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アメリカン・エリートを目指すなら、スマートさが命【KKパパラッチ動画】

新しいパパラッチ動画を見ての違和感

アメリカ人の友人に、「前に愚痴ってた、KKカップルってこの人たち?」と、動画リンクが送られてきました。セレブリティのパパラッチ動画を専門としているユーチューブチャンネルに、建物から出てくる夫妻のとっても短い動画がアップされていました。

彼らの日常を知りたいわけではないという意味で、私にとってはどうでもよい動画(チャンネル主さん、ごめんなさい)だったのですが、短い動画にもかかわらず、何となく違和感があり、つい繰り返し見てしまいました。

それで気がついたのが2つの違和感。口うるさい近所のおばさんなのか、私?とも思いましたが、文化や習慣の違いの中でも、アメリカで生活していくのなら、知っておいた方がいろいろな意味で安全という類のものです。

1)ドアの開け方

ご存知の通り、アメリカに限らず、”レディーファースト”的な文化がある国では、基本的に男性がドアを開けます。ここでは、この習慣自体が良い悪いという議論を行いたいわけではなく、単純に、暗黙のルールとしてそういう風になっているというものです。

動画では確かに男性がドアを開けて、女性はドアに触れることなく建物の外に出ています。とはいえ、ドアの開け方が、いつも見ている風景と違うのです。

”いつもの風景”では、ドアを開ける人は、ドアを押す位置ではなく、引く位置にいます。いらすとやさんのイラストを使わせていただくと、下記のような感じ。

いらすとや

ドアを開けてあげた相手が安全に通過したことを確認した後に、ドアから手を話します。後ろに他の人が続く場合、引き続き開けてあげる場合もありますし、後続の人とのコミュニケーションの中で、後続の人に”ドアを開ける役割”を引き継ぐ場合も。ですので、男性がドアを開けている際に、男性がドアを通過することもありますし、通過する人は男女問わず、開けてくれた人に「ありがとう」と言って通り過ぎます。

”いつもの風景”は、アメリカの中でも、エリアによって(もっと言えば、同じエリアでもその人のバックグランドによって)コミュニケーション方法や習慣が異なるため多少の違いがあります。ただ、”自分が手を離したドアが後続の人に当たらないようにする”という配慮、ましてや自分の”ツレ”への配慮については、してない人の方を見かけない・・・というか・・・。もし、そんなシーンを見かけたら、粗野な態度に見えてしまうため、ちょっとヤバい人なのか、怒っている人なのか、そんな視線で見てしまうと思います。

ここからは、テキサス州(特に都市部)での”いつもの風景”の話です。他宗から見たテキサン(テキサス州民)は、頑固な田舎者のカウボーイ的なイメージを持たれることが多いですが、同時に”南部のホスピタリティ”というイメージも持たれているようです。平たくいうと、フレンドリーで親切。

ドアまでまだまだ距離があるのに、前の人がずっとドアを開けて待ってくれている場合、日本人(私の場合)だと、つい小走りして「すみません」と言いたくなるものですが、テキサンは基本的に小走りをしません。ただ、遠くから「ありがとう」とか、「大丈夫よ、お先にどうぞ」と声をかけます。そこから会話が始まる場合も。

私がドアを持っていて、大家族が通過した時に、「ありがとう。すごい長い列だから、大変だろ?」や、「お子さんが待っているから、変わるよ」と言われたこともありました。そこで会話をしたから何が起こるわけでもありません。でも、目の前でバンとドアが閉まる場合よりも、お互いに気持ちよく過ごせます。

おもしろかったのは、赤信号を小走りすぐことなく、堂々と通過した人(車は通っていなかった)が、青信号になってから小走りして同じ建物に向かった私を、ドアを開けて待っていてくれたことです。さらに「慌てなくていいよ」と言ってくれたのですが、その時、私が慌てていたのは、待ち合わせの時間にギリギリだったからで・・・。

信号は待てないが、ヒトは待てる!?

