エネルギー業界における持続可能なソルーション:日本と北欧(2021/4/8)
世界中で脱炭素社会へ向けた取り組みが加速してます。日本でも昨年、2050年までに実質ゼロの目標が掲げられ、大きな舵取りを迫られています。北欧はこの分野への取り組みが進んでおり、現在世界をリードする存在であり(参考:The Green Future Index by MIT)、革新的技術を持ったスタートアップも多数誕生しています🚀🇩🇰🇳🇴🇮🇸🇫🇮🇸🇪。
このような背景のもと、ノルディックイノベーションハウス東京は、日本の市場関係者に北欧の最先端技術を知っていただく機会として、今夏よりエネルギー分野でのアクセラレータープログラムを始動するPlug and Play Japanと共催で、本イベントを開催する運びになりました。
当日は100名以上の方にオンラインで参加いただき、質問も多数いただき、関心の高さが伺えました。
イベント開始にあたり、まずは当イベントMC役🎙であり、Plug and Play Japan IoT & Energy分野のディレクターである中井健太氏よりPlug and Play の紹介がありました。
シリコンバレー発、グローバルVCおよびアクセラレーターであるPlug and Playは、日本では東京、大阪、京都に拠点を持ち、今までに500社以上のスタートアップのアクセラレーションに関与📈。
今夏より、エネルギー分野でのアクセラレータープログラムを開始します。
続いて、ノルディックイノベーションハウス東京のニコラス・カルヴォネンより挨拶。
クリーンテクノロジー、エネルギー関連分野は、日本とのコラボレーションが期待される北欧の強みの一つ。
なぜそう言えるかと申しますと、まず、北欧5カ国は、「2030年には、北欧が世界で最も持続可能且つ統合された地域になる」、という共通ビジョンを持っており、政界リーダーたちもその実現に向けて動いています。
また、世界の同分野の各種ランキングでは、北欧諸国が常に上位にランクインしています(参考:MIT Green Future Index)🌱。例えばこの10年で、北欧全体の全エネルギー消費量における再生可能エネルギーの割合は9%上昇など、実績もあげています。
さらに、インパクトスタートアップの数は、この3年で3倍の1018社にもなっています。
続いて、北欧スタートアップ5社によるピッチが行われました。各社の発表者、要約、そして質疑応答の内容は以下の通りです。
💡 Bergen Carbon Solutions(ノルウェー)
Jan Sagmo, CEO & Founder
私たちは二酸化炭素からカーボンナノファイバー(CNF)を作ります。CNFはプラスチックより軽く、鉄より強く、銅よりも高い電気伝導性を持つ素材です。
今日、CNFを製造する方法は他にも二つありますが、それらの方法がCNF1kgあたり600kgのCO2を排出するのに対して、私たちはカーボンネガティブで、製造過程で排出されるのは酸素ガスのみ。
生産設備はモジュール型で、一つのモジュールで年間30トンのCO2を回収し、6トンのCNFを製造。組み立ても簡単で自動化により人件費も抑えています。
Q: どのようなビジネスモデルですか?
A: CNFを製造しそれを販売して収益をあげます。CNF自体は2008年から市場に流通している素材ですが、我々は新しい製造方法を提供しています。価格帯は現在1kgあたり$500~2700。PWCのレポートによれば、当社の利益は2021年$500Mから2024年$1.2Bになる見込みで、モジュルー40基で世界シェアの12%を占められる見込みです。
Q: 日本市場をどのように見ていますか?
A: 大変関心を持っています。高い技術力を持つ日本市場自体へも興味がありますが、日本を拠点として他のアジア諸国への進出も狙えるからです。関心のある方、是非とも連絡をお待ちしています。
🎞 Bergen Carbon Solutionsのピッチ録画
💡 Carbon Recycling International (アイスランド)
Benedikt Stefansson, Director of Business Development
当社は、排出されたCO2と、産業廃棄物もしくは再生可能エネルギーから生成された水素を組み合わせて、メタノールを製造し販売します。
当社の製造過程は、特許取得済みで循環型経済への要の技術と言えるETLプロセスです。既に市場で実証済みで、大規模なCO2削減が見込まれます。
日本へ導入する場合、再生可能エネルギーが入手困難な場合は、排出されたCO2を海外の再生可能エネルギーが入手可能な地でETLプロセスを行い、製造されたメタノールを再び日本に輸送するというモデルも可能です。
Q: なぜ中国でプロジェクトを?
