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ブラックスワンとは? 予測できない出来事の影響を考える

ブラックスワンとは?

ブラックスワン(Black Swan)とは、マーケットにおいて事前にほとんど予想できず、起こったときの衝撃が大きい事象のことを指します。この概念は、元ヘッジファンド運用者であり研究者でもあるナシーム・ニコラス・タレブが2006年に刊行した著書『ブラックスワン(The Black Swan)』で言及され、広く使われるようになりました。

従来、すべてのスワン(白鳥)は白色と信じられていましたが、オーストラリアで黒いスワンが発見されたことにより、鳥類学者の常識が覆されました。この現象にちなんで、確率論や従来の知識や経験からは予測できない極端な事象が発生し、それが人々に多大な影響を与えることを「ブラックスワン」と呼んでいます。

具体例としては、2008年のリーマンショック、最近では2016年6月の英国EU離脱、12月の米国のトランプ大統領当選などが挙げられます。また、2020年の新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)は、究極のブラックスワンと言えるでしょう。

投資家の心理とブラックスワン

投資家は一般的に先行き不透明な状況に恐怖を感じるため、金融市場で事前に予測していなかったブラックスワン的なイベントが起こると、相場が大きく変動しやすくなります。また、資産を守るためにリスクを取らないリスクオフの状況に陥り、株式などのリスク資産は売られやすくなります。

ブラックスワンに対する戦略的アプローチとして、タレブはポートフォリオの85%から90%を安全性の高い資産に投資し、残りの10%から15%をリスクの高い投機的資産に投資する手法を提唱しています。これにより、予測できない出来事に対する耐性を高め、ブラックスワンの影響を最小限に抑えることを目指しています。

パレート最適と投資

この、10%から15%をリスクの高い投機的資産に投資するという点について、私はパレートの法則(いわゆる80対20の法則)を思い浮かべました。以下簡単ですが説明します。

パレートの法則(または80対20の法則)は、イタリアの経済学者であるヴィルフレド・パレートが発見し提唱した言葉です。この法則は、「2割の要素が事象の8割を生み出している」という考え方として認識されています。

具体的には、以下のような特徴があります:

  1. 最大便益の達成: パレート最適な状態では、ある状況から誰かの便益を高めようとしても、他の誰かの便益が低下することはありません。つまり、これ以上改善の余地がないと言えます。

  2. 資源の無駄を省く: パレート最適な配分は、資源を無駄にしないことを意味します。これは、経済学的な観点から非常に効率的な方法です。

投資の分散投資に照らして、パレートの法則を考えてみましょう。

  • 分散投資は、異なる資産クラス(例:株式、債券、不動産)に投資することで、リスクを分散し、ポートフォリオ全体の効用を最大化する戦略です。

  • パレート最適なポートフォリオは、リスクとリターンのトレードオフを最適化します。つまり、リスクを最小限に抑えつつ、期待リターンを最大化します。

例えば、株式と債券の組み合わせを考えてみましょう。株式はリスクが高く、債券は比較的安定したリターンをもたらします。パレート最適なポートフォリオは、これらの資産を適切に組み合わせて、リスクを最小限に抑えつつ、リターンを最大化する配分を見つけることです。

具体的には、以下のような効果があります:

  1. 効率的なリスク分散: 20%の主要な資産クラスにリソースを集中させ、リスクを最小限に抑えつつ、リターンを最大化します。これにより、ポートフォリオ全体の効用を向上させます。

  2. リスク管理の最適化: パレート最適なポートフォリオは、リスクとリターンのバランスを考慮して、投資家にとって最適な選択肢となります。

このように、モダンポートフォリオ理論とはかけ離れた理論構成となってしまいますが、タレブが提唱した資産配分の不確実性部分が、のちのパフォーマンスの多くを説明することになりませんでしょうか。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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