見出し画像

初めての瞑想合宿参加体験談。(2日目)


【※全文無料で読めます。】



さて、今日からヴィパッサナー瞑想合宿・第二日目に突入です。


ちなみに、こちらが瞑想合宿での1日のタイムテーブルです。瞑想、瞑想、一つ飛ばして瞑想……また瞑想、と、ほぼ瞑想づくしなラインナップとなっております!



瞑想合宿の朝は早い……。
四時、太陽が顔を出すより早い時刻。真っ暗な中、起床の鐘が鳴り響き、疲れた体を無理矢理起こす。
起床後、眠い目をこすりながら毎朝内服している薬を水で流し込み、いそいそとトイレ・シャワー棟に向かい、顔を洗って歯を磨く。
4時半から、自室又はホールにて瞑想、となっているので急ぎ足で部屋に戻り準備したのち、鐘の音とともに瞑想ホールへ。



昨夜のようにスピーカーから大音量で流れてくる、ゴエンカ氏の詠唱を聴きながら足を組み、目をつぶる。
この時、自分の感覚が普段に比べて非常に過敏になっているとは露知らず、わたしはただただ真剣に瞑想に集中しようと試みていた。

"なんか音がいつもより響いてくる感じがするな〜。"と思いつつ、アーナーパーナー瞑想を行う。
アーナーパーナー瞑想とは、鼻の下三角形の辺りに呼吸を集中し、息の出入りを感じる、というシンプルな瞑想法で、ヴィパッサナー瞑想のコースでは、3日目までこのやり方のみ繰り返し練習することになっている。(その後、ヴィパッサナー瞑想に入っていく)
言葉では簡単そうなのだが、鼻の辺りの呼吸の感覚を摑むのは結構骨が折れる。そして、普段家で瞑想している時もそうなのだが、意識が色んなところをウロウロし出すため、気が付くと全然関係ないこと(空調の音が大きいな…とか、虫の声も滅茶苦茶聞こえてくるな…とか職場に無理言ってここまで来たけど本当に大丈夫なのか?などなど…)瑣末な事柄ばかりに気を取られ、全く瞑想に集中出来ていない自分に唖然としてしまう。
必死に鼻の辺りに意識を戻しても、下手したら1.2分もしない間にまた意識が自由に飛び廻り始める。二日目は、その繰り返しで己の集中力の無さをまざまざと見せつけられたのだった…。それに加えて、気合いを入れてできる限り動かないよう頑張って坐っていたせいか、徐々に脚の痛みが現れ始めていた。
そして、聴覚過敏の足音も聴こえ出し、それらがじわじわと我が身を侵食しつつあったのである……。

そんな中、唯一ホッと寛げるのが食事時と、休憩時間に裏庭を散歩すること、そして、入浴や洗濯といった、ちょっとした日常のひとときだった。


ご飯は、朝とお昼に主に菜食メイン+飲み物(自分でよそって食べるスタイル。飲み物は珈琲、紅茶、ポットのお湯、牛乳、生姜パウダー、レモン汁などがある)などが出る以外は、午後5時にティータイムと称して、新しい生徒には果物(京都ではバナナとパイン)、古い生徒には飲み物のみ(※しかも、レモン入りの水以外は不可という厳しさ!)という内容で、お陰様で合宿後に体重が2.5kg減ったほどの非常に健康的な食生活だった。


わたしは個人的に元々薄味が大好きなので、野菜たっぷりの優しい味付けは願ったり叶ったりで、毎回とても美味しくいただいていました。
ボランティアで食事を作って下さったスタッフの皆さんには感謝の気持ちでいっぱいである。


閑話休題。


二日目の朝食後、8時からのグループ瞑想時、ホールで坐っていると、脚がどんどん痛くなって来た。両膝がピキーン!と痛むのと、脚の付け根から太腿部分がどんどん痛くなっていく。
 

"うう……。痛いな……。"  
しかし、ここで華麗なる(?)痩せ我慢を発揮し、"いや、まだまだ序盤なのだし、もう少し脚を動かさずジッとして頑張ろう…!"と自分に言い聞かせつつ、鼻腔に集中…と意識を向ける。だが、どうしても呼吸の流れより、脚の痛みに意識が向いてしまう。
何度か意識を鼻に戻しても、やはり脚が気になる。そして、耳の中でこだまする、詠唱の声も次第に気になって来る……。


折角瞑想合宿に来ているというのに、こんなんじゃダメだ……!と脳内で自分を責め始める。

それから、どんどん"何でわたしはこんなことしてるんだろう?そもそもここに来ることになったのは職場の人間関係や環境が悪いからで、わたしのせいじゃない。なのに、何故わたしだけがこんな辛い目に遭わなきゃならないんだ??だいぶ揉めつつも、こうして長期の休みを取ることを許可してくれたのは有難い。だけど、わたしがそこまで追い詰められた原因は当の職場にあるのでは…?それなのにわたしだけが変わろうともがいてるなんて滑稽且つ滅茶苦茶おかしいよね??いやマジで(怒)"と、今の職場に対する怒りがメラメラと湧いて来た。

そこからは、殆ど"職場への怒り"や"自分の不甲斐なさへの嘆き"が心に渦巻き、とてもじゃないが瞑想どころの心境ではなかった。
加えて、両脚の痛みはぐんぐん増して行くばかりで、それまで気合いで動かぬようにしていたのをやめて、頻繁に脚を組み替えるようにしてみても痛みは全然引かず、みるみる、立ち上がるのも坐るのもキツい、という状態に。

"幾ら普段、家や職場で坐っているからといって、自分の脚を過信してはいけなかったんだ…!"という思いと、"元々歩くことが少なく、仕事もデスクワークの超運動不足なのが祟ったのだ…。(つらい)"という思いとが交錯していた。


そして、二日目の昼食前には、わたしはすっかりヨレヨレの満身創痍状態になっていた。
脚を組み替えるのも一々激痛との闘いとなり、瞑想後、立ち上がり歩くのも一苦労。階段の昇り降りに加え、トイレすらも非常にキツかった……!


