。ここでもレスリングシューズを脱いで、靴の裏側に名前を書いた物を札代わりと使っていたっけか。あの彼なりのマットにはもう戻らないという決意の表れだったのかもしれないなと。

もう日が明けたらオリンピックの閉会式。後にパラリンピックが開かれる。
これまで自分なりに楽しめたし、これからも見れる分を見ていこうかと。
熱心に声援を送ったりはないけれど、でもやっぱり驚きや悔しさを重ね合わせたり。
周囲との雑談の種で消費するには、途方もなく長い選手たちの年月。
これら一日ずつは皆に等しく。一瞬はどのように切り離されただろう。

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