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足助のおばさん 田舎暮らし 67

たぶんこの字(お惣仏)でいいと思います。「おそうぶつ」。私ははじめ「お送仏」だと思ってました。村の中を1年交代でお守りしていく仏様のことです。
毎年今頃、正月がひと段落したころに「お惣仏」という行事が行われます。今日が今年のお惣仏で、先ほどおばあさんを去年当番だったお家まで送り届けてきたところです。今日、村の人が集まってお経をあげて、明日かあさってには今年の当番の家へ移されるはずです。村の家が20軒なので、20年に一度当番が回ってくる勘定になります。私もこの家に来て2度お惣仏を体験しました。
当番だからと言って、取り立てて難しいことがあるわけでもないのですが、その由来は江戸時代に遡りますので、民俗的に貴重な行事です。もう信教の自由とかなんとか言ってる場合じゃないです。
それこそ私が足助に来たばかりの頃、名古屋のとある大学のゼミで、三河地方の伝承を訪ねるというフィールドワークで我が家を訪れた学生さんがいます。奥三河の冠婚葬祭、特に葬儀のことについての質問が多かったように思います。訪ねてきた学生さんには、亡きおじいさんの一言一言が貴重な資料になったようですが、答えているおじいさんにとってはごく当たり前のことばかりなので、こんなことで役に立つのかと逆に心配してました。私はそのとんちんかんなやり取りを、お茶を運びながら垣間聞いて、笑いをこらえていたものです。
このお惣仏、町角にあるお地蔵さんをイメージしていただくといいかと思いますが、祠ごと家々を回るんですが、車で運んじゃいけないんですね。もちろん、一輪車(荷物運び用の)もNGです。やはり、神聖なものですから、人の手で運ぶというルールがあって、隣へ運ぶ分は問題ないですが、1番上の家から下の家へ運ぶ時は大変です。そんなことを何百年も続けてきた我が家わが村、ホント半端じゃないです。(2009年1月5日 記)

(元ブログ お惣仏: Here Come the 足助のおばさん (asukenoobasann.com)

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