彼からすると、車が来ていなかったのだから、急いでいるのに赤信号で渡らなかった私の方が”おもしろい”のかもしれませんが。

ここでこの習慣が良いとか悪いとかの議論を横に置いておきます。問題は、アメリカには、この習慣が当たり前だと考えている人が多いということです。言い換えると、建物の外に出る際に、自分よりも前に歩いている人が開けたドアが”急に閉まる”という想定をしていない人が多いように思います。

先ほど、『通過する人は男女問わず、開けてくれた人に「ありがとう」と言って通り過ぎます』と、述べましたが、もちろん例外もいて、無言でさも当たり前のサービスを受けているような感じで通過する人もいれば、スマホを弄りながら視線も合わせない人も稀にいます。そういう”例外”はドアは自分たちのために当然開けられているものと思っているので、やはり感じ悪いなという印象を受けるわけです。

”粗野な人”が手を離したドアが”感じ悪い人”に当たってしまったら・・・。

動画に出てきたドアは、ゆっくりと閉まるタイプのものだったようですので、手を離しても、奥様に当たるようなことはなかったようですが、それもアメリカではあまり関係ありません。

重要なのは、あなたのことを配慮していますよという態度を表明すること。

アメリカには”阿吽の呼吸”というアイデアはありません。日本ではどちらかといえば、さりげない配慮や優しさがよしとされますが、アメリカでは、”配慮してますよ”としっかり伝えてこそ、です。人前であっても(より一層?)パートナーに対する配慮を示します。この辺は「愛している」と言葉にするかしないか問題と似ているかと思います。

2)差し出した手が向かったところ

動画では、ドアを出た後、男性が女性に手を差し出します。その手が向かった先がお相手の手だったことが2つ目の違和感です。何も手を繋ぐのがダメだと言っているわけではありません。その前にすることがあるよね?という点です。

伸ばした手は、当然、相手の荷物に向かうと思っていたら、それよりも手前で着陸してしまった!?

個々人の持つカバンがそれぞれが持っているのが当然だと思いますが、購入したものや大きなカバン等は、男性が持つのがアメリカでの”いつもの風景”。もちろん、荷物が多い場合には手分けをして持つものだと思います。ただ、女性が男性よりも多く(大きな)の荷物を持っているという風景は、アメリカで見たという記憶がありません。

もちろん、ここでも男性が女性の荷物を持つ習慣の方が素晴らしいと言っているわけではありません。単純に、アメリカでの”いつもの風景”かどうか?という点です。治安の悪い都市部では、女性が荷物を持つ方が危険ということもあるかと思います。

何はともあれ、動画のようなシーンで、手を伸ばされたら、私だったら何気に荷物を手渡すポジションに左手を動かしながら「ありがとう」と言いかけて、「あれ?あれ?」ってなっていただろうなという気がします。

この件は小さなことといえば、小さなことです。ただ、小さなことも積み重なれば「あれ?」という違和感も大きくなっていくだろうなと思います。

小さな違和感の問題点

現地ルール(習慣)とどのように付き合うか?

海外生活をする上中では日々、文化や習慣の違いを感じるものです。基本的には”郷に従う”のが、現地での生活をスムーズにする秘訣かと思いますが、現地の習慣の中にはどうしても変えたくないものが存在するのも事実です。

例えば、私にとっては、家の中でも靴を履く習慣。衛生面を考えたときに、私は絶対にこの習慣を変えたくなかったですし(SARS禍の香港で、感染経路の1つとして挙げられていたことも)、夫も同意してくれたので、我が家では家では室内用のスリッパを履くようにしています。自宅内のことですので、”我が家ルール”を貫くことで、困ることはほとんどなく、導入しやすかったということもあります。

マイルール(日本での習慣)の方が適切と思いつつも変えたものもあります。その1つが車間距離。テキサスのハイウエイでの車間距離は日本よりも短めです。さらにテキサス州のスピード制限は、アメリカの中でも高めの設定と言われていますから、高速道路に慣れるまでは、ものすごい勢いの車が無理やり前に入ってくることが度々あり、恐怖の連続でした。

前の車が急ブレーキを踏んだ時のためにも、一定の車間距離を開けた方がいいというのは、正論だと思います。ところが、日本で”通常”と思われる車間距離を取ると、テキサスでは必ずと言っていいほど、割り込まれます。このような割り込みに限って、車線変更の仕方がかなり”シャープ”な時が多く・・・・ときには、「車は前後に移動するもので、左右には移動できない乗り物ですよ」と言いたくなるようなチャレンジャーもいます。そこで気がついたのが・・・。

車間距離をテキサン流に従わない方が、むしろ危ないのでは?

