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コロナ関連の義務化:ゼロ州VS満載州比較【アメリカのコロナ事情Vol.16】

マスクなし、ワクチンなしのテキサス州の現状

ご存知の通り、テキサスはワクチンもマスクも義務化なしの州です。個人的には、屋内で密な環境ではマスクを着用していますが、広いテキサスでは、狭い店舗に入る時以外には、ソーシャルディスタンシングが十分に取れる状況にありますので、結果的にマスクは、ほぼしていない状態です。

レストランの営業でも、屋外テーブルのみを開放している店、広めの間隔を開けたテーブルの配置で屋内での飲食を可能にしている店、通常営業に戻った店・・・と、各店舗ごとの対策が行われています。顧客の方も自分が良しとする”コロナ対策”を店選びの1つにしていますから、特に問題は起きていません。

学校もマスク・ワクチンの強制はありません。マスク着用による弊害ーー脳の酸欠が子どもに与える影響、体の酸欠、清潔ではないマスク等々ーーの研究論文もいろいろ出ているようですので、その都度、子どもたちにはシェアするようにしています。その上で、子どもたちには、”マスクが必要な時と、外した方が良い時”を自分で考え、着脱するように伝えています。他のお子さんも同様の状態のようで、体育用の薄めのマスクや、汗をかいた時や汚れた時用の替のマスクを持ってきている子もいます。全くマスクをしていない子も数名見かけますが、マスクを巡ってトラブルが起きたということは聞いていません。

このような状態で、学校での感染状況はどうか?というと、8月末に新学期が始まって以来、合計で3回ほど、”あなたのお子さんは感染したお子さんと接触した可能性があります”通知を受け取りました。テキサス州の場合は、濃厚接触者であっても、症状がなければ登校できるため、通知を受け取った場合でも、体調を注視しながらも、通学は続けています。逆に、この通知を理由に、学校を休んで良いとはなっていないようです。それでも、今のところは、それ以上の感染が広がるようなことは1度も起きていません。

不思議なのが、子どもたちが「結局、誰がお休み(感染)していたのかわからない」と言っていることです。選択したクラスにより、クラスメイトが変わるため、わかりにくいということもあるのかもしれませんが、20数名しかいない小規模クラスで、最低でも1週間はいなかった子が誰かわからない・・・というのもですが・・・。何はともあれ、今のところ、学校で集団感染ということは起きていませんので、状況見ながら、その都度、家族で対策について話し合っているところです。

テキサンがハワイに行く時の心配事

そんなテキサン(テキサス州民)がワクチンパスを導入し、マスクも義務化されたハワイ州に行ってきました。アメリカではサンクスギビングの休暇は、クリスマス休暇と並んで旅立つ人が多い時期となります。今回はハワイにいる親戚とサンクスギビングのお祝いするのがメインの目的でした。とはいえ、もちろん、しっかり泳ぎもしましたが。

ハワイはテキサスと真逆の状況で、ワクチン接種とマスクの着用が義務付けられています。ただし、ワクチン接種の代わりに、48時間以内のPCR陰性証明があれば、レストランやツアー、ジム等屋内施設も利用できるようになっています。ソーシャルディスタンシングに関するルールも、厳しく運用されているようです。

そんなハワイに行くにあたって、出発時からのテキサンの心配だったのが、PCR検査の陰性を獲得することです。ハワイ州に行くためには、アメリカ国内からでもワクチン証明か、PCR陰性証明が必要となっています。私たちはワクチンを打っていませんので、出発前1日以内の陰性証明が必要になります。何が心配かと言えば、偽陽性の問題。そして、出発までにきちんと結果が届くか?という点です。ギリギリまで結果が出なかったため、高額なラピッド検査も受けておくかと、予約を入れようとした瞬間に陰性結果が届き、まずは一安心。ハワイの旅はなかなか大変なことになりそうだ・・・ということはこの時から感じていたことですが、やはり大変でした。

テキサンin ハワイ

ハワイで何が大変だったかといえば、2日に1度のPCR検査。ワイキキビーチから徒歩圏内に、屋外の無料PCR検査場があり、1時間以内(実際には、平均で20分くらいで結果を受け取っていました)にはスマホに結果が届くので、便利といえば便利なのですが・・・。次の48時間の予定を考えながら、陰性証明が有効かどうか?常に考えないといけないというのは、結構・・・面倒です。そして、陰性結果が得られなければ、サンクスギビングなのに、家族の集まりにいけないことになりますから、毎回、ドキドキです。さらに、検査場は屋外で、検査を待つ列(そんなには長くならない)にはソーシャルディスタンシングを開けて並べるような印がしてあります。が、マスク着用が必要なのです。秋とはいえ、泳げるくらいの暑さはありますから、マスクの中が汗でびっしょりです。・・・他州にお邪魔しておいて、愚痴ばかりですみません・・・。

列に並ぶ人の中には、ハワイ州民の人もいました。ワクチンを打っていない理由は尋ねていませんが、2日に1度、PCR検査を受けながらの日常を送っているそうです。その方の息子さんの一人は、その生活が窮屈になり、夫婦でテキサス州に引っ越されたとのことでした。30年以上ハワイに住んでいるという日本人の方も、「テキサスのアボットさん(知事)はいいよね。ハワイの知事はヴァカ(バカ)だから、本当、大変だよ」と、繰り返し言われていました。他州の知事の名前を出しつつ、自分の州知事の名を出さないあたり、本当にお嫌いなんでしょうね。

