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【アメリカのコロナ事情Vol.6】      子どもの肥満とコロナ死、アメリカ人の反応

いろいろな形で開始、子どものワクチン接種キャンペーン

先月(2021年8月)、ファイザー社のコロナワクチンが謎の正式承認されたことを受け、とうとう始まりました”子どものワクチン接種キャンペーン”

米カリフォルニアの公立校、12歳以上の生徒に接種義務ーーワクチン正式承認で

9月の州知事リコール選挙で、不正疑惑(投票に行くと、自分の名前ですでに投票されていた等)の声も上がっているカリフォルニアですが、続行が決まったニューサム州知事は、子どものワクチン接種についても承認が取れる事を前提に、承認が取れた年齢層から順に、学校に通う子どもたちを対象としたワクチン接種の義務化を段階的に導入しようと考えているようです。

この”段階的な導入”に合わせているのか、メディアの”子どものコロナ重症化・死亡事例”報道が増えてきました。子どもが亡くなるというのは、どんな理由でも本当に悲しいことです。亡くなったお子さん、そして、突然子どもを失った親御さんには、その悲しみの深さを考えると、どんな言葉をかけていいのか、わかりません。それだけに、非難めいたことは言いたくないものです。とはいえ、同じ悲しい体験をする人を増やさないためにも、同じ問題を持つ、生きている子どもたちのためにも、言わなければならないことがあります。それは、肥満がコロナの重症化リスク要因であるということです。

コロナで亡くなったプリティーンのある女の子は、(掲載されていた写真が)快活そうで、笑顔が輝く、かわいらしいお子さんでした。ただ、同時に「かわいそうに。ハイリスクのお子さんだったのだのか」とも思いました。

親御さんはインタビューに「健康体で、スポーツ好きな女の子だったのになぜ」と答えていました。”健康体”ーおそらく病気としての診断は受けていなかったのでしょう。そうすると、健康診断を受けさせてなかったのかもしれません。アメリカでは、肥満は疾患として扱われるからです。彼女がもし年(半年)に1回の健康診断を受けていれば、おそらく肥満外来か、子ども専用の肥満対策プログラムへリフォーラル(プライマリー医師から、専門医へ繋ぎ、より高度な診断、治療等を行うプロセス)されていたのではないかと思います。専門的な治療を受けるかどうかは、最終的には親御さん次第ですが、少なくとも、”肥満”と診断されていれば、肥満、またはコロナのご家庭での対策も違ったアプローチになっていたかもしれません。

アメリカ人の反応

このニュースについているコメントを”評価の高い順”から10個ほど、翻訳しました。●は大論争が繰り広げられているものです。

・かわいそうに。彼女が主の腕の中で安らかに眠ることができますように。

●子どもの肥満も”ヘルス・クライシス”。その子は11歳という年齢にしては少し体重が重かった。このことが健康状態の悪化に関連していると思います。肥満はさまざまな死の原因となりますが、メディアからは、それを熱心に伝えようとする姿勢が見られません。

・健康であることは、これまで同様、重要です。

●親は子どもに甲状腺/ホルモンの問題がないか、病院で診断を受けさせるべきだ。医師と肥満について話し合うか、毎日の食事を見直すべき。

・この美しい女の子に御加護を。ご家族や愛する人たちに心からの哀悼の意を表します。

●親が子どもに何を食べさせれば良いのか、知っていれば良いのですが。強い免疫システムは、体に入れるものから始まります。親はこの子を見捨てました。哀悼の意を表します。あなたが昇天し、安らかな眠りにつけますように。

・プリンセスを失ったご家族やご友人にお悔やみを申し上げます。プリンセスちゃん、永遠の平和の中で、眠ってください。

●子どもの肥満問題には、心が痛みます。大人だけでなく、多くの子どもたちが犠牲になっているのは、残念なことです。

●これだけはどうしても言っておきたい。炎上覚悟で。ニュースでみたCOVIDで亡くなった子どもたちはみんな、肥満でした。

・ワオ、あなた方は本当にこのような大胆な事を言っているのですか?

