ふたりのスペイン語通訳

はじめに

 まず初めに、この記事はクラブ関係者等に取材して書いたものでありません。あくまでも私が各媒体などで知り得た情報をもとに外から見た徳島ヴォルティスというクラブについて書いた記事になります。そこを念頭に置いて読んでいただけると幸いです。

 何故徳島のチームスタッフに同時期にスペイン語通訳が2人編成されたのか?

という疑問から徳島ヴォルティスが過去から何を学び、何をしようとしているのかを私なりに考察させていただきました。
 あくまでも考察ですので「こんな風にも考えられるなぁ」程度で読んでいただけると嬉しいです。

ふたりのスペイン語通訳

 徳島ヴォルティスには2021シーズンからふたりのスペイン語通訳が加入した。

ひとりは志水 和司

【志水 和司(しみず かずし)通訳 プロフィール】
■生年月日 1974 年12 月21 日(46歳) 
■出身地 兵庫県
■主な資格 Animacio de Activitats Fisiques i Esport ives
スペインサッカー協会 指導者ライセンス (レベル2)
■主な経歴 2004年~2006年  RCDエスパニョールU-9、サッカースクールコーチ
2006年~2007年  RCDエスパニョールU-10、サッカースクールコーチ
2008年~2009年  RCDエスパニョールU-11、サッカースクールコーチ※2008年12月~2009年6月 ジローナFC トップチーム通訳
2009年~2010年 CD.カニージャスU-7、U-11 コーチ
2010年~2011年 RCDマジョルカ トップチーム通訳
【志水 和司通訳通訳 コメント】
『徳島ヴォルティスという素晴らしいクラブから声を掛けていただき、スペイン語通訳という仕事をさせていただけることを喜びに満ち溢れ光栄に思っております。クラブ関係者の皆様方、心よく私を送り出していただいた関係者の皆様方に心から感謝申し上げます。本当にありがとうございます。「Pay Forward=贈る喜び」
このいただいた大切なバトンを次の世代の徳島県サッカー文化に繋げられるようにダニエル ポヤトス監督、マルセルコーチの力を100%以上引き出せるように情熱を燃やして努力邁進して今シーズン頑張っていきます。どうぞよろしくお願い申し上げます』
※スペイン語通訳となります。

徳島ヴォルティスオフィシャルサイト 2021.01.15より

もうひとりは岡井 孝憲

【岡井 孝憲(おかい たかのり)通訳 プロフィール】
■生年月日
1993 年5 月1 日(27歳) 
■出身地
京都府
■選手歴
京都サンガF.C. U-18→立命館大学→U.E SANTANDREU/スペイン→CANYELLES C.E./スペイン→CF SINGUERLIN/スペイン
■指導歴
2017年~2018 年 CANYELLES C.E U-8監督
2018年~2019 年 GUINEUETA C.F. U-9監督、U−14アシスタントコーチ/スペイン
2019年~2020 年3 月 CESANT GABRIEL U-13コーチ、U-16コーチ/スペイン
2020年3月~ Lucero京都 U-15コーチ
2020年6月~ DCMセントラル ジュニア年代スクールコーチ
■主な資格
スペインサッカー協会指導者ライセンス(レベル2)
【岡井 孝憲通訳 コメント】
『はじめまして、このたび徳島ヴォルティスの通訳を務めさせていただくことになりました岡井 孝憲です。徳島ヴォルティスの一員になれたことを大変光栄に思います。このような機会を与えていただいたチームのために貢献し、勝利のために精一杯頑張ります。サポーターの皆様、徳島の皆様よろしくお願いいたします。』
※スペイン語通訳となります。

徳島ヴォルティスオフィシャルサイト 2021.01.15より

このシーズンにスペイン語通訳が編成された背景は、2020シーズンまで指揮を執っていたリカルド・ロドリゲス監督が退任し、新たに浦和レッズの監督に就任する際に、徳島で通訳を担当していた小幡氏も共にクラブを去り、徳島が新たにスペイン人監督ダニエル・ポヤトス氏を招聘したためである。

でも何故2人必要だったのだろうか?

