見出し画像

【日記】巡る季節のあわいに、分かち合うものは

おばあちゃんに誘われて里山の桜を見に行った。
お昼ごはんを食べながら見上げた桜は、ちょうど散り際で なんだか眩しかった。

    *         *         *

セレサモスには、お赤飯がひとパックだけ残っていて、「来るのがちょっと遅かったね」っておばあちゃんが言った。
昼の12時半頃だった。
農家の1日は時間の巡りが早いのだ。

お赤飯 ひとパックと、
"手積みよもぎの手作り草餅"を ひとパック、
それから飛騨牧場のアイス ひとカップ。

お店を出ると、目の前の道路を挟んで、木々に覆われた小高い神社がある。

鳥居にかかる桜を 土の匂いの風が揺らす。
遠くで、子どもの声が響く。
あ、そういえば、新学期が始まったんだっけ。

階段は怖いから、と、裏の坂道から失礼します。

木々の間を通り抜けると、開けた境内があらわれる。


「はい、お賽銭」
「もう子供じゃないんだからお賽銭くらいあるよ」
なんて会話を交わしながら、

礼を二度、二度手を打ち合わせ、一礼。

((すみませんが、ちょっぴり、お邪魔いたします。しばし、隅っこをお貸しくださいませ。))

境内の端っこで、桜を見上げながら、

お赤飯 ひとパック、
草餅を ひとパック、
それから飛騨牧場のアイス ひとカップ。

ふたりで分けながら食べる。

ここのお赤飯はおいしいね。

おじいちゃんはお赤飯好きだったよね。

お餅が好きだったからね。

あー、そういうことか。
この草餅、おいしいね、あんこはおばあちゃんが作ったあんこの方がおいしいけどね。

ふふっほんとだね。
この神社、イチリンソウが綺麗なんだけど、まだちょっとしか咲いてないね。

でも、私は、まだちょっとしか咲いてないのも好き。

たくさんのイチリンソウが風に吹かれているのもかわいいよ。満開になる頃、また連れてきてあげる。


さーっと、瞼の裏に、一面のイチリンソウが頭を揺らしている姿がひろがる。

うん、また見に来たいな。


心のなかでそっと呟く。




目の前をはらはらと桜が舞う。
そんな、のどかな昼下がり。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?