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狙われた資本主義の科学者

コロナ騒動や不正選挙疑惑をめぐる一連の出来事で、中国共産党によるアメリカでのサイレント・インベージョンぶりが明るみになりました。“スパイ活動と知的財産窃取の一大拠点”としてヒューストンの中国領事館は2020年、突然、閉鎖に追い込まれました。このことについても、陰謀論だ!という人がいました。

テキサス州という名前は知られていても、具体的にどのような州かということは、は日本ではあまり知られてないのではないかと思います。テキサスと言えば、石油N A S Aですが、ヒューストンにあるメディカルセンターは世界最大級ですし、バイオテクノロジーコンピュータセキュリティー自動車等の産業でも盛んです。

ここで並べた産業に、共通するものをご存知ですか?

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がんの研究で世界的に名の知れたMDアンダーソンの所長が2019年、経済スパイ疑惑をかけられ、起訴等には及ばなかったものの、彼女はアメリカを去り、中国に戻りました。この時にも「彼女の研究はがんの疫学であり、トランプ政権により中国排除政策の一環だ」という批判があがりました。彼女が本当にスパイだったのかはわかりませんが、可能性は高いと思います。

なぜがん治療が軍事につながるのか?

まずは最新のがん治療について、ざっくりご紹介します。

2000年以降のがん研究

2003年にヒトゲノム・プロジェクトが完成し、2006年に次世代シーケンスが開発された後、がん治療の分野でも“遺伝子”が注目されるようになりました。

以前はがん治療といえば、抗がん剤だったと思いますが、悪い細胞だけでなく体全体にダメージがある抗がん剤は、副作用も大きく、効果の面でも疑問視する声もありました。一方、遺伝子に着目した治療ですと、例えば下記のような治療が可能です。

分子標的薬とは、がん細胞に特異的に発現する特徴を分子や遺伝子レベルで捉えてターゲットとし、がん細胞の異常な分裂や増殖を抑えることを目的とした治療薬です。 がん細胞の特定の分子だけを狙い撃ちにするので、正常な細胞へのダメージが少なく、従来の抗がん剤と比べると体への負担も少なくなっています
https://www.g-ms.co.jp/gan-zisyo/bunnsihyouteki/

さらに現在、各国が競って行っているのががんゲノム医療の研究です。

がんゲノム医療は、遺伝子情報に基づくがんの個別化治療の1つです。
がんゲノム医療とは、主にがんの組織を用いて、多数の遺伝子を同時に調べ(がん遺伝子パネル検査)、遺伝子変異を明らかにすることにより、一人一人の体質や病状に合わせて治療などを行う医療です。(中略)一部のがんの治療では、すでに標準治療として、がんの組織などを用いて1つまたはいくつかの遺伝子を調べる「がん遺伝子検査」を行い、遺伝子の変化に対応した薬が使われています。1つまたはいくつかの遺伝子を調べる「がん遺伝子検査」はがんゲノム医療に含まれません。https://ganjoho.jp/public/dia_tre/treatment/genomic_medicine/genmed02.html

ちなみに、日本ではがんゲノム医療を保険で受けるには、標準治療を済ませている(標準治療では効果がなかった)ことが条件となっています。それはこの治療法がかなりの高額だからです。

どれくらい高額か?ご興味がある方はこちらをどうぞ。2016年の記事です。【1ヶ月300万円超えも―高額化していると言われる抗がん剤、実際どれだけ高くなっている?】
がん研究が経済スパイに狙われる確率が高いと思える理由は、第一にこの薬の高さです。アメリカで、史上最高額の210万ドル(約2億3300万円)という薬価が付いたのは、脊髄性筋萎縮症に対する遺伝子治療薬「ゾルゲンスマ(スイス製薬大手ノバルティス社、2019年)」で(記録は破られていないと思います)、これも遺伝子関連の治療薬です。“遺伝子情報”、特にそれを集めたビッグデータの獲得に、各国、各企業が躍起になっているのは、そのためです。

科学者は共産党がお好き?