その疑問は後にするとして、まずは二人の経歴、バックボーンを少し調べてみた。

ふたりのバックボーン

 この二人に共通している事は、両者ともにスペインで育成年代の指導経験があり「スペインサッカー協会指導者ライセンス(レベル2)」を有しているところである。
 この資格は日本サッカー協会指導者ライセンスのA級に相当する。両者ともサッカーの指導に精通していると言える。
 通訳という仕事はとても難しいものである。特に専門知識、専門用語が多い業界ではその難易度は格段に上がる。サッカー業界においてもこれにあてはまる。ただ単にスペイン語が喋れればOKという事ではなく、サッカーを理解していなければ務まる仕事ではない。その意味でも、指導者ライセンスを有しているふたりの通訳は適任だと考えられる。

 このふたりの経歴を調べてみると、両者共に単身で渡欧してライセンスを取得しているようだった。ただしその時期は異なる。
 ふたりは経歴上同チームに所属して指導をしていた事は無い。おそらく徳島に所属する前は接点は無かったのではないだろうか。
 志水氏、岡井氏ともに非常に興味深い経歴を持っている。ご本人に取材をしたわけではないので、誤解を生まないようにここでは簡単にご紹介したいと思う。

志水和司

 まずは志水氏。上記の経歴を持っておりスペインで育成年代の指導に関わっていたが、その後スペイン国内のトップチームでの通訳としての経験を持つ。ただし、それは2011年までで、2015年に帰国後、株式会社ENCENDERを立ち上げスペインと日本のサッカーの交流事業に従事していた。アテンドやエージェントしての活動をしていたと思われる。

 ダニエル・ポヤトス氏とはエスパニョール時代から親交があり、15年来の旧友でもある。そのため、ダニエル・ポヤトス氏が日本でサッカークリニックを開催する際に同行していた。

 詳しくは、有料の記事になるがヴォルティススタジアム2022年9月30日の志水和司インタビューをご覧いただきたい。非常に読みごたえがあり、志水氏の人間性やサッカーに対する情熱が伝わる素晴らしいインタビュー記事です。

岡井孝憲

 次に岡井氏。岡井氏は2016年3月に立命館大学を卒業後、同年7月にスペインへ渡っている。(その経緯は詳しくは調べられなかった。)
 立命館大学へ進学する以前は京都サンガF.C.のユースに所属しており、プレミアリーグウエストでプレーをしていたようだ。その時のチームメイトには現在でもプロとして活躍している選手も複数名いる。詳しくは下記リンクより確認いただきたい。

 岡井氏は大学卒業後スペインに渡り6部のチームでプレーをしながら、日本のチームのアテンド等を行っていたようだ。そして、スペインでプレーを続けながら、所属チームのジュニア世代の指導に関わっていく事になったようだ。(スペインに渡ってから2年目)
 2018年に指導者養成学校に入り本格的に指導者としての道を歩み始めたようだ。
(注:これらの情報は私が岡井氏のFacebook等から読み解いたものであり、誤りがある場合がございます。)

2020年に日本に戻り、地元京都で指導者として活動を行っていたようだ。
そして2021年1月15日に徳島ヴォルティスに加入している。

ふたりの同時加入

 この二人は同時期に加入した。加入した理由については前述した通り徳島ヴォルティスに新たなスペイン人監督を迎える為である。
 志水氏については元々ダニエル・ポヤトス氏と親交があった為、監督側からの要望で加入に至ったのではないかと想像ができるが、岡井氏の加入の経緯は今のところ明らかにされておらず、どのような繋がりで加入に至ったのかは不明である。
 そして、何故ふたりのスペイン語通訳者が必要だったのか?
単純に考えれば、ダニエル・ポヤトス氏と、マルセル・サンツ氏の2名の指導者を迎え入れる為に二人必要だったとも考えられる。
 ただ、私はこのようには考えていない。
これにはクラブ側の意図があったのではないかと考えている。

