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Side-S[300字小説①]

さあ今から何をしようか。

期待と絶望に満ちたこの空間が私は好きだ。
期待の半分はこれから君がどんな表情を見せてくれるのか、という私のもの。
残りの半分と絶望はこれから私に何をされるのか、という君のもの。

いつでもおいで。
君を愛した私が君にそう伝えて1年。誰かに愛されたかった君が私の元へ来ておよそ半年。こんなにも私色に染まってくれるなんて期待してなかった。こんなにも歪んだ私の愛を受け入れて染まって愛してくれて。

私はもう君への愛が止まらないんだ。
今日はどんな表情<カオ>をしてくれるのかな。

鉄のぶつかり合う音を立てながら部屋の明かりを消した。
ほんのり赤い君の頬にひとつの雫。
ああ、とても美味しそうなりんごだ。

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