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僕がしてきた恋 〜初恋編 1〜

当時、僕なりに一生懸命してきた恋。
それらの経験があったからこそ今の僕がある
感謝の気持ちを込めて、当時の僕の気持ちを成仏させてあげようと思いここに文章化してみようと思います。
もし今誰かに恋をしている人がいて、迷いや悩みを持っているのなら、「こんな人もいるんだ」と、あなたの心が少しでも軽くなるきっかけになれば幸いです。
初めての文章なのでお手柔らかにお願いします。


【〜初恋編〜】

何の特徴もない田舎の高校に通っていた僕は、高校2年の時に初恋をしました。
相手は同じクラスのSさん
一目惚れでした


彼女は小柄で、少しだけ茶色に染めた長髪が大人っぽさを演出するクール系の美人でした。整った顔立ちに大人っぽい化粧を施すことで一見近寄りがたい見た目でしたが、実際話をしてみるととてもチャーミングで、「素直」「素朴」という言葉がピッタリの性格でした。また、自身の容姿を特別なものとは認識しておらず、驕ることも調子に乗ることもないその振る舞いが好感を持て、いつ声を掛けても彼女は柔らかい笑顔で接してくれました。少し天然な部分がある彼女のキャラクターはその見た目とのギャップもありとても興味深い存在でした。理由は分かりませんが彼女が男子と会話をしている姿をほとんど見たことがなく、おそらく僕以外に校内で彼女にアプローチしていた男子はいなかったと思います。どこか独特の雰囲気を纏い、あまり集団に属していない彼女はミステリアスでもありました。

彼女に惹かれたのは新年度が始まってすぐ、春のことでした。
進級したことでクラスが替わり、誰と誰が一緒に過ごすのかまだグループが出来上がっていない状態のクラス内で、僕は彼女と終礼前の掃除の班が同じになりました。同じ班の彼女を見て僕は驚きました。「なんて綺麗な人なんだ」と。彼女の容姿と雰囲気に視線を奪われたのを覚えています。
数日間の掃除時間内で僕はなにかと理由を作り彼女と言葉を交わしました。まだ4月だったと思います。意を決した僕は、当時まだLINEが無かったのでメールアドレスを書いたルーズリーフを四つ折りにし、「よかったら連絡ちょうだい」と掃除終わりに渡したのです。
よくわからないクラスメイトの男子から突然メールアドレスを渡された彼女は、驚きながらも快く受け取ってくれました。
それ以降僕たちは学校でちょこちょこ話すようになりました。休み時間は短く、さらに当時は科目によってクラスが変わる変則のカリキュラムだったのでお互い教室移動に時間を取られ、どれも一言二言交わす程度でしたが、それでも僕は彼女と関わりを持てていることが嬉しかったです。
ある日の会話でした。前週の金曜ロードショウで放送された映画「タイタニック」の話を振ったら、彼女からこんな返事がありました。
「私それ放送するの知らなくて、前の日にレンタルして観たとこだったんよ〜」
彼女はこういう少し天然なところがありました。それを笑顔で話す彼女のことが、僕はすっかり好きになっていました。

しばらくすると彼女はたまに学校を休むようになりました。選択していた授業もバラバラだったので、同じクラスとはいえほとんど顔を合わせない日も珍しくありませんでした。加えて彼女は部活にも所属していなかったので、学校で彼女の姿を見れただけで「ラッキー」と思うような日が過ぎていきました。
学校を休んでいると知ると、僕は彼女にメールを送りました。しかしメールの返信は気まぐれで、彼女との距離が縮まらないことに次第に焦りを覚えていきました。

テニス部に所属していた僕は、部活後に友達とスーパーに寄って飲み物と菓子パンを購入し、店前のベンチで恋バナに耽っていました。
学校生活ではそれなりに嫌なことや面倒なこともありましたが、学校に行けば好きな子がいて楽しい部活がある。僕の高校生活はそれなりに充実していました。

そうして月日が過ぎた6月、一つのイベントが発生します。
目前に迫った期末テストに向け、一緒に勉強する約束を取り付けたのです。午前で授業が終わる日に、電車通学だった彼女の帰りの時間まで、彼女の友達と3人で最寄りのファミレスで行うことになりました。
僕にとっては好きな子と初めて学校以外で会うイベント。当時ファミレスにもほとんど行ったことがなく、色んな意味で緊張していました。
一方、彼女と友達は慣れた様子で、料理を注文しドリンクバーを注ぎに行き、そんな2人がとても大人っぽく見えたのを覚えています。
食事もそこそこに僕らは勉強に取り掛かりました。一緒にやるという感じではなく、各々やりたい科目をやりつつ、わからない箇所を聞く、というスタンスでした。
せっかく彼女とこうして個人的な時間を過ごすことができているというのに、僕は早く帰りたい気持ちになっていました。
その理由は、浅はかな僕は淡い期待を抱いていたからです。
この2ヶ月、僕なりに彼女との関係を進めてきたつもりで、多少は仲良くなれたと思っていました。実際こうして一緒に勉強する機会も得た訳ですし、学校以外で会うという特別感もありました。
なので、もしかしたら彼女も僕に対してただの友達ではなく多少の特別な思いを抱いてくれているのではないか、と期待していたのです。
今となってはそんなはずはないと理解できますが、恋愛初心者の僕は、ファミレスで一緒に勉強するという約束に舞い上がり、一方であまりにも普段通りでそうした特別な感情を一切感じさせない彼女を見てショックを受けてしまったのです。
こうして何の進展も得られないままテストを終え、僕は夏休みを迎えます。

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