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原田マハの空気感が好きすぎてかいた話

 もうすぐ四年になるだろうか、ずいぶんと長く彼とは会っていない。高校を卒業してしばらくはLINEをすることはあったけど、彼は遠いどこかの大学に通い、対する私は親戚のツテで地元の小さな会社に就職し、そこで事務作業をやっている。互いにそこそこ忙しく、LINEのやり取りは一年もたたないうちに途絶えてしまった。  そんな彼のことをふと思い出したのは、昨日のことだった。  私はルーティーンのように会社に向かい、仕事をこなし、そして当たり前に帰路についた。少し早く仕事が終わったので、駅に

    • 原田マハの空気感が好きすぎて書いた話2

       三両編成の三両目、一番後ろの窓際が僕の特等席だ。二年間も通っていると、車窓の景色は目を瞑っていても見えるくらいに焼き付いている。そんな景色をあえて眺めてみると、電車の左右の窓に映る景色はやがて後ろへと流れてゆき、誰もいない運転席の窓の奥へ奥へと吸い込まれていくように見えた。  「もう三年生か」 小さく呟いた僕の声もまた、電車の発する雑音に巻き込まれながら遠くへ遠くへと吸い込まれていった。  先月までの教室に向かおうとする脚をなんとか制御しながら、僕は新しい教室に入っ

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