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医療従事者対象のワクチン義務化も一時凍結【VS コロナファシズム(3)】

約76,000施設、1,700万人以上の従業員に影響

先日の大企業を対象としたワクチン接種義務化の凍結に続き、医療従事者を対象とした義務化に対しても、連邦裁判所が仮差し止め命令を出しました!バイデン政権の指示の下、メディケア・メディケイド・サービス・センター(CMS)は11月はじめに、医療従事者に対するワクチン接種を義務付ける規則が発行していました。この規則により、10州の数千人の医療従事者が12月6日までに1回目の予防接種を受けなければならなくなるはずでした。

ニューヨークポストによると、連邦地方裁判所のマシュー・シェルプ判事は、32ページにも及ぶ厳しい命令の中で、この義務化について「政治的にも経済的にも膨大。連邦制度を変え、境界線を押し広げる義務化である」とし、差し止め命令を出しました。これはバイデン政権が主導してきた、連邦政府によるワクチン義務化に新たな打撃を与えるもので、さらに多くの法的問題が山積していると言います。(判事、10州でのバイデン医療従事者へのワクチン義務化を阻止

連邦政府を訴えた州は、連邦議会がメディケア・メディケイド・サービスセンター(CMS)に義務化の権限を与えていないことを理由に、義務化の凍結を求めていました。また、この義務化によって、特に地方では、医療サービスを提供するのに十分なスタッフがいないため、施設が窮地に陥る可能性があることも述べました。ニューハンプシャー州のクリス・スヌヌ知事(Chris Sununu)は、自身のウェブサイトの中で、「バイデンの義務化を導入すれば、介護施設が閉鎖される危険性がありました」と述べています。

判事による凍結理由(一部):                        ・CMSの決定は長期介護施設からのデータにあまりにも大きく依存していると述べた。                                                                                                                        ・CMSは、何百万人ものアメリカ人の個人的な医療上の決定を連邦政府が指示するという前例のない要求をすることで、伝統的な州の権限の領域を超えようとしている(伝統的な連邦主義の概念への挑戦)                                                              ・CMSは、その義務化が医療施設の適切なケアを提供する能力、ひいては命を救う能力に与える負担を大幅に過小評価していることが明らかであるため、本件の是非が判断されるまでの間、国民は『現状』を維持することに関心がある

Mcknightsによると、今回の差止命令は、この訴訟を起こした次の各州に影響を与えます。(AP通信によると、これらの州はいずれも共和党の検事総長または知事)  アラスカ州、アーカンソー州、アイオワ州、カンザス州、ミズーリ州、ネブラスカ州、ニューハンプシャー州、ノースダコタ州、サウスダコタ州、ワイオミング州。

その他の州の医療従事者を対象とした義務化に関する訴訟状況:        ルイジアナ州とテキサス州の裁判所に提出された案件についても、来週以降に最初の判決が出ると予想されています。前者はモンタナ州の主導により、アラバマ州、アリゾナ州、ジョージア州、アイダホ州、インディアナ州、ケンタッキー州、ルイジアナ州、ミシシッピ州、オハイオ州、オクラホマ州、サウスカロライナ州、ユタ州、ウェストバージニア州の同業者が原告として名を連ねているそうです。

そもそも何故こんなにややこしくなっているのか?

バイデン政権が次々に出してきた、ワクチン接種の義務化ですが、実は少し複雑な仕組みになっています。似たようなニュースが度々出てくるため、「義務化になったんじゃないの?」「あれ?義務化を禁止しなかったっけ?」と混乱されている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

何故こんなにややこしくなっているのか?といえば、連邦政府には基本的に、ワクチン接種の義務化についての権限がなく、トリッキーな手法で義務化をゴリ推してきたからです。アメリカはその歴史から、中央政府に大きな権力が集中しないように、州政府の権限が大変大きくなっています。バイデン政権が出したワクチン接種義務化は、次の3つに分けて”指示”されています。