アメリカ人の反応ー投稿に対する大論争

大論争を起こした投稿の1つのコメントをご紹介します。ここの議論から、なぜアメリカでのコロナの死亡率が他国に比べて高いのか?が少し見えてきます。

子どもの肥満も”ヘルス・クライシス”。その子は11歳という年齢にしては少し体重が重かった。このことが健康状態の悪化に関連していると思います。肥満はさまざまな死の原因となりますが、メディアからは、それを熱心に伝えようとする姿勢が見られません。

・彼女は確かにオーバーウエイトだけど、肥満じゃない。            ・いや、完璧肥満でしょ。                                                      ・悲しいニュース。だけど、現実は肥満を抱える人々が最も大変な状況にあるってこと。YES、彼女は確かに肥満です。                                                                   ・もし、あなたが”肥満”という医療の専門用語とその定義を調べてみたら、彼女の年齢、体重から、完全に肥満だといえます。                                         ・両親にアドバイスするとしたら、あなたのお子さんが若いうちにスポーツをさせて。そして、子どもたちにジャンク・フードやファーストフードを与えないようにしましょう。未就学児の頃、どんな運動をしたか、何を食べたかは、成長したときに影響が出てくる。僕は今、15歳だけど、身長は・・・(自分と自分の両親の身長、体重を紹介)僕は5歳の頃から毎日サッカーをしています。  

                                                                                                                        ・違うわ。彼女は肥満じゃない。あなたは医者じゃないんだから、推測はやめて。 ・いや、肥満の要件を知っているよ。だから、彼女は肥満じゃないって言ってるの。あなたは自分のこと言っているだけでしょ。自分が肥満だからって、彼女を巻き込まないで。                                                                                                       ・人によっては、現実を受け止めきれず、息が詰まることもあります。                ・何の冗談かしら?BMIチャートによると、私たちのほとんどが医学的には肥満ということになるのよ。じゃあ、彼女は死に至るほどの肥満だった?違うわ。そんなことないわ。                                                                                             ・彼女は100%肥満に見えるよ。とはいえ、亡くなってしまったのはとても悲しいニュース。                                                                                                           ・BMIチャートは正確な指標ではない。肥満の指標として、かなり長いこと時代遅れとなっている。で、あなたの主張は?                                                        ・口先だけの人はあなただと思いますが、BMIの要件、身長、体重を調べて、肥満とは何かを確認する事をお勧めします。                                                             ・あなた方のためにも、死んだことに理由付けをするのをやめて。COVIDは現実であることを認めなければなりません。これはあなたを含めて誰にでも起こりうる事なのです。あなたには両親、子ども、妻等の家族がいないのですか?あなた方は一体何が問題なのですか?  

                                                                                                                                   ・これは死に至るほどの肥満です。                                                                    ・Tick Tok Tonnageが何と言おうと、これは病的な肥満です。                  ・しかし、あなた方はワクチンが人々を傷つけることに言い訳をするので・・   ・肥満は常にCOVIDの危険な併存症のラベルが貼られています。               ・BMIは医学的には肥満と判断される要素ですが、あなたの意見は無学としか言いようがありません。あの子の首と顎を見れば、一目瞭然です。早すぎる死は残念なことでした。しかし彼女の両親は、COVID以前に、彼女の健康問題についてもっと関心を持つべきでした。(BMIの計算方法について説明)あなたのBMI値は、少なくとも年に1回はチェックすべきです。それにより、大方の健康リスクを図る手助けになりますし、必要であれば、治療を受けることもできます。                        ・これは肥満です。あなたはあまりにも太った人を見過ぎてしまって、感覚が狂っているんじゃないですか?                                                                                

