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北京入院物語(92)

 西安旅行でも悲惨な経験をしたと書きましたが、旅行の最後までは、さして不愉快なことはなかったのです。
問題が起きたのは、北京西駅に帰ってきた月曜日の朝です。

 運悪く、出勤日だったこと、また駅についた時間が出勤時間に重なっていたことが下地としてあったのです。
何が悲惨だったかというと、タクシーがつかまらないのです。
北京は12月、1月が一番冷え込みます。
その底冷えする北京西駅の道路上で1時間以上タクシーを待ったのです。

 どういうわけか、駅にはタクシーの待機場がなく、道路をビュンビュン走るタクシーを捕まえねばなりません。
みなさんはご存じないかもしれませんが、北京のタクシー運転手は手を上げた人が車椅子だとわかると、半分以上の車が無視します。
とまっているタクシーに声をかけると、はっきり断る人、くどくどと言い訳をする人さまざまですが、2/3は断られると覚悟したほうがいいようです。

 旅行から帰ってきた今回も同じことです。
腹の立つことにタクシーは私と包さんが手を上げている場所を行き過ぎて急停車し、あっという間に別の人を拾い上げて去っていきます。
こういうことが3回、5回、10回と延々続きました。

 すでに1時間は優に過ぎています。
そしてついに目の前にタクシーが停まってくれたのです!!
そのタクシーの乗り込んでようやく北京西駅を離れたのは・・・私たちではありませんでした?!。
信じられないことに、停まったタクシーめがけて健常な中国人が殺到し、ドアをあっという間に開け閉めして、去って行ったのです。
こういうことが2回ありました。
(クスン)

 本当はクスンなどとかわいく落ち込んでいたわけではありません。
旅行に行く前から風邪気味だった私は、零下何度という道路で1時間以上イライラし、クスンではなくグスンと鼻水がたれ始めました。
北京入院物語(93)

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