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無機質に心をこめる

平日の私は、私である必要が全くない仕事をしている。とにかくミスらないように、とにかく事務的に。

昨日も極めて事務的にミスらないことだけを考えて、クライアントに納品メールを送った。

すぐに返事が来た。

思わず「えーっ!」と声が出た。

それはC.Cに入れた上司の方からで
「Aは闘病の末、先週逝去しました。今後は私宛にご連絡ください。」というものだった。

とてつもなく事務的で、なんならテンプレで、慢性的に辞めたい気持ちを抱え、無機質に送ったメールに対するRe:が、思いもよらぬものだった。

Aさんとは先々週メールでやり取りしたばかりだった。Aさんはもしかしたら仕事が大好きだったかもしれない。闘病中だなんて露にも知らず。1つ1つのやりとりが大切だったかもしれない。人生の黄昏時を知った上で働いていたのかもしれない。
考えれば考えるほど悲しくいたたまれない気持ちになった。
私はこの会社に1番最後に入った1番下っ端で1番仕事ができない。そんな私宛に届いた訃報のメール。
Aさんには届かなかった無機質なメールが最下層にくっついたまま会社内に転送された。みんな静かで無反応だった。

明日からもこの職場に私らしさは求められていない。とにかくミスらないように事務的に業務を遂行することが求められている。

もう本当にこんな仕事は辞めたい。
私である必要がある仕事がしたい。人と人とがする意味のある仕事がしたい。でももう転職活動をする気力がない。年齢的にも厳しい。お金もない。
だからもう少し続けるしかない。
ではどうする?と考えた。
無機質な中にも心を込めて仕事をしよう。

人は表層的な部分だけじゃなく、色々なことを抱えていることを改めて痛感した。全く無縁のAさんからの遠いメッセージとして受け取った。誰にも気づかれないくらい、静かに心を込めよう。

2024.春分の日

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