見出し画像

北京入院物語(7)


車から降りると、玄関には午後7時を回っているにもかかわらず、2名の中国人医師が待っていてくれました。
バタバタと入院手続きを済まし、用意された個室に入ると中国人の男性付き添いが、部屋で待っていました。
この付き添いはまったく日本語が分かりません。
叶琳には英語、2名の中国人医師には日本語で話し、何とかこの異邦人の付き添いにベッドに移乗してもらいました。 
 夜の入院手続きでしたが、いきなり部屋に入って、ある先生から「入院手続きをするから100元ください」と言われ
「入院のはじめにこういうお金がいるのか?」と知らない習慣にびっくりしました。
その頃には時間は9時近くになっていたので、世話をしてくれた叶琳も2名の医師も、付き添いもそそくさと部屋を去り、私は生まれて初めて外国の部屋で、1人きりとなりました。



 自宅から8時間以上も電車、車、飛行機に乗りっぱなしで疲れた私はさして思い悩むことなく、「さきほどのおつりが50元であったなぁ」と考えているとあっさりと眠りにつきました。
かくして北京での入院生活の1日目は終わりました。

 

葉先生から開口一番「来るな」と言われましたが、平均的な日本人が中国という異文化と接すると、必ず愛想のなさに気を悪くします。
当時中国入国には必ずビザが必要でしたが、治療目的で入国する方法が分かりません。
ビザ取得のために問い合わせた大阪の中国領事館も無愛想さを感じました。

私 「中国に治療のために入院するんですが、そういうビザはありますか?」
職員「ありません!」
私 「どうしたらいいんですか?」
職員「観光ビザで入国してください」

私は半年程度の長期入院を考えていました。

私 「ビザが切れそうになるとどうするんですか?」
職員「帰国してください」
私 「・・・・・・」

 実はビザには延長手続きが出来ることを(通常1回だけ)叶琳が教えてくれました。
その後、この無愛想さは現地でいやと言うほど味わいます。
北京入院物語(8)



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?