微妙な貧乏家族。

うちの家は、微妙に貧乏です。

微妙に、というのは面白エピソードがある程のドラマチックな貧乏ではなく、等身大に、よくある感じで、まぁまぁの貧乏だという事です。

祖父の代から写真館をやってまして、ぼくが小さい頃はバブルって言うか、写るんです持って旅行行くのが普通だった時代、まぁまぁ儲けてたっぽいです。

小学生までは、年に一度は海外旅行に連れて行ってもらいました。ぼくのアメリカ憧れが強い性格は、アメリカ旅行に行っていたせいだと思います。ハリウッドに行って、すっかり映画の脚本家になるつもりでいたのもこのせい。

ぼくが高校生になる時分、写真館界に激震が訪れます。

進撃のプリクラです。プリント倶楽部の台頭です。

以降、デジカメの普及、写メの普及に至るまで、写真館界はずーっと落ち目となります。それは未だに続く終わらない氷河期のはじまりでした。

プリクラブームが起こった時に父親が「プリクラを写真館の店頭に置こう」とコロンブスの卵的な、コペルニクス的な、世紀の超発想、ゲームチェンジを参画し始めましたが、ぼくはただただ「そういうこっちゃない」とだけ言い続けなんとか踏み止めました。

高校生。性の目覚め、すなわちデート、すなわち小金が欲しくなりました。小金を手に、彼女と映画とか観たい。イケてる服をライトオンで買いたい。小金を熱望しました。

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