ということ。日本流の車間距離を取ろうとしても、割り込まれては結局車間距離が狭くなりますので、テキサス流の車間距離を保った方が危険な車を避けることができるような気がします。逆に、ある一定以上の車間距離を取りたいのであれば、制限速度よりも遅い速度で、日本以上の車間距離を取り、基本的に抜かしてもらうスタンスで運転するのも、危険回避になるのではと考えています。

これは先ほどの”ドアの開け方”と同じではないかと思います。もちろん、どちらの習慣(ルール)が適切か?という議論をしたいのであれば、行えば良いと思いますが、アメリカに住むならば考慮すべきなのが・・・アメリカ以外の国の習慣に興味があるアメリカ人は、そんなに多くはないということです。

アメリカ以外の国に興味がない、アメリカ人!?

アメリカ人はアメリカ以外にあまり興味がないということは、何度か聞いたことがあります。この説が一理あるかもと思うのは、エンターテインメントの分野で長年、ハリウッド映画やアメリカのドラマの影響力が考えられるからです。

世界中で鑑賞されている、アメリカのエンターテインメントを通じて、”アメリカの習慣”は何となく広く知られています。アメリカ人の友人がいなくても、アメリカで生活をしたことがなくても、もっと言ってしまえば、アメリカそのものに全く興味がなくても、自分とは違った習慣のあるアメリカを知ることができます。

ところが、アメリカに住んでいて、アメリカ的な生活をする人との交流しかなく、アメリカンエンターテインメントのみで満足しているという人の場合、自分たちとは違う習慣があるということを知ったり、実感したりする機会が極端に少なくなります。

また、アメリカは大国であり、アメリカが一番だと思うアメリカ人が多いというのも、アメリカ以外の国への関心をあまり持たなくなる一因ではないかと思います。例えば、経済面で現在トップ2と言われる、アメリカと中国との比較で考えると、経済的に成功した中国人でアメリカに移住しようとする人は多くても、逆のケースはほぼあり得ないかと思います。もちろん、中国の文化や国に興味があり、中国に移住するアメリカ人はいますが、マニアックなケースではないでしょうか。

これも良いとか悪いではなく、単純に”アメリカではそういう傾向にある”というだけのことです。

”違和感”が持つリスク

欧米で男性が女性の大きな荷物を持ってあげたり、ドアを開けてあげたりする習慣は、それを実行する/しないは別として、日本では広く知られていることです。実行している男性を見かけると、それはプラスポイントにはなるかと思いますが、逆に、実行しなかったからと言って、そこまでネガティブな感情は持たれないのではないかと思います。

例えば、ソファー席と椅子がある場合、アメリカでは、女性は自然とソファー席となります。ですので、仕事関係で日本で食事に行った際に、男性が先にソファー席に座ったときに、現在の習慣から、一瞬びっくりしましたが、日本育ちの私はすぐに「ああ、そうか、上座か」と、その状況を理解することができました。

ところが、アメリカの習慣しか知らない人は、このような違和感をもたらす背景は何か?を理解する情報を持ち合わせていません。そのため、違和感をもたらした人物の性格が”粗野””乱暴””失礼”であると考える可能性が高いと考えられます。さらにどのようなマイナスの行動・態度の背景として、”きちんとした教育を受けていない””育ちが悪い”等々の想像をしてしまうこともあるかもしれません。

個人的は、こういう誤解を与えてしまうようなリスクのある習慣は、現地の人に合わせた方が良いと思います。どちらが適切か?ではなく、現地の習慣に従わなければ、自分が損をするからです。特に同僚や、近所の人等、継続的なお付き合いがある人に対してこれをやってしまうと・・・あらぬ誤解を受けてしまうかもしれません。

KKの違和感

KKの一連のメディア対応等で、彼が”日本的なコト”を知らないのは、通っていたインタと大学の影響かなと思っていたのですが・・・。2回の留学と、就職を合計すれば、5年くらいはアメリカでの生活を経験しているはずのKKということもあり、今回の動画は、そういう意味では衝撃的でした。

私は女性ですが、それでも後続の人が通り切るまではドアを開けています。誰に教えてもらったというものでもありませんが、”エレベーターで歩かないときに、いつもは右側に立っているものの、旅先の街ではみんなが左側に立っているから、自分も左側に立つ”くらいの感じです。

さらに、変な言い方ですが、ステイタスのある仕事に就いていればいるほど、これらの習慣はより”スマート”になっていく(それが求められる)傾向にあります。私の個人的な、しかも、感覚的な調査(笑)によれば、家賃がより高そうなビルで遭遇する(勤務する)人の方がドアを開けて待っていてくれる時間が長くなるという仮説を立てています。
この理由を説明するのには、アメリカ文化論みたいなものが必要になるため(それは長くなるので)、ざっくりと言ってしまうと、アメリカでステイタスがある仕事に就くためには、仕事ができるだけでは不十分で、できそうな人に見えることが不可欠です。いや、むしろ後者の方が重要なのかも、と思うことも多々あります。

