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北京入院物語(84)

 次に紹介するのは変なニッポン人です。
(はいはい・・・私もですってば)
この人は連休を利用して一人旅をしている途中に、天津のホテルの大理石の上に転倒してこの病院に転院されてきた人です。
彼もまた何らかのコンプレックスをもっていたように思います
コンプレックスを持ってる人の大半は自分を大きく見せようとする傾向があります
彼はどのようにして自分を大きく見せようとしたのでしょうか?
まず自分の方から一流大学を卒業し、一流企業に勤める課長であることを披瀝しました。
(今では疑っていますが)

 彼は雨上がりに、ホテルの入り口の濡れた大理石の上に後ろ向きにひっくり返り、後頭部を強く打ったことで、まず地方の病院に運び込まれたのです。
しかし、設備の十分でない地方病院ではどうしようもないため、首都の北京の日本語の通じる総合病院に転院してきたのです。
その後も不意に意識がなくなることが頻発し、何らかの精密検査が必要であることは、彼も病院を理解していました。

 しかし彼は中国の医者も技術も信用せず、日本の高度な医療を受けることを希望していました。
何とかこの状態で日本に帰ってから、精密検査を受けるつもりでした。
それはそれで一つの考え方と思いますが、自信のない彼は、まるで小学生がお母さんに漢字の書き方を聞くみたいに、私の病室を訪ねてきて自分の考えを何度も何度も聞かすのです。
私の前では、どういう理由か子供っぽいしぐさを見せるくせに、中国人の前では威厳を保ちたいようです。

 話を聞いてみると、彼は一人旅ながら、中国語が全くできません。
ホテルだけ利用するのであれば、英語だけで何とかなったでしょうが、バックパッカーのように、いろんなところを訪ねたい彼にとっては英語しかできないということ自体少々無謀な旅行計画のように見えました。
その英語がなんというか・・・。
北京入院物語(85)

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