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渡る中国にも鬼はなし(59/67)

第6章 中国第5日目 昆明 
語らい


  ホテルに戻ると彼女たちは「仕事に戻る」と言い出しました。2人とも「今日は休みだ」と言ってくれたから、安心してつきあってもらったのですが、どうもそれは私を安心させるために言ったようです。母は部屋に戻り、私は地下の彼女たちの職場にまた顔を出しました。夜まではお客もほとんどなく、彼女たちも比較的時間があったので、私につき合って話をしてくれました。今日半日私にずーーーーとつき合ってくれた英語のできるお嬢さんはクセになったのか、椅子を並べて私のすぐそばにいます。

 私はさほど若いお嬢さんとお話しすることには興味はなかったのですが、何分市民友好交流訪中団で中国を公式に訪問しています。市民レベルで交流をする必要があったのです。興味はそれほどありませんでしたが…公務として――どうしてもその若いお嬢さんとお話をしないといけませんでした。もはや旅行5日目ともなると疲れも出て、部屋で休みたいと思ったのですが、何分公務ですから仕方ありません。

 そういうわけで、彼女が入れてくれたお茶を飲みながら、公務としていろいろなお話をしました。ですので、公務として「彼がいますか?」とかいうこともまた、質問としてしなければなりませんでした。夕方まで公務を遂行していると、いささか疲れてきました。

 ちょうどそのときに、本陣というのでしょうか、訪中団の一行が帰ってきました。これから夜の食事に出かけることになり、これには私と母も参加ということで、私は若いお嬢さんとお話しすることからやっと解放され、その売店を後にし、バスに乗り込みました。いや、積み込んでもらいました。

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