A: 吉利が投資家の一つだからです。またメタノール車で実証実験ができる環境があり、産業廃棄物水素も入手しやすい。
Q: 競合は?
A: たくさんいます。この技術は循環型社会への基幹技術の一つであり、メタノールが最も優れた液体燃料であることが広く認識し始められている。競合他者は、競合でもあるが大変重要なパートナーでもある(輸送などで協力できる)し、また当社は他社より15年程度先を走っています。
Q: どのようなプラスチックが製造可能?
A: PET、合成繊維などの他、メタノールからオレフィンを合成でき、あらゆる製品が製造可能。
🎞 Carbon Recycling Internationalのピッチ録画
💡 Carbfix (アイスランド)
Kristinn Larusson, Business Development Manager
Carbfixは、自然プロセスを模倣、加速させる独自の技術で、2年以内にCO2を地下の石に変換させます。
レイキャビックエネルギーの子会社で正式な会社設立は2020ですが、アイディは自体はアイスランド大学、コロンビア大学(米国)、レイキャビックエネルギー社が共同研究を始めた2007年に遡ります。
当社技術の導入モデルは3つあります:CO2排出場所に当社モジュール設備を建設する方法、排出されたCO2を当社モジュール設備に輸送する方法、そして大気中から直接CO2を回収する方法です。
当技術が応用できる玄武岩は、海陸合わせて地球上のおおよそ10%の表面をしめており、現在様々な可能性に向けて多数の多国籍企業と相談を続け商業化に向けて動いています。
Q: 御社の技術を導入するための地理的条件は?
A: 玄武岩が条件。日本は玄武岩に覆われている地域が多数ある。詳しくは当社HPの地図でぜひご確認ください。
💡 Liquid Wind (スウェーデン)
Tuya Bold, Head of Finance and Investor Relations
当社は、再生可能エネルギーと、排出CO2を用いて、再生可能なeメタノールを製造する施設の開発、資金調達、建設、および管理を行っています。
2050年までに世界中で500基の建設を目指しています。特に船舶業では温室効果ガス排出ゼロに向けた代替エネルギーの導入が急がれており、我々はそこにソリューションを提供します。
日本では、再生可能メタノールの購入者、投資家、施設建設のためのパートナー、CO2回収技術分野でのパートナーなどを探しています。
Q: 御社の収益を左右する要となる指数は?
A: 再生可能エネルギーの価格が、商品の価格を決める最も重要な指数です。
💡 Teraloop (フィンランド)
Mikko Vehkavaara, SVP Business Development
Teraloopは、再生可能エネルギーの短期貯蔵ソルーションを提供しています。我々の最新型のハブレスなフライホイールは、今年末までにシーメンスとの実証実験を予定。
現在に至るまで販売は実証実験のパートナーに頼っており、2025年末には€300M以上の収益が見込まれています。来年までに16の実証実験が企画されており、既に9つをMOU/LOIがヨーロッパやアジアで締結。今年7月までの投資により、2022年にEBITブレークイーブンを達成予定。
チームは、比較的若いエンジニアチームと、経験を積んだマーケティングチームで構成されています。
Q: チーム構成についてもう少し教えてください。この領域は非常に競争が激しいと認識してますが、どのような方が関わっているのでしょうか?
A: 例えば、シニアシステムアドバイザーは、EV開発に40年以上関わっている者。それと大変優秀なエンジニアチームがいます。創設者は業界バリューチェーンにいる様々なプレーヤーと常にコミュニケーションを取っており、パートナーとの連携は大変重視している。大手エネルギー企業との対話も積極的に行うことで、業界における我々の居場所を作っている。
🎞 Teraloopのピッチ録画
🗒 For an English report, visit here.
🎞 イベント録画はこちらから↓
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