スーパーソルジャー計画って、ご存知ですか?痛みも疲れも感じない、どこまでも戦える超人兵士を、ゲノム編集により誕生させるというものです。ハリウッドの次回作の話をしているわけではありません。以前から中国では研究が進められているという話は聞いたことがありましたが、2020年末、フランスも超人兵士の研究開発を行うことを軍の倫理委員会で承認したというニュースが流れました。あくまでも研究するだけで、実際に人体に用いることはないということでしたが・・・・。

日本では”中国は素晴らしい!”という報道がほとんどですが、実際のテクノロジーは、ハリボテ疑惑があります。中国は”先進大国”と”途上国”の2つの顔を巧みに使いこなしています。中国が武漢ウイルス学研究所を設立の際に、フランスが協力しています。病原体レベル4(P4)研究所の設立を単独で行うことが難しかったためです。フランスは、本来共同で運営を行う約束だったが、設立後に追い出されたというような説明をしていました。仮に武漢が人工ウイルス流出減だったとしても、「自分たちには責任はない」ということでしょうか?超人の兵隊についての研究をしようとする国が、ウイルス研究所を中国に設立することのリスクについてわからなかったはずがありません。

武漢には同様の研究所が他にもあり、新型コロナウイルスを作っていたのは、最初に話題になったラボではなく、同じエリアにある別のラボではないか?という話が出ています(ややこしいので武漢研究所で統一します)。いずれにせよ、あのエリアにあるラボが人工コロナの発生源であるという説は濃厚になってきています。

武漢研究所に関係しているのは、フランスだけではありません。アメリカの科学の権威(と信じられている)ファウチ博士のメールが公開請求によって公表された今年5月、ファウチ博士と武漢研究所の研究員が助成金以外にも、直接的な交流があったことが明らかになりました。ただ、このメールでは、コロナの起源について武漢研究所からの流出説が流れた後、“オンライン・ミーティングを設定した”ということと、メールが送られた人々がわかるだけで、実際のミーティングの内容はわかりません。重要なことは、メールに記載せずに、オンライン・ミーティングで、というのは当然のことです。状況的に関与が疑われても、決定打にするには、ファウチ博士側の抵抗が強すぎました。

国立衛生研究所(NIH)から武漢研究所への助成金は、間にエコヘルス・アライアンスという団体が入っています。この代表のピーター・ダザック博士は、医学誌ランセットの編集委員であり、同誌に「コロナの研究所流出説は根拠のない陰謀論」というような声明を17人の科学者と行っていますし、WHOの中国調査団として武漢を訪問し、武漢研究所の関与を否定したりもしています。ともに“武漢研究所との利害関係はない”としていたようですが、助成金のことがなぜバレないと思ったのか、不思議でたまりません。先日、エコヘルス・アライアンスの職員の内部告発があり、この路線から”機能獲得実験とわかった上での助成金”ということの否定は難しくなってきました。

アメリカでは他に、テキサス大学医学部付属のガルベストン研究所も共同研究を行っていたとされています。カナダの国立微生物学研究所と関係のあった科学者キュウ・シャンガオとその夫、ケディング・チェンは2019年、カナダから退去させられています(理由は非公開)が、彼らも武漢研究所と関係があったと言われています。

おそらく関係していた科学者、組織はもっと多くあるのではないかと思います。どうして科学者は、中国で、共産党と一緒に研究をしたいと考えるのでしょうか?

ひとことで言うならば、中国では共産党が法律だから。

元々アメリカで行われていた“機能獲得実験”が武漢研究所で行われるようになったのは、パンデミックを起こすリスクが懸念される同研究のリスクがベネフィットよりも大きいと判断されたため、アメリカでは研究が続けられなくなったためです。

そうだ。中国に行こう。

コロナの発生起源については、引き続き調査が進められています(バイデン 政権の行った調査のことではありません。あれは単なる「やりましたよ」アピールでした)。武漢研究所以外、あり得ないだろうという感じの状況にはなってきましたが、仮にそうだったとして、責任は武漢研究所だけにあるのではなく、そこを支援したり、共同研究を行ったりしていたアメリカ、フランス、カナダ等の科学者らに対しても同等の責任を追求すべきだと思います。