ただ、ハワイの知事をフォローするならば、小さな島にたくさんの人が住んでいる(訪れる)ハワイと、とにかくスペースに余裕があるテキサスとでは、コロナの対策は違って当然です。だからこそ、パンデミック対策は各州ごとに行うべきで、連邦政府が一括で義務化政策を導入することは、憲法違反であるだけでなく、”科学的な根拠のないこと”でもあるかと思います。

ハワイでのコロナ・ルールの運用

48時間の陰性証明がどれくらい厳密に運用されているのかについて、いろいろ聞いてみたのですが、厳密に運用しているところ(1分でも過ぎていればNG)から、建前ではルールを設けているものの、毎回確認はしないところまで、店舗によって異なるようでした。

私たちは1度、45分過ぎていたため、レストランの予約を諦めなければならないということがありました。ハワイでは、人数制限を設けているレストランが多く、予約なしでの入店はなかなか難しいというところも結構あるようです。陰性証明を取り直し、モールのフードコートに出かけたのですが、飲食スペースに入るためには、やはり陰性証明とIDカードが必要でした。トイレ等で、一度、飲食スペースを出ると、戻ってきた際に同様に入り口でチェックを受ける必要があり、レストランよりもやや面倒でした。このように、厳密に運用しているようなモールでしたが、夜8時になると、状況が変わりました。勤務時間が終わったのか、入り口でチェックしていたセキュリティーの人が帰っていきました。そうすると、誰でも自由に飲食スペースに入られるようになります。

うんうん、8時になると、コロナウイルスも帰宅しますからね。

・・・ではなく、結局、店側も”入り口でのチェックは利用客の安全対策として重要”と考えているわけではなく、”政府に言われたルールだからやっている”に過ぎないのだなと思いました。

エレベータも4人までとしているところが多かったのですが、4人乗っていれば次のエレベータを待つ人もいれば、乗り込んでくる人も。「定員オーバーなので、次のエレベータにどうぞ」と、はっきり言う人もいました。4人以上になっているエレベータに乗り込んでくる店員の方もいらっしゃいました。こちらも政府の決めたルールだから、ポスターを貼ったりはしているけれども、その対策の効果を信じて実施しているようではありませんでした(信じているのであれば、ルール通りにするでしょうから)。

観光客の多いエリアにいましたので、すれ違った多くの人がハワイの地元民というよりも観光客でしょうから、その人の居住地域のコロナ・ルールによって、ハワイのルールをどのように受け止めるのか(厳密に守るのか、緩く守るのか)は違うのかもしれません。ちなみに、私は?といえば、日本人っぽく”郷にいれば〜”で、ハワイのルールに従っていました。

あくまで人間ウオッチング中に気がついたことで、データはないのですが、マスクに関しては、テキサスの方がハワイよりもきちんと(適切な方法で)着用している人が多いように思いました。というのも、テキサスでマスクをつけている人は、本人が”マスクが必要”と考えて着用しているためです。着用したくない、もしくは必要ないと考える人は、そもそもマスクを身につけない(持ち歩かない)のです。
一方、マスク着用が義務化されたハワイでは、本人の考え問わず、マスクを着用しなければなりません。そのため、鼻を出したり、顎にかけたり(鼻と口はオープン)している人は、指摘されたらきちんと着用する準備はしつつも着用はしないという状況だったのではないかと思います。あとは、旅行客の場合、「リゾートに来てまで、なぜマスク?」という気持ちがあるからかもしれません。
一方で、屋外でもマスクをしている人がテキサスよりも多かった印象もあります。こちらも旅行客が多かったため、その方の居住地域のマスク着用のクセがあるのかもしれません。

余談ですが、数多くすれ違った人の中で、1人心配になる女性がいました。おそらくハワイ在住の方。モールの中の小さなパン屋さんの中で、どんなパンがあるか見ていたところ、思わず女性に近づいてしまっていたようでした。すると、「ちょっと!私に近づいてこないで!」と、ものすごい剣幕で怒鳴られました。内容が聞き取れる前に、声の大きさに驚いて、体が反射的に距離をとったくらいです。私が謝り終わらないうちに、今度は反対側にいた、別の買い物客にも同じように怒鳴っていました。女性はその後も、レジで支払いがすむまで、自分の周辺に睨みをきかせているようでした。パンデミックが始まった当初は、口に出すか出さないかは別として、多くの人が内心「私に近づかないで」と思いながら買い物をしていたかと思います。あれからほぼ2年・・・。彼女がそのままの生活を続けてきたのだとしたら、お気の毒です。

テキサスの場合、こういう方は見かけません。というのも、政府が全ての制限を撤廃していますから、例えば、学校でマスクをしないお子さんや教師に「マスクを着用しなさい」とは直接言えないのです。学校が始まる前には、学校(学区)に”マスク着用義務を求める署名活動”をネット上で行っている保護者の方もいたようですが、結局、実現はしていないようです。
新学期が始まる前、確かに不安ではありましたが、他のお子さんのコロナ対策に期待ができない分、我が家のコロナ対策、特に子どもたち自身が理解をして、自ら実践してくれるような準備が必要でした。おそらく他のご家庭も同様の対策を取ったのではないでしょうか?結果として、ほとんどの子どもたちがマスクをしているのですから、強制的にやらせるよりも、むしろストレスなくて良かったのではないかと思います。

とは言え、まだコロナ禍ですから、油断はできませんが。次回は、この2つの州について、データで比較してみたいと思います。

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