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【見返しレポート】テレビノーク#17「リトアニア滞在記と2023年ふりかえり」

カロクリサイクルの活動として、お話を伺いたい方を招いておしゃべりする配信番組「テレビノーク」。
これまでの配信回は全てアーカイブでご覧いただけます。

カロクリサイクルは、カロク(=災禍の記録)を探し、記し、また別の誰かに手渡す試み。月一の配信自体もその時々の対話が残る記録で、前の配信を見返すだけでも、放送当時と今とでまた違う考えで見れたりもします。
そんなわけで今回は、2023年12月27日(水)配信の#17「リトアニア滞在記と2023年ふりかえり」を見返し、どんなトピックが出ていたかを追っていきます。

アーカイブのリンクはこちら👇

2023年の1年間の振り返りが主な話題ですが、「この人たちは各地を旅しては誰かに話を聞きまくっているが、どんな心境で活動を続けてるのだろう?」という根っこにある感情も結構話されていた回なので、NOOKの活動にあまり馴染みのない方へもおすすめです。

配信の裏では打ち上げの準備が進んでいる様子


2023年からの激励の言葉「旅をせよ」「学び続けよ」

放送当時の2023年12月は、カロクリサイクル2年目&江東区の活動拠点「スタジオ04」がオープンして約4ヶ月が経過した頃。

2023年 活動振り返りメモ

場を持つことで顔を合わせて物事を共有できる集いが育っていること。各地への旅がいっそう増えて土地を横軸で捉える視点も増えたこと。この2つが交差したことが2023年の活動の背景として大きかったように感じます。

瀬尾さんが伊江島の資料館で出会ったおばあによる「わからなくなるまで学びなさい、学べば学ぶほどわからなくなるけどとにかく学び続けること」「これからは文字の時代だから、あなたは文字で書いたりメディアを使って残して」という励ましのお言葉が完璧すぎて何を書けば良いのやら。
2024年も折り返しが近づいてますが、おばあの言葉に気を引き締めていきたいと思います。
ちなみに伊江島ですとおそらく、こちらの資料館でお会いできるのかなと👇

ヌチドゥタカラの家


磯崎さん&李青さん合流!

さて、冒頭から濃い内容でしたが、途中からはNOOKの磯崎未菜さんと、アーツカウンシル東京としてカロクリサイクル事業に携わる佐藤李青さんがトークに合流。磯崎さんのリトアニア滞在の話を聞きながら、これまでのカロク採訪で得た知見を交えて深掘りしつつ、来年の話へも発展しました。

1年ほどリトアニアに住んでいた磯崎さんですが、テレビノークでは#5にリトアニアに行く動機となった「歌う革命」について、#10ではアウシュビッツ訪問についてZOOMでゲスト出演しています。

帰国後すぐの#17出演では、リトアニア滞在で印象的だった あるおばあさんへの聞き取りと、ぜひ行ってみてほしい資料館について、写真や動画で紹介しながらお話ししてもらいました。

当時帰国したての磯崎さん。おかえりーー!!


気になるトピック

リトアニアに住んで感じたこと
・戦争と日常
普通の生活もしながら、食事を囲んで戦争や政治の話題も日常的に出ること
→基地があり、状況が刻々と変化している沖縄との類似。戦地との距離の近さ故の体感。
↔︎場があってようやく話せるかも、という日本本土の体感

・占領下で育って暮らしてきた人に、当時の独立運動の流れを聞く
 身近に情報がない故の、貧しさや厳しさへの気付けなさ
 国外への旅/自分の目で見た旅先の豊さ→独立運動への合流

・音楽と自由

・占領下のアーカイブ施設とその特徴について
元KGB本部の博物館/Museum of Occupations and Freedom Fights👇

ミュージアムの外観


とにかくあらゆるもので記録を残そうとする

・版画や刺繍など、自分たちの手作りの技術で発信していたもの、その現物を残す
・収容所を移設して残す 壁に残した文字や絵、それらを隠蔽した層、書かれたものの解析 
→自分の意識を保つために書く、何かを書いて命を繋いでいる
・再現劇の映像を流す
・そこにいた個人/故人について、とにかく調べて追う
・なんとしてでも残さなければという立場にある人や土地での残し方


日本の資料館を比較してみると……
・起きたことと個人への弔いが抜けているのでは?
・語れなかった人/残されることのなかった人へのまなざしや、それらを想像する余白をつくれていない?
・場所の移設というトリガーは、風景を目にして語りがはじまる現象と似ているかも。場所や風景が残りにくい土地では、発動しにくくなるのでは?

・困難や孤独下でのつくる/表現する行為
→限界の状況で持ってる技術を発揮する/つくること自体の幸福を感じること
 自分なりにできることをやり、そのことによって生きてる 
 
 李青さんから話題が出た、横井庄一さんの手作りの品に関連した展示にまつわる参考はこちら👇

ざっとですが、キーワードを挙げてみました。

困難や窮地に置かれた土地、そこで生きてきた人びと。それらを伝える営みや記録に自分たちが触れることについて、終盤の対話で出た言葉の数々もとても大事だったので、ご視聴いただきたいです。
ずるさも自覚しながら けれど知りたいと思ったなら知っていった方がいいよね、といった話が出たときに、冒頭のおばあの「励まし」がリンクしてるように感じました。
残そうとしている人たちは、これから受け取ろうとしてる側の「自分が聞いていいのかな」という戸惑いもよくわかっていて、その上で聞く行為に背中を押してくれていたことがほとんどだなあと、NOOKの活動を振り返って思いました。
「資料だけに触れるだけじゃなくて、人と出会うこと」で、大地くんが言うように知る解像度もグッと上がるし、受け取る↔︎手渡すのあいだに起こる人とのやりとりをかけがえのないものになりますよね。

配信から半年の間の災禍も苛烈を極めていますが、「旅をする、聞く、聞いたことを形にする、安心してみんなで見て話す場をつくる」の信条は、変わらず。
2024年は江東区リサーチが絶賛進行中です。乞うご期待!

集まりのリハビリ


次回のテレビノーク

次回のテレビノーク#23は2024年6月26日(水)19:30から。ゲストは高山正樹さん。高山さんの運営する「狛江の小さな沖縄資料館」より出張生配信でお届けします。お楽しみに~。


テレビノーク配信一覧

テレビノークは現在#22までを配信済みです。

#18「11年後の風景を歩く」👇

#19「資料から探る戦後芸術」👇


#20「出来事からの時間」👇


#21「文化的アクションの実践―ソウル、仙台、オアハカ」👇

#22『原爆の図』がある美術館👇


さまざまなゲストをお迎えし、毎度濃い内容でたっぷり2時間超おしゃべりしています。
ゲストさんによっては、もしかしたら江東区のスタジオ04でばったり出会えるかも……?
今年もスタジオでさまざまなイベントやワークショップ、展覧会も実施していくので、ぜひスタジオ開室日にお立ち寄りくださいね。



レポート:佐竹真紀子(美術作家/一般社団法人NOOK)

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