優秀な研究者を守る社会の仕組みが急務

中国は“千人計画”による、科学者をはじめとした有能な研究者のスカウトにも積極的です。優秀な人材であれば、人種も国籍も問いません。以前、千人計画に選ばれた日本人科学者が日本のテレビで、中国政府の科学や技術に対する理解と、それゆえの素晴らしい研究環境が与えられていること、それに対して日本がいかにダメかというインタビューに応じていました。日本の研究環境に問題がないとは言いませんが、ちょっと引っかかるものがありました。

また、千人計画自体は広く発表されたことですが、個別に誰にコンタクトしているかについては、秘密裏に行われていると思っていましたので、こんなに堂々と語る科学者の姿に驚きました。後手後手になっていた日本政府も、今年になってようやく規制を始めたようですが・・・。

この千人計画は、経済スパイ的な目的だけでなく、軍事的な狙いもあるとされています。2012年に米国籍の技術研究者がシンガポールで、首を吊った状態で見つかったそうですが、彼は以前から自分の身に危険が迫っていとこと、その原因になったこと、もし、自分が“自殺した”という連絡があったら、大使館を通じて調査してほしいということを家族に話していたといます。家族の話から、彼はこのプロジェクトに選ばれたものの、それを断ったために、彼らの“計画”を暴露されないよう口封じにされたのではないかと、報じられていました。彼の研究自体は軍事ではなく民間のものでしたが、軍事転用できる技術だったと言います。「アメリカ人を危険に晒すわけにはいかないから断った」と家族に話していたそうです。

先述した、M Dアンダーソンの所長がスパイ疑惑をかけられた件ですが、押収されたメールのデータでは、2回ほど千人計画へのお誘いメールが届いていたものの、2回とも断っていた、とされています。この件を陰謀論だとした人たちは、この点を指摘していたのですが・・・考えてみてください。今時、メールにヤバイ証拠を残す人っているのでしょうか?特にお誘いする側は、その道の達人です。“お断りメール”の痕跡をあえて残すくらいのことはたやすいことです。そもそもお誘いを受けた際、お断りできる類のものであるのか?そこに疑問を感じたことも、「彼女がスパイかどうか、断定はできないけれども、その可能性は小さくはないだろうな」と思った一因です。

千人計画へのお誘いを受けたらどうするべきなのか? シンガポールで亡くなった技術研究者の事件を考えても、科学者個人の道徳観、倫理観だけで防ぐことはできないものかと思います。戦わない戦術を得意とする中国ですから、千人計画そのものが軍事作戦だと言えます。だとすれば、優秀な研究者を国が保護する、何らかの政策が必要ではないでしょうか。

資本主義の弱さ

中国では、共産党がOKすれば、どんな研究でもできます。先述のがんゲノムを日本やアメリカで行う難しさは、医学の発展と個人(ゲノム)情報の保護をどのように両立させるか?ということにありますが、中国は、党の一存で、全国民のビッグデータが使いたい放題になります。自分の研究対象に関して制限なのない追究できる環境があるからなのか、単純なお金儲けのためなのか、もしくはそのどちらも手に入れるためなのか?

このことは、“中国でビジネス展開できないはずのビッグテック。なぜ中国共産党とズブズブなのか?”にもつながる話です。自由競争のない社会、政府都合でルールがいつも変更されるという社会は、本来は資本主義者から最も敬遠されるはずのものです。にもかかわらず、なぜ多くの企業、組織、個人、国がそのような社会と積極的に付き合おうとするのか? 

“自分だけにはちょっと融通してくれた”
“自分は友達だから、自分だけには配慮してくれるようだ”

もし、そう思う気持ちがあるのならば、それは違う形でのハニトラに引っかかってしまったと言えるでしょう。(あなたのすぐそばにある”カモシレナイ”   ハニートラップ考

資本主義社会での成功−経済的、キャリア的成功−だけに囚われていると、彼らの格好のターゲットにされてしまいます。選ばれた人がいかに優秀な人であっても、彼らにとっては駒の1つ。駒としての価値がなくなれば、捨てられるだけです。

アリババのジャック・マー って、今、どうしているんでしたっけ?

世界的な大企業に育つまでは大切に育てられ、いい感じに育ったところで、ご苦労様。彼の場合には、それに気が付かずに、大口叩いてしまったのが・・・。

ここにも正常性バイアスが働きがちですが、どんなことでも、“自分だけは大丈夫”ということはありえないということを忘れないようにしたいです。

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