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北京入院物語(82)

 今回は週刊誌的な話です。
(いつもそうじゃないの?という突っ込みも受け付けません)
  中には本当に嫌な日本人に出会います。
どういうタイプかというと、いばり散らす日本人です。
私が知ってるその日本人は、中国在住3年位の60歳程度の日本人でした。
彼は肺炎を患っていて、具合が悪くなると入院し、少し良くなると会社に出勤するようなことがあり、時には病院から出勤することもありました。

 彼は会社の重役のようでした。
常に若い中国人の美人通訳を連れて来ていました。
喫茶店ではその通訳相手に、ずいぶん尊大な態度で話していました。
彼にとっては入院さきの、この病棟が職場でもあり、その通訳と就職を希望する中国人を引き連れて喫茶店に現れることがありました。

 彼は採用条件であるとか会社の方針を日本語で話し、その通訳が中国語で説明をしていました。
 私にとって中国語というのは勉強中ですので、微妙な言い回しであるとか、言葉のニュアンスというのはほとんどわかりません。
一方日本語に関しては彼がどういう言い方をするか、手に取るように分かります。
その日本語を聞いていていますと、採用を希望する中国人を見下し、日本人の私が聞いていてもムカムカするような言い方でした。

 その彼が奇妙なことに私が日本人であることが分かると、妙に弱々しいそぶりを見せるのです。
「こんな体になって病院を出たり入ったりですわ」
中国人に対して尊大でであった彼が、年下の私に対して泣きが入っています。
そうかと思うとこの国際医療部では自分がいかに大切に扱れたかということを強調し、夜遅く帰ってきて看護師を呼びつけて、特別に検査をしてもらったとか、皆が飛んでくるということ自慢げに話します。
自分に対しては、看護師長までが一目置いていると話は続きます。。
私が訊きもしないのにこういう話が次から次へと延々と続きます。
この人もまた話を聞いてもらいたいのは間違いないのですが、話を通じて私になにかサインを送っているのに気がつきます。
北京入院物語(83)

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