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『解析雨量』

こんばんは、nooooon(@nooooon_met)です。


昨日から発表されていた大雨特別警報は解除されたものの、各地で大雨が続いてます。

そんななか、気象庁HPにこんなページが。


通常は無いページなのですが、なぜ掲載されているのかというと・・・トップページに記載されていました。

現在、熊本県では一部のアメダス観測点で障害により観測データが表示されていません。1 時間降水量については、ポータルサイト「令和2年7月の梅雨前線による大雨【熊本県】」をご覧ください。
(※1)


障害が発生してデータが抜けてしまうというのはこれまでにもあったと思うんですが、解析雨量を利用する、しかも細かい値をホームページで公開するというのは初めて見た気がします。


・・・ところで、『解析雨量』ってなんなのか、ご存知でしょうか。

1km四方の細かさ1時間あたりの降水量を解析するもので、雨量計による観測値と気象レーダーによる観測データとの組み合わせによって作成されます。


1.雨量計

雨量計は、読んで字のごとく雨量(といいつつ、雪とかも)を測る観測機器です。

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        ※2

気象庁のものは「アメダス」と呼ばれて馴染みがあると思いますが、実際には都道府県のような自治体等も設置しています。

雨量計は、(基本的には)設置された場所に降った実際の降水量を測ることのできる機器です。

一方、雨量計では、設置された場所の降水量しか測れません。例えば、アメダスは約17km間隔で設置されているので、ちょうどその間で雨が降ってしまうと、降水量が分からないわけです。ちなみに、一般的に強雨をもたらす雲である積乱雲は、だいたい数km~十数kmの広がりを持つものなので、ちょうど間に入ってしまう可能性があります。

雨量計だけで降水量を把握しようとすると、あっちこっちに設置しないといけなくなるのです。

また、今回のように障害が発生してしまうと、観測値の無い地域が出てきたりしてしまいます。

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        ※2

先に示していた図と比べると、熊本県や宮崎県で観測値が表示されていない地域があることが分かると思います。


2.気象レーダー

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        ※3

気象レーダーは、電波を利用して雨や雪の強さを観測します。広い範囲の観測データを得られるものの、実際に降った降水量を測っているわけではないので、雨量計に比べると精度が悪くなります。



そこで!両方を組み合わせることで、すき間なく、より正確な降水量を把握しよう!というものが、解析雨量なのです。


100%正確なデータとはならないのですが、それでも、今回のような場合には、とても役に立つデータなんじゃないかと思います。

(実際には、雨量計による観測値が無いぶん、普段より精度が落ちているはずですが、それでも気象レーダーのデータだけしかないよりはいいんじゃないかと思います・・・周り雨量計による観測値は反映されてるはずですし。)


ちなみに、具体的な量は分からないものの、普段から『解析雨量』は公開されています。

今後の雨(降水短時間予報)』と名付けられたページになってますが、「現在」までの時間帯を選ぶと表示されるデータは『解析雨量』です。


残念ながらまだ雨は降り続く予想ですが、こういう情報も使いつつ、備えていきたいところです。



そんな、今日このごろ


1:気象庁HPから引用(2020.7.7閲覧)→http://www.jma.go.jp/jma/index.html

2:気象庁HPから→http://www.jma.go.jp/jp/amedas/215.html?elementCode=2

3:気象庁HPから→http://www.jma.go.jp/jp/radnowc/