見出し画像

エネルギーの質

タイトルがスピリチュアル的な響きにも聞こえるものになってしまいましたが(笑)、環境がどうこうという話をする前に簡単な物理(化学?)の話です。

私達は家の中で電化製品を使うとき、エネルギーを変換して利用しています。

湯沸かしポット:電気 → 熱エネルギー
電動歯ブラシ:電気 → 機械エネルギー
ライト:電気 → 光エネルギー

という感じ。

エネルギーの種類には、電気・光・原子核・化学・機械・熱などがあります。

ガス暖房なら、燃焼という化学反応を利用しているので、

ガス暖房:化学エネルギー → 熱エネルギー

となり、ほかの製品だと以下のような感じになります。あえて、古い道具も混ぜてみました。

電池式の目覚まし時計:電気エネルギー → 機械エネルギー
ゼンマイ式・振り子時計:機械エネルギー → 機械エネルギー
ろうそく:化学エネルギー → 光エネルギー
自動車:化学エネルギー → 機械エネルギー
電気自動車(EV):電気エネルギー → 機械エネルギー

これらのエネルギーは相互に変換が可能です。人間はエネルギーの種類を変えて利用することで、便利な道具を作ってきたわけですね。

そして実は、このエネルギーには質というかランクのようなものがあります。下は、いわゆる質の高い順に並べたものです。

電気・光・原子核
化学
機械

質が高いと言っても、偉いわけでも高級なエネルギーという意味でもありません。ざっくりと、高位のエネルギーから低位への変換は簡単で変換効率が良く、低位から高位への変換は困難で変換効率は悪いんです。

例えば、EVの変換効率は80%以上と非常に高いと言われているのだけど、それは高位の電気エネルギーから低位の機械エネルギーに変換しているから。その部分だけ切り出したら、ガソリン車に勝ち目はありません。

でも、その使っている電気エネルギーは、実はその前に低位のエネルギーから変換されているわけで。さらに送電と変電のロスがあり、コンセントに繋いだまま走れるわけではないですから、充電する時のロスもあります(そういえば電車は電力を直接供給した状態で走っていますね)。

そういうことを考えると、「EVの効率が良い!環境にも良い!ガソリン車はやめるべき!」なんて言えないのです…。話はそんなに単純ではありません。

効率その他の具体的な比較はまた別の機会があればしますが、私はガソリン車 vs EVでどちらが環境に良いかという議論は「目くそ鼻くそを笑う」程度の話なのでは…?と思っています。結局はどちらも環境に悪いというか。とは言え、私も普段から車に乗っているのですけどね…。

まあしかし、EUがEVの推進を決めたときに、この辺りを理解する技術者の間で困惑の空気があったのは理解していただけると思います(私は今でも困惑しています…)。


この記事は別ブログに書いたものを移行したものです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?