語学学習:「楽しいレッスン」がしたいジレンマ
最近レッスンを取り始めた生徒さんで、教科書中心のレッスンに疑問を持っている方がいらっしゃいます。自分は日本の伝統や文化に興味を持っているから、そういう会話をしたり、記事を読んだりしてモチベーションを高めたいとおっしゃるのです。
現状ほぼ初心者
昔々、高校で日本語の授業を取っていたらしく、ひらがな、カタカナと動詞の過去形、否定形ぐらいまでは、おおむね覚えていますが、て形、ない形、形容詞の活用などは未学習または完全に忘れています。ですから、レッスンを10回ぐらい受けた初心者程度のレベルです。
既にモチベーションの保持に苦戦
あと10レッスン受けてくれたら、必要最低限の文法は網羅できるので、語彙だけヒントを出して、簡単な記事を読んだり、「日本では靴を履いて部屋に入ってもいいですか?」「お花見をしたことがありますか」などの基本的な会話をしながら日本の名所を紹介したりできと伝えたのですが、「それは分けるけど、」「でも」「前の先生は。。」「私は日本に行ったときにこういうことに興味を持ってー-」と、レッスンのうち30分ぐらいを使って一生懸命、自分の学習パターン、モチベーションを保つ難しさなどについて訴えてきます。
気持ちは分かるし、日本語レッスンはサービス業だと思うし、個々の細かい要望をレッスンに取り入れることができるのがプライベートレッスンの良さでもあります。全否定はせずに「そうですよね。『メアリーさんは学校に行きます』 などの文だけ作っているとつまらないのは私もよくわかります。バランスが大切だと思うで、あと数回レッスンをして必要な文法を学んだら読み物や会話も少し取り入れましょう。」と伝えましたが納得いかない様子。
インプットとアウトプットのバランス
活用表の暗記も、大して意味のない文(「今日、私は7時に起きました。」、「コーヒーを飲みました」)を作るのも基礎作りには必須です。この方は既に英語、フランス語、スペイン語が話せます。ただ、全て学校で学んだので基礎から勉強したはずです。日本語だけは違う方法で学びたいということでしょうか、、。
どう伝えるか
ひとまず中級の教科書である「とびら」を見せて、基礎が終わったら、この教科書を使って、日本の地理、宗教、歴史について面白い会話、読み物の練習ができる、早くて50レッスン、大抵100レッスン終えたらとびらを開始できる、と伝えました。ゴールが見えたら一見単調な初級の教科書を頑張る気になるかと思ったら大間違いでした。
満足した様子で「じゃあ、この教科書を使ってレッスンしましょう!」と言われてしまいました。
食わず嫌いはしない
可能形、使役形どころか、て形、ない形も未修なのに無理がある気がしましたが、過去に似たような方で、げんきやみん日を使いたがらず、動詞の活用表を一気に導入して、会話中心にレッスンを進めてうまくいった例があるので、食わず嫌いせずにとびらから始めてみようと思います。
基礎不足を実感して初級の教科書に戻りたいとおっしゃるかもしれません。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?