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北京ドタバタ旅行(56)

 1人感心したり、驚いたりしていますと、サンタナは北京市内から全長62キロメートル、上下3車線、計6車線の八達嶺高速道路に入りました。

 今日はまた抜けるようないい天気で、車内は街角の小さなタクシーには付いていないようなエアコンが効いて、実に気持ちがいいです。高速道路は新しく、私たちが100キロで走っていても、スピードを感じません。時折、アウディーがすごいスピードで追い抜いていきます。道路はどこまでもまっすぐで、回りの景色はゆっくりゆっくり流れ、本当にのどかです。後部座席の両親はいつしか眠りだしました。

 しかし私はと言うと、中国語のお勉強とばかり、高速道路の上に書かれた漢字の看板とその読み方が書いた中国式の表記を眺めて
「はぁ・・・・・・こういうふうに発音するのか・・・・・・うん・・・・・・」
などと感心し、感心する割には、すぐに排気ガスと共に素早く後ろに置き去りにしていていました。

 のんびりと高速道路を走りながら、回りの景色をみていますと、どうも変です。何気なく左横の運転手の顔を見たのですが、横から眺めた右目はかなり垂れ下がり、黒目がかなり上の方に移動しています。こういう状況は日本では居眠り運転というのですが、中国ではどういうのでしょうか?

 そういえば、時速100キロで走るこのサンタナは時々、車線をやや不自然にまたがって走っています。最近の中国ではこういう運転がはやっているのでしょうか?。依然黒目は上の方に移動し、当分正常な位置まで落ちてきそうもありません。道路は広く、車もまばらではありますが、何分時速100キロです。ほんの少しのハンドルミスが大事故につながります。脇をつついて起こそうかとも思いましたが、外国の人をそういう風に起こすことの是非というか、なんとなくためらうものがありました。

 深い憂いに沈んでいますと、運のいいことにこの運転手は桃源郷からさめ始め、現実に戻りました。 サンタナはそういうスリルとサスペンスの後、高速道路を降りて、最初に明の十三稜に向かいました。

北京ドタバタ旅行(57)

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