リスク分散

 一つ目に考えられるのが、リスク回避の部分である。前述した通り前任監督のリカルド・ロドリゲス氏がチームを離れた際に通訳を務めていた小幡氏も同時にクラブとしては失ってしまった。クラブとしてはスペイン人監督を継続して招聘する考えがあるのなら、通訳をクラブに残すことで、クラブにより継続的な上積みを重ねる事が可能になる。そのため、あらかじめ二人のスペイン語通訳を用意し、通訳者を失うリスクを分散させたとも考えられる。

通訳者の分業制

 次に考えられるのが、通訳者の分業制である。
異国の地で生活するのは非常に困難である。監督やコーチの日常生活のサポートにおいても通訳者の仕事が多い事が容易に想像できる。
 通訳者を二人体制にする事で、通訳者の負担軽減にもなる。
具体的言えば、日常生活におけるアテンドを志水氏が行い、練習や試合の部分は岡井氏が行っていたのではないかと考えられる。
 志水氏は元々ダニエル・ポヤトス氏と親交がありアテンド業も行っていた為適任であったと考えられる。また、試合の時にベンチ入りするのは必ず岡井氏であったことを考えてもそのような体制になっていたのではないかと考えられる。

岡井氏の役割

 さてここで一つの疑問が浮かんでくる。なぜ岡井氏が選手への指導と試合中の指示の通訳を行っていたのか?というところである。
 私が調べる限り、岡井氏とダニエル・ポヤトス氏は徳島に加入するまでは大きな接点は無かった。(あったらすいません。)
 通訳というのはただ言葉を置き換えるわけではなく、ニュアンスまで読み取り監督が伝えたいことを選手に伝えなければならない。そのためには、ダニエル・ポヤトス氏と長年関係があり意思疎通ができている志水氏が行った方がより伝わりやすく、伝えやすかったのではないだろうか。だが、その役割はこの2年間全て岡井氏が行っていたように見えた。
 これはどちら側(監督側・クラブ側)が希望した人員の配置だったのだろうか?
 おそらくクラブ側主導で岡井氏をそのポストに付かせたと私は考えている。(指導者・通訳者としての育成)

志水氏の役割

 志水氏の役割は前述した通り監督・コーチのアテンド(サポート)だったと考えられる。
 ただ、これだけではなくクラブに大きな利益をもたらしたとも考えられる。
 それがスペインとの繋がりである。前述した通り志水氏はアテンド・エージェント業も営んでいる。
 志水氏が加入後、若手二人のスペインへのレンタル移籍を行えているという実績もある。

 鈴木輪太朗イブラヒーム 2021年9月 バレンシアF.Cへ期限付き移籍
               ⇒2022年 CFバラロナへ期限付き移籍
 勝島新之助 2022年2月 ジローナF.Cへ期限付き移籍

このような若手をスペインへ武者修行に送れるようになったのも、志水氏のスペインとの繋がりが関係している可能性が十分にある。

志水氏にはピッチ上以外での役割も大きかったと思われる。(環境整備)

クラブの成長戦略の為の通訳者

 このようにクラブが同時に二人のスペイン語通訳を雇った事は意図したものだと考えられる。欧州路線に舵をきった徳島ヴォルティスにとって通訳者というのはクラブの成長の大きなウエイトを占めるのは言うまでもない。
 監督はいずれクラブを去る存在である。(2022シーズン後ポヤトス氏の退任発表)
 監督が変わるたびに通訳者が変わるのと、自前で通訳者を抱えておいて、監督が変わっても通訳者は変わらないのではどちらが良いかを考えると、後者である。
 通訳者が変わらなければ選手の特性や、意見もスムーズに伝わる。(監督が変わるたびに通訳者まで変わると、信頼関係を築くのに時間が必要)
 また、通訳者がクラブの意思を理解しておくことで新たな監督を迎えた際もクラブの方向性が監督によって大きくブレるのを抑制する事にもなりうる。
 通訳者、特に現場で監督の意見(指示)と選手の意見を繋げる岡井氏がクラブの未来を担う重要な存在になっていくのではないかと私は考えている。おそらくクラブも岡井氏に大きな期待をしているのではないだろうか。