KKが就きたいと思っているであろうポジションの人たちは、女性に対してドアを開けてあげるのは当たり前であり、問題は、それをいかにスマートにこなしているのか?ということになるかと思います。
大変失礼ながら、ヒモ体質の方は、エスコート的なことが得意なのものと思い込んでいましたが・・・そうでもないのかもしれません。7割以上の人が合格する試験に2回も失敗している上に、行動を見てもスマートさがないという点では、普通に”仕事ができない人”として違和感がないことなのかもしれませんが・・・。

外務省がやるべきこと

私は、KK夫妻は今すぐに日本に帰国するべきだと思っています。警備や生活費の問題だけでなく、元皇族として特に公平さが求められる中、クリーンな感じがどうもしないビザの問題や、ハニトラや誘拐等、国防上の問題等を考えても、ニューヨークにいさせるべきではありません。もちろん、彼らが全て自力で生活しているのなら別です。国がサポートする理由が全く見当たらないのです。

それでもなお、ニューヨークにいることを支援したいのなら、まず、やらなくてはいけないのは、仕事の斡旋ではなく、アメリカで”必要なコト”のレクチャーではないかと思います。ご結婚後の報道から、良い仕事をあてがったところで、彼はそれを続けることができないというのは、すでに分かっていることです。彼がアメリカで生活する上でラッキーなことは、アメリカでは2年以上の勤務期間があれば、転職を繰り返すことが決してネガティブではないということ。

そして、2年間であれば、”雰囲気仕事ができる”だけで、本当に仕事ができなくても、逃げ切ることができるのではないか?ということーーこれも私の仮説ですが・・・。

実際、以前の上司は、理系の修士号とMBAを持っていたものの、Outlookすらきちんと使えない状態で、それが業務に大きな支障をきたしていたのですが、2年ごとの転職により、最近では取締役にまで登り詰めていました。気さくで話をしていても楽しく・・・と人に好かれる人柄。話し方も堂々としてリーダー的な雰囲気はありました。ただ、内容をよくよく聞くと、ひと昔のトヨタの戦略を、そのままを自論のように展開しているだけだったりするのですが、専門は”より狭くより深く”のアメリカでは、他部門の人には、話している内容がどうかというのは、あまり関係がないようでした。同僚(その人から見た部下)の総合的な意見としては、「一緒に仕事をしなければ良い人」ですが、良い人だけに”のれんに腕押し”的な徒労が多く・・・。

他にも、大企業で管理職に就くために、会社側が話し方のコーチをつけてくれたという話も聞いたことがあります。そのコーチから学んだのは、論理的に話す方法ではなく、リーダーっぽく見える話し方だったようです。

”雰囲気仕事ができる”スキルや態度は、ピンキリですが、”ドアをスマートに開ける方法”くらいはすぐに身につけられるものかと思います。これくらいのことは、できて当たり前で、できなければ、かなりネガティブな印象を与えかねません。特に「元プリンセスの夫が・・・ね・・・」というのでは、日本人全体の印象に悪影響を与えかねません。外務省は、仕事をあてがう前に、こういったところを指導するべきではないかと思います。これこそ”品位を保つのに必要な経費”です。

もう1つは、彼らの安全対策に対するイメージ。以前、パパラッチされた、”お姫様、お一人でのお出かけ”について、アメリカ人があの記事を見たときに、「ああ、お一人で頑張られているのだな」と思うよりも、「あの態度では危ないから、誰か、きちんと教えてあげて」と思う方が多いのではないかと思います。スマートな人はわざわざ危険に身を投じないからです。あの記事はやらせで、実は私服警備員が周囲にいたという話もあります。そうであるならば、イメージ戦略として失敗です。

英国のカップルよりも、夫婦共にアメリカでの知名度が低いですし、もともと日本の皇族に関心のあるアメリカ人も少ないため、日本人のイメージへのダメージはそれほど大きくはないとは思います。とはいえ、日本の皇室についてあまり知られてないが故に、彼らによってそのイメージが就いてしまうのではないかという懸念もあるのではないかと・・・。というわけで、いろいろ考えると、外務省や宮内庁が、彼らをスムーズに帰国に向かわせてくれることを切に願っています。

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