HSPの夜中のヒトリゴト

 夜中に考え事をすると、悪い方向に向かうのは百も承知だ。だが考えてしまうのは、私が強度のHSPだからだろうか。
 私が自身をHSPと認識したのはいつの頃だろう。「繊細さん」の著書が話題になり、有名人がカミングアウトする以前に、友人から「私はHSPかもしれない」と相談を受けたことがきっかけだった。そもそもHSPという存在すら認識しておらず、「はて?それはなんぞや?」となり、興味を持ったことからはじまりはじまり。
 インターネットで調べると、情報がゴロゴロと出てくる。友人が言う「HSP」について調べる。「ハイリー・センシティブ・パーソン」頭文字を取って「エイチ・エス・ピー」と呼ばれるもの。「刺激に弱い」「共感しやすい」「深く情報を処理する」「疲れやすい」エトセトラ・・・。

「アレ?これって私じゃね?」

 驚くほど私に当てはまる。読めば読むほど、「それ、私」の共感の嵐。HSP診断とやらをやってみる。おお、当てはまるものが多すぎて、「強度のHSP」って診断されちゃったよ。どないしょ。
 実際のところ、強度のHSPとわかっても病院に行ったりはしていませんので、正確な診断ではないのかもしれません。しかし、私は納得し「安心」しました。なぜ「安心」したのか。それは、昔から「生きづらさ」を感じていたから。

 幼少期から、人よりも多感なことは薄々気づいてはいた。私が深く感動しても、なぜか周りと共有できない。ひどいことを言われても傷ついても「気にしなくていいよ」と言われる。
「私が気にしすぎるのか」
 結局は自分のせいにして、深く考えないように努める。でも、考えてしまう。あの時のあの一言って、やっぱりおかしいよね・・・。

 5人に1人はHSPと言われているこの時代。ひょっとしたら、私の知っている中にも、HSPの方はいらっしゃるのかもしれない。でも、よく考えてみて欲しい。自分が関わりを持てる人間なんて、一度に深く関われる人間なんて、せいぜい2、3人じゃね?多くて4、5人じゃね?その中に自分と感覚の共有ができる確率なんて、どんなもん?「5人に1人はHSPだから」と言う人は、そもそもHSPではないのかもしれない。隣近所の人が、HSPってことあり得るのかな?

 HSPは感情を喋ろうとすると、涙が溢れてしまう。人を攻撃する姿を見つけたり、攻撃されている人を見ると、心がえぐられてなかなか立ち上がれない。悲しいことが起きた人を見ると、共感能力が働いて一緒に涙してしまう・・・私は、これらを必死に受け止めてきました。でも言われるんです。

「言ってくれればよかったのに」
「何にも言わないよね」

 言えないんです。言えなくなってしまうんです。私が発したその言葉で、誰かが傷ついてしまうのかもしれないと考えると、何も言えなくなる。口をつぐんで、心を感じないように蓋をして、何年も何年も生きてきた。「自分はどこかおかしいのかな」という不安を抱えながら。

 自分の性質がわかってきてから、心の折り合いをつけられるようになってきた。簡単に言ったら「ま、そう思うわな」と、自分に寛容になった。バツをつけなくなった。(まだ絶賛練習中ですが・・・)刺激を回避するようになってきた。
 この「刺激」ってのが厄介で、人によって違うと思うのですが、私が特に苦手なのは「ニオイ」です。香水のニオイと煙草のニオイは、すぐ嗅ぎ分けて気分が悪くなる。歩き煙草は本当に勘弁してもらいたい。マスクの中に、煙草の煙がこもるんです。息苦しくてくさくて、般若みたいな顔になる。(-᷅_-᷄๑)
 今では電車で香水をつけている人が隣に座っても、席を移動できるようになりましたが、以前はそんなこともできませんでした。だって、もし私が席を移動したら、「隣に座ったのが不快だったのかな」と思わせてしまうかも、と考えるから。私がニオイが苦手なのが悪いから、私が我慢したらいいんだ。だから、静かにニオイなんて気にしてません、みたいな表情で乗ってた方がいいんだ。って思ってました。
 きっと、全くわからない人からすると「はあ?」ってなると思うし、「気にしすぎ」って思うと思う。でも、気になるんです。こんな些細なことでも「気になる人がいる」ってだけを覚えて帰ってください。

 生きづらいことが多い世の中ですが、私はHSPで良かったと思っています。深く物事を考察できるからこそ、自分の「解」を見つけたときに喜びが膨れ上がります。人の優しさに触れた時、人間って素晴らしいなと思えます。夕陽を見て、心底綺麗だなと感動できます。
 生きにくい性質かもしれませんが、この不器用な私を私が愛してあげられるようになりました。でもそれは、多くの方が研究し発表し発信してくれているから。そして私が、諦めずに自分と向き合ってきたから。「HSPだから」って、何も諦めなくていいし、HSPの影に隠れなくたっていい。素晴らしいギフトを頂いた、それをどのように使っていこうかと考えればいい。私はこのように文章に昇華したり、書道の作品制作に繋げています。もっともっとできることは山のようにある。希望を持って、これからも強度のHSPをフル活用できたらいいなと思いました。

 夜中のヒトリゴトでしたが、意外とポジティブに喋ることができたようです。私のヒトリゴトが、誰かの助けになれれば幸いです。


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