 徳島ヴォルティスは2年先、5年先を見据えてスタッフを育て、クラブの成長戦略を描いて「ふたりのスペイン語通訳」の同時加入を行っていたのではないだろうか。

 クラブを大きく・強くする、そして確固たる哲学をクラブに根付かせるためにはスタッフの力が必要になってくるのは言うまでもない。
 今後も監督、選手だけでなくそれを支えるスタッフにも注目して徳島ヴォルティスというクラブを応援していきたいと思う。

徳島ヴォルティスの未来は常に明るい。

あとがき

 たまには真面目な文章を書いてみましたがいかがだったでしょうか?

ふぅー。。。

・・・・・・・・・
・・・・・・・・・

肩がこる(´・ω・`)←オイ
(キャラじゃないんっすよ)

 今回のお話は「そういや、なんでスペイン語通訳ふたりおるん?」「志水さんの経歴すごい(ヴォルスタ参照)のに、なんで岡井さんがダニの横におるん?」という、ちょっとした疑問から膨らんだ僕の想像(妄想)です。
(違うじゃねーか!!ヽ(`Д´)ノプンプン というのはお控えください。)

 ただ、徳島ヴォルティスが意味もなくその場だけの行動をするのかなぁ?と考えると通訳者2人を同時に雇った事も納得できたので、脳内妄想をそれっぽく文章化してみました。志水さんが環境整備とスペインとのパイプ役、岡井さんが現場みたいな。
(今出ている噂を考えると、着実に準備を進めてたんじゃないかなぁ)

 実際ダニ監督が退任してどうなるかわかりませんが、通訳者を連れて行く場合はこれまでの関係性を考えても志水さんの方だと思いますし、岡井さんはクラブ側の人間な気がするので残ってくれると思います。(岡井さんはつい先日もU12の大会にとある人物と来場していたようですし)
というか、そもそも契約段階でそのような契約にしている可能性もあるんじゃないかなと…もちろん志水さんにも残ってほしいですが…
 リカルド監督が去った時に通訳の小幡さんを同時に失ったクラブは、やはりダメージが大きかったと思います。だからこそ岡井さんを雇ったと考えられます。

 岡井さんについては今回初めて経歴を調べてみましたが、非常に興味深い経歴でした。プレーヤーとしてもJクラブのユースまで昇格していて、その後スペイン6部でもプレー、で、指導者の勉強をスペインで始める…謎というか、どうゆう経緯でこうゆう道のりを歩んできたのかすごく気になります。
(誰か岡井さんにインタビューとかしてくれないかなぁ・・・)

岡井さんが今後の徳島ヴォルティスのキーマンになります(`・ω・´)断言!!

 徳島ヴォルティスはソフト面(人材)は、選手・スタッフ共に年々アップグレードしていっていると感じます。本当に面白い、応援しがいがあるクラブです(*´ω`*)
 ただし・・・ハード面(施設・設備)は、もうちょっと頑張ってほしいなぁとも思います。オカネアルンダッタラツカッテヨー(´・ω・`)
 とはいえ、どんな素晴らしい施設や設備(ハード)があってもそれを使うのは人材(ソフト)なので、今はそこを重点的に固めて行っている段階なのかもしれません。(広報も佐藤さんが来てくれてアップグレードしましたしね。)

 行き当たりばったりではなく、選手もスタッフも共に成長していく徳島ヴォルティスはやっぱり魅力的です。
 今後も試合だけじゃなく、クラブの戦略成長についても見守っていこうと思います。

相変わらずまとまりのない文章ですが、今回はこのへんで🐶

来季も楽しみだ!!早くシーズン始まれーーーーーーーーーーーーーー!!
(心の叫び)

P.S.

 新監督誰になるか楽しみです(*´ω`*)

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