そんな折の昼食後、食堂前の掲示板を眺め、瞑想指導者の先生との面談に行くことを決めた。面談希望者用のボードに名前を書き込む。この脚の痛みとどう向き合えばいいのか、その助言を賜ろうと考えたのだ。


手早く風呂や洗濯を済ませ、12時に瞑想ホール前で待つ。わたしと同じように昼の面談希望者の方々が静かに佇んでいる。
名前を呼ばれたら、順番に指導者の元へ行き、相談するというスタイルだ。

三番目、ようやく名前が呼ばれ、指導者の先生(高齢の外国の方)の前に坐る。

何だか、先生からはとても威厳が感じられ、話すのに少し勇気が要った。


"あの、瞑想中どんどん脚が痛くなっていって、脚を組み替えるのもとてもキツいんです。それで瞑想にも集中出来なくて……"
わたしがそう言うと、指導者の先生は、
"脚が痛くなったら何回でも脚を動かしていいですよ。動かないことにこだわらず、楽な姿勢で坐って下さい。クッションや毛布を使って工夫して坐りやすくしてみたらどうですか?"とおっしゃった。
そういえば、周りの方々は自分なりに工夫して、クッションや毛布などを活用して坐りやすさを考えているようだった。
わたしは、二日目の時点で元々用意されてあるクッションのみで瞑想にあたっていた。
これでは、脚に限界が来るのもやる方無しだよな、と得心し、先生の進言どおり、午後の瞑想からは早速クッションを二枚重ねにし、更に毛布を噛ませる、という自分なりの工夫をしてみたのだった。

しかし、悲しいかな、全く状況は良くならず、わたしの脚はどんどん痛みを増し増して行った。

殆ど痛みとの格闘に瞑想時間を費やし、夜には痛過ぎて脚を引き摺り、片手で膝を庇いながら、ゆっくりゆっくり移動するという有り様だった。


夜の講話前のグループ瞑想時には、脚を組んで坐るのが限界に達し、これ以上は無理だと感じたので、コースマネージャーの方にお願いして椅子を出してもらい、椅子に坐って瞑想をした。その時、わたしの心の中は言いようのない敗北感でいっぱいだった。

"わざわざ遠くのこんな山奥まで来て、二日目の夜にしてもう挫折?脚の激痛に耐えられず、椅子に坐るだなんて、一体わたしはここまで何をしに来たんだ?"と、苦々しい気持ちで自問自答を繰り返していた。

そして、二日目のゴエンカ氏の講話を聞きながら、"切羽詰まって、そしてヴィパッサナー瞑想のきちんとしたやり方を学びたくて、無理に仕事を休んでわたしはここまで来たんだ。それなのに、ずっと椅子に坐って瞑想なんて甘えてられない。覚悟して来たんだから、苦しみも痛みもちゃんと観察しなくちゃ!"と、自分の中で、静かなる闘志がメラメラ湧いて来たのがわかった。

講話後のグループ瞑想では、自分のいつもの席に戻り、心新たに、坐禅を組み坐った。
案の定、両脚は悲鳴を上げていたけれど、脚を組み替えつつも、再び椅子に坐ることなくやり遂げた。やった…!これだけでも大きな進歩だ、と痛みがキツい中坐り続けた自分を労った。

その後、瞑想指導者の先生に改めて面談し、"お昼にも相談したのですが、工夫をしても痛みが増すばかりで、脚が痛過ぎて、先程一時的に椅子に坐らせて貰っていました。
ですが、どうしてもきちんとヴィパッサナー瞑想を身につけたいと改めて思い、自分の席で坐り直しました。まだ痛みが酷いですが、どうすれば痛みをやり過ごせるでしょうか?"
と、訊いてみた。

すると、やはり
"自分にとって楽な姿勢を見つけて坐って下さい。"と言われ、更に"呼吸とともに脚の痛みも観察して下さい。観察しているうちに痛みは消えるはずです。"との答えが返って来た。

色んな人の体験談を読み、頭では"痛みを観察することで、それがやがては消えて行く"ということを理解していたつもりだったが、いざ自分がそう言われると、"この激痛が、観察するだけで消える……??いや、だって実際こんなに痛いのに!??"と一度やる気を盛り返したのに打って変わって、反発と疑いの気持ちがぐんぐん沸き起こってきたのだった。


その日の就寝時は、"明日からわたしは、この両脚の痛みと上手く付き合えるのだろうか…。観察して痛みが消えて行くなんて、本当にそんなことが簡単に出来るのだろうか…?"と悶々と不安渦巻く中、いつの間にか眠りに着いていた。


#ヴィパッサナー瞑想 #瞑想合宿 #瞑想合宿体験

ここから先は

0字

¥ 220

期間限定 PayPay支払いすると抽選でお得に!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?