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この”指示”という微妙な言い方を使ったのは、大統領令として、発行されたワクチン義務化令は”2)連邦政府職員・契約者”のみで、”1)医療従事者””3)大企業従業員”の2つについては、COVID-19アクションプラン”Path Out of the Pandemic”の一部として発表されたに過ぎないからです。バイデン政権は、プレスリリースの形式で大統領令っぽいものを発行したと揶揄されたのは、そのためです。例えるなら、”複雑性PTSDという診断の見立て(?)はしたけど、診断書は書いてないからセーフ”みたいなノリです。

このアクションプランが出されたのが9月9日でしたが、過去に記事を書いた10月12日時点でも、1)と3)の法的根拠となるものは、何も発行されておらず、訴えたくても訴えられないという状況のようでした。問題はアクションプランには、来年1月4日という義務化の期限が設けられていたことです。ご存知の通り、ワクチン接種完了者となるためには、日にちを開けて2回の接種とその後、2週間経っている必要があります。そのため10月半ばとなると、そろそろ1回目を打つか、打たないかの決断をしなければ・・・という時期。失業かワクチンかを検討している人にとっては、放置状態がより負担となっていました。

このため対策として、テキサス州のアボット知事は10月11日、州内のいかなる団体もワクチン義務化を禁止するエグゼクティブ・オーダーを発行しました。同じエグゼクティブ・オーダーでも、知事よりも大統領の権限の方が上回るという声も上がっていましたが、バイデン大統領は大統領令を発行していなかったため、どちらの効力が上なのか?不明なままでした。

テキサス州のサウスウエスト航空のように、連邦政府から「契約を切る」と脅されて泣く泣くワクチン義務化を決めたものの、パイロットらの強い反対にあい、義務化禁止のテキサス州に従うとした企業もありました。義務化反対の動きは、何も保守色の強いテキサス州やフロリダ州だけでなく、リベラルのニューヨーク州やカリフォルニア州でも起こっています。むしろ、連邦政府に忖度し、州内での義務化を進めるリベラル州の方が、義務化反対の運動は大きく盛り上がっているようです。

その後、医療施設・機関向けにはCMSが、大企業向けにはOSHAがそれぞれ”規則”として、従業員に対するワクチン接種を義務付けたことを受けて、各州・団体(組織)がそれぞれ義務化を阻止する訴訟を行っていると言うのが現状です。

念のため、現在出ている義務化訴訟は、全て判決が出るまでの”一時凍結”の状態であり、裁判は継続中です。

連邦政府の下請け業者対象の義務化訴訟でも仮差し止め

ケンタッキー州の連邦判事は11月30日、連邦契約者を対象としたワクチン接種の義務化に対して、一時的に阻止する仮差し止め命令を出しました。連邦地裁のグレゴリー・ヴァン・タテンホーブ(Van Tatenhove)判事は、ケンタッキー州のダニエル・キャメロン(Daniel Cameron)司法長官の申し立てを認めました。

この訴訟は、キャメロン司法長官がオハイオ州とテネシー州の司法長官とともに、11月初旬に起こしたもので、判決は、3州にのみに影響しますが、他にも、ルイジアナ州の司法長官が主導し、他の13州の司法長官も参加した同様の訴訟が行われています。

Yahooニュースによると、原告の主張は、ワクチン義務化が憲法上の権利を侵害するだけでなく、連邦政府の囚人を扱う連邦契約を結ぶ地方刑務所の労働力と予算の問題を引き起こす(ブーン郡、ローレル郡、グレイソン郡の地方刑務所というものでした。

ヴァン・タテンホーブ判事は命令書の中で、本件は、バイデン大統領が議会の権限を踏み越えたかどうかが問題であるとしています。

「大統領は、物品やサービスの連邦調達を管理するために、議会から委譲された権限を使って、連邦政府の請負業者や下請け業者の従業員にワクチンを強制することができるのか?この質問に対する答えは”ノー”である」。

この訴訟は、3つの州でワクチン義務化の実施が一時停止している間、継続して行われます。

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