・これが現実ではないなんていう人はいないよ。100%の現実。しかし、これらの死亡例の主要な要因は、すでに他の疾患を持っていたからではないということはできません。それはまさに、高齢者、心臓疾患、肥満の何かであり、その全てが免疫システムを弱め、科学者がいうように、彼らは高いリスクを持っているのです。頭と目を使って、全ての情報をみましょう。そうすれば、自分で決断できないという不安を他の人に押し付けるような、愚かな人間には見えないはずです。           ・BMI表ではなく、目で見て判断している。あの子は地獄のように太っている(いた)訳ではない。筋肉質でも、ガリガリでもなく、太ってはいるけど。                ・彼女はCOVIDで死んだの!!!!彼女はコロナ以前から肥満だったけど、それが何だって言うの?(肥満では)死んでなかったじゃない!!!何よりも彼女の両親は、コロナのために彼女を埋葬しなければならなかった。彼女がオーバーウエイトだからじゃない。                                                                                                

・コロナ以前に、これらの基礎疾患が彼女を殺したわけではない。あなたの言い分は成立しない。彼女を殺したのは、COVID。それだけ。それしかない。心臓疾患や肥満は、一生涯付き纏っても、それが彼らを殺す訳ではない。ましてや彼らは、コロナにかかって死んだ。これらが示すことは、彼らが死んだ原因はコロナであり、基礎疾患ではない。彼らが基礎疾患とともに生きてきた。コロナ以前は。            ・両親は彼女にゴミを食わせた。彼女を1日中家の中で、ビデオゲームで遊ばせた。それが彼女の早すぎる死につながった。最近、甥が脳卒中で死んでね。彼はまだ28歳だったのに、400lb以上あった。私の姉は病院を訴えたいみたいだけど、私からすると、姉は自分自身を訴えた方がいいんじゃないの?って思う。             ・私はコロナは現実だと思うし、基礎疾患も現実だと思う。                          ・あなたには家庭ってものが理解できないの?家族がいないんじゃないの?彼らの生活がどうだったかなんて、知りようもないじゃない。

・BMIが使えない指標だとするならば、医者はなぜいまだにそれを”標準”として使い続けているのだろう?(絵文字”ふーむ”)                                                        ・肥満否定論は、コロナ否定論と同じぐらい危険な思想。両方が現実。両方死の原因となりうる。だけど、偏見なく比べてみても、肥満はコロナよりも危険。         ・あなたの理論は、”私は見ていないから存在しない”というものですね。彼らが以前に抱えていた医学的な問題は、実際に死に関与しています。それらは彼らの体を必要以上に弱くし、特に、不必要な体重増加をもたらしました。しかし、女性には愚かさ以外に何を期待すれば良いでしょうか?                                               ・誰も肥満を否定していません。私が言っていることは正論です。肥満が殺した訳ではありません。その子はCOVIDで殺される前には、生きていた。記事では、彼女は風邪すら引いたことがないと報じてます。彼女はコロナで死んだ。なのに、いまだにあなたたちは、体重のせいで彼女が死んだって言い続けるの?彼女はコロナになる前までは生・き・て・い・た!

”肥満”についての認知度

亡くなった女の子が肥満かそうでないかという点も、争点の1つでした。第三者的な立場で、意見を述べさせて頂くと、彼女は肥満です。ご両親を含めて。確かに、彼女くらいの体型の子はアメリカにはたくさんいます。だから、外から来た人間として、アメリカでは子どもの肥満が深刻だなっと感じているわけです。

スポーツのクラブでも、彼女程度の肥満の子は見かけます。それは日本の部活に比べたら、一般的に、練習の質も量も緩いからだと思います。そもそもアメリカで、徒歩や自転車で通学する子はかなりの少数派です。1日たかが20分〜1時間くらいかもしれませんが、”チリ積も”です。車通学の子は、たった5メートルくらいの距離でも、より歩かなくてすむところに駐車してくれるよう、親に頼んでいるようです(車の止め方から推測)。どうしたって、日常生活を送るだけでは、子どもたちの運動量が足りないと思います。そして、このような生活を通して、”より動かなくていい”習慣を身につけていきます。

肥満かどうか論争に続いて出てくるのが、BMIについての論争”BMIの数値でいくと、私たちのほどんどが肥満ということになる(だから、BMIなんて当てにならない)”というコメントがありましたが・・・・そういうことなんです、だから、アメリカの肥満の問題が深刻だと言われているのです。「肥満で死ぬ人はいない」と言い切る人がたくさんいましたが、肥満で亡くなった方はいますし、そのような危険がある人にはアメリカでは胃バイパス手術(胃を手術で小さくする)等の治療方法があります。そこまでいく人は少数とは言え、肥満の問題は放置すれば悪化することはあっても、改善することはないかと思います。

また、”重症化のリスク要因”の意味を理解していない人があまりにも多くいて、びっくりしました。”コロナにかかる前は生きていた(だから、肥満が原因ではない)””基礎疾患や肥満は、一生付き纏っても、それが死因になるわけではない”という、Withコロナならぬ”With肥満論”は、掲載した以外にもかなりの量、続いていました。しかも、「よくわからないけど、肥満のせいではないと思う」というような曖昧な論調ではなく、一見、論理的に語っているところが、さらに、同じ謎理論を展開している人が1人や2人でないことが衝撃でした。

肥満だけでなく、慢性疾患を持っている人が、自分のリスクを正しく理解していなければ、必要な予防策を講じているのか疑問ですし、感染疑いがあるときの早期受診も、その必要性を認識していないかもしれません。

義務化をするなら、子どもの健康診断

に1回の健康診断(3歳までは細かいスケジュールあり)は、保険を使うと基本的に無料です。メディケアでも同じです。ただ、学校で行ってくれる訳ではありませんので、各自、自分の子の小児科医を見つけ、そこで健診を受けます。アメリカの医療のいいところは、大人も子供も、自分の主治医が全ての医療情報をまとめて持っているということです。眼科に行っても、皮膚科に行っても、その情報を主治医に送ってもらうようにするのが、標準的な医療の受け方です。主治医には、自分の病歴だけでなく、両親や祖父母の疾患等の情報も、初診の時に知らせてあります。”遺伝的な可能性や過去の疾患を含めて、総合的に診断する”というスタンスです。毎回、駆け込みで診察を受けるよりも、医師が診断に必要な情報を予め渡しておくことで、病気の見落とし等のリスクも減らせるかと思います。

成長期の子どもは、その都度、いろいろな悩みが生じます。今回、肥満に焦点を当てましたが、成長グラフから外れた低身長もリフォーラルの対象になります。検査を行い、骨年齢の成長が早すぎる場合、成長を止めてしまう要因になるそうで、ホルモン治療等が行われるようです。発達障がいや、思春期特有の問題等もこの検診で発見・相談できます。年に一度、相談する機会があるのは、子どもの成長を見守る上でとても良いことだと思います。

健診はまた、”アメリカならではの別の社会問題”の対策の場の1つにもなっているようです。健康診断の問診票には、”薬物”についての項目もあります。気になって聞いてみたところ、親には言えないけど、やめたいというような相談を受けることもあるそうです。信頼できる子どものサポーターは多い方が良いかと思います。そういった意味でも、健康診断は活用されるべきです。

さらに、子どもの健康診断を推進できれば、一緒についていく親御さんも、”自分たちが肥満であること”に気がつくチャンスにもなります。アメリカは日本とは比べられないほど、医療費が高額です。家計を考えても、無料の健康診断で、将来的な病気のリスクを減らすことは、理にかなっています。公衆衛生政策の観点からも、この健診の時に、コロナのリスク要因があるお子さんには、リスク要因とは何か?どういう事を気をつけるべきなのか、相手の理解度に応じて、個別にきちんと伝えることができます。

子どもを対象に”義務化”を行うのであれば、ワクチンではなく、まずは健